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異端デザイナー マット・ベネデットが作り出した「不必要な発明」

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手製で作った世界初のクロックス・グローブがSNSで話題のマット・ベネデット。クロックス社に中止通告書を送りつけたれた男、マット・ベネデット。世にも奇妙なアイテムで世界を混乱に陥れる彼に話を聞いた。

By i-D Staff; translated by Nozomi Kinoshita

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今年7月、世界初のクロックス・グローブが誕生した。この奇妙で美しいアイテムは、わざわざクロックスを象徴するストラップがあしらわれているせいで一層不気味に見え、はめているのを見たひとをギョッとさせる以外、何からも守ってくれなさそうだ。

本来のクロックスとは違い、このグローブに人間工学的な利点はない。このアイテムを発見したときは、〈地下に監禁し、生きたまま皮を剥ぎ、それを身につけた〉的なおぞましい雰囲気を感じた。

この怪しげなグローブを生み出したのは、自称〈邪悪な天才〉のマット・ベネデットによるデザインプロジェクト〈アンネセサリー・イノベーションズ(不必要な発明)〉。制作には、3Dプリントやクロックスのパーツの入手など、かなり複雑な工程を要する。

このグローブがネットの話題をかっさらうのは必然だった。しかし、マットにとって予想外だったのは、クロックス本社から中止通告書を受け取ったことだ。彼のグローブはクロックスの名前やロゴを使用しているため、パロディの域を超えており(つまり公正使用に該当せず)、著作権侵害に当たるという。

フランケンシュタイン博士と彼が創り出した怪物のように、マットが自身の呪われた作品の影響力や、それが意味するものを理解していたかはわからない。

i-Dは彼にインタビューを敢行し、彼の動機、グローブがつくられたきっかけ、これから彼が世に解き放とうとしているその他の恐るべき作品について話を聞いた。

──そもそも、こんな誰も想像できないようなアイテムを生み出そうと思ったきっかけは?

最近、なんだかやけにクロックスに魅力を感じていて。クロックスって、金儲け目当ての靴の会社からストリートウェアとかファッションブランド寄りのブランドになったっていう印象がある。たとえばBALENCIAGA、PIZZASLIME、ポスト・マローン、Chinatown Marketとコラボしてたり。だから僕も、この有名な靴にアンネセサリー・イノベーションズ的なひねりを加えたいと思った。グローブを選んだ理由は、クロックスの実用性にマッチしてるし、ウケると思ったから。

──オリジナルのクロックスのデザインのどこをみて、このグローブをつくろうと思ったんですか?

僕自身はクロックスを持ってないし、自分がこのグローブを身につけるかと訊かれたら微妙なところ。でも、このグローブにはクロックスを連想させるヒントがいくつかある。特に目立つのは足首のストラップ。手にはめるときはなんの役にも立たないけど。あと、穴が空いてるおかげで、手の甲に面白い日焼けの跡ができると思ったんだ。

──最終的なデザインが決まるまで、いくつのプロトタイプを試したんですか?

最初に試したのがほぼ完成形だよ。3Dプリンター用の柔軟性のある特殊な繊維を使った。今回初めて使う素材なんだ。3Dプリンターの設定の入力は3、4回やり直した。でも、設定さえ決まればうまくいった。写真に使ってるのが、最初の試作品だよ。

──このEVA樹脂でできたベビーブルーの指なしグローブをはめるのにふさわしい場面は、どこだと思います?

これをはめてると手がほぼ使えないから、ストリートファッションに合わせて、いかにも「これはオシャレなんだよ」っていう顔でソーホーを歩き回ったらいいんじゃないかな。あと、僕が見たミームのなかで気に入ってるのは〈セックス中長持ちさせるためのクロックス・グローブ〉っていうやつ。

──このグローブは、今の政治情勢に言及するような実利主義的な反応? それともただのアバンギャルドなファッションの幻想なんでしょうか?

これはただファッションの幻想をかたちにしたもの。いつかInstagramのモデルがこれをはめて〈OOTD(今日のコーデ)〉って投稿するのが目に浮かぶよ。

──あなたが思い描いてきた非実用的な発明品のなかで、いちばん反響が大きかったのはこのアイテムですか?

実は〈Avocado on a Stick(訳注:アボカドディップの繰り出し式のスティック)〉のときのほうが反応は大きかった。オンラインのヴィーガン・コミュニティではみんな本物だと思ったらしくて、僕がいかにプラスチックを無駄遣いして地球に悪影響を与えているのかを諭すメールが大量に届いたよ。

──クロックス社から中止通告書を受け取ったというのは本当?

8月の初めに届いたよ。僕が自分の発明品に彼らの名前やロゴを使ってる事実が、あまりお気に召さなかったらしくて。でも僕たちが名前を変更して、彼らは彼らの栄光のなかで生き続ける、っていうことで話がまとまったんだ。

──今もみんなをあっと驚かせるようなアイテムを制作中ですか?

僕のiPhoneのノートはアイデアでいっぱいで、それを週3個くらいのペースで発表してる。ぜひアカウントをフォローして、新製品をチェックしてみてほしい。

This article originally appeared on i-D UK.

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