senken plus

平成のファッションキーワード「ユニクロとゾゾ」

繊研plus

ファッションビジネス専門紙「繊研新聞」公式サイト

フォローする:

ユニクロ「究極の普段着」

価格の相場変える

ユニクロは98年、原宿に出店した。山口県が本社の地方の専門店チェーンが全国チェーンに躍り出た瞬間だった。この年発売した1900円のフリースは、当時、アウトドアブランドでは1万円はした価格に比べると破格の安さ。大ブームとなり、98年10月から34カ月連続で既存店売上高の成長が続いた。

フリースは、98年から3年で4000万枚近く売れた。安定した品質の製品を海外生産するサプライチェーンが、供給を支えた。フリース以外でもジーンズ、Tシャツなどベーシックなカジュアルを廉価な価格で、数千万点単位で売り、それまでの服の価格の相場をあっという間に引き下げた。

自社よりはるかに安い服を売り、業績を伸ばすユニクロのやり方を、他の小売りやアパレル企業は「価格破壊」と呼んだ。だが、自前で築いた企画、生産、販売の仕組みで価格をコントロールしていたユニクロにとってそれは破壊ではなく、収益を上げつつ、客も満足できる適正価格を実現したに過ぎなかった。

豊富な色数と破格の値段で大ヒットとなったユニクロのフリース

協業でレベル上げ

その後もカシミヤセーター、ダウンジャケット、保温肌着「ヒートテック」を発売し、生活者のニーズが高いカジュアルアイテムを安く、高品質で提供するブランドとしての地位を築いた。09年以降は、ジル・サンダーと組んだ「+J」を皮切りに有力デザイナーとの協業でデザインのレベルも上げていった。

18年8月期のユニクロの売上高は国内と海外合わせて1兆7810億円。平成元年の規模と比較して、30年で350倍以上に成長したことになる。カジュアルウェアを「究極の普段着=ライフウェア」として、品質、機能、デザインを高めながら、世界中の誰でも手軽に買える値段で提供し続けたことが成長の理由だ。

04年12月、ファッションECのゾゾタウンがスタートした。運営するゾゾ(当時スタートトゥデイ)は、05年3月期の売上高が18億円、経常利益が1億3000万円だったが、その後、ファッションECモールとして成長が続き、18年3月期の売上高は984億3200万円、経常利益327億4000万円。

ゾゾタウン「品揃えと利便性」

自社物流が変えた

20年に満たない期間で50倍以上に拡大したとはいえ、売上高自体はユニクロに比べ、大きいものではない。だが、経常利益率は33.2%と桁外れに高い。高い収益性の秘密は他のECモールと異なるビジネスモデルにある。ゾゾタウンで売る商品は買い取りもわずかにあるが、ほとんどが受託販売だ。

ゾゾの売上高となる受託販売の手数料は販売した商品価格の3割弱で、他のECモールに比べ高いが、ゾゾタウンで売る商品は自社の物流施設に保管し、商品撮影、梱包、発送を全てテナントに代わって行っている。物流をモールが担うことで、テナントはECで販売した後に個別に発送する手間を省ける。

一方のゾゾタウンは、物流を自前の設備で一手に引き受けることで、受注から配送までの時間を短縮できる。スタート当初から大手セレクトショップなど、人気ショップを集める努力を続け、出店ショップは18年上期末で1183。圧倒的なブランド数が、ネット上のモールとしての集客力につながっている。

スマートフォンの利用者が増えるのに合わせた利便性を随時向上していくだけでなく、コーディネート参照アプリ「ウェア」の導入で、気になる服の着方やトレンドのチェックまで、自社のモールで買い物する中でできるというワンストップバイイングの環境を整備してきたことも、ユーザーを増やした。

「おまかせ定期便」も

人気ブランドでの集客、自社物流の内製化、デジタル化の発達に沿った使い勝手の絶え間ない向上がゾゾタウンを成長させた。平成の終わりには、圧倒的な集客と販売実績のデータを生かし、体形計測に基づいた、ぴったりサイズをうたうPBの販売や、個客向けに好みの商品を届ける「おまかせ定期便」も始めた。

体形計測スーツ「ゾゾスーツ」を駆使したマスカスタマイゼーションも、販売実績や顧客に関するデータを使ったサブスクリプション型の商売も、消費者の買い方の変化を捉えようとして始めたサービスだ。これらにゾゾが着手したという事実は、平成以降、ファッション商売が大きく変わる可能性を示す。

ゾゾは体形データを使ったPBで、これまでとは違うアプローチも始めた

ユニクロも17年から、本部機能を移転した有明オフィスで、「無駄なものを作らず、運ばず、売らない」仕組みをグローバルに構築し始めた。価格の相場や買う場所、買い方を最適化していくことが、成長に必要な時代は終わる。消費者の声にひたすら耳を傾け、変化を捉える企業が勝ち残る時代となりそうだ。

(繊研新聞本紙1月1日付)

最新の関連記事

おすすめ記事

Realtime

現在の人気記事

    次の記事を探す

    Ranking Top 10

    アクセスランキング