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コロナからの再起を見据える、21年春夏テキスタイル -vol.1-

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激変する商談環境を踏まえて

 国内の21年春夏テキスタイル商談は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、3~5月の先行素材展が軒並み中止となるなど、従来の商談機会が大幅に制約を受けた。緊急事態宣言の全面解除以降、経済活動の制限が緩和されつつあるが、リモートワークなど〝3密〟を回避する新しい働き方の定着も予想される。かつてない商談環境の変化のもと、店頭の不振やずれ込む来春夏商談の挽回(ばんかい)を意識したテキスタイル企業の役割や取り組みが注目されている。

■アパレルの期待

 この間のアパレル小売店の営業自粛や休業に伴う消費停滞の影響が、来春夏商談にまで波及している。今夏の現物素材の動きが止まり、続く今秋冬物も減産や発注キャンセルなどで、アパレルの生産調整が顕著になった。来春夏企画は「アパレルメーカーもまだ本格的に始まっていない」(服地コンバーター)とする声が多く、大幅な遅れが見込まれる。なかには「今春夏物の店頭在庫を持ち越すのでは」との懸念もある。

 その一方で、個性派を志向するブランドを中心に「来春夏向けアパレル9月展に意欲を見せている」(クリスタルクロス)との指摘もあり、素材提案への期待が寄せられている。「ショールームの営業再開」(サンウェル、双日ファッション)や「アポイント制で来場数を制限した商談会を実施」(宇仁繊維)、「7月から事前予約制で商品を絞り込んだ商談会を社内で開催」(タキヒヨー)など、来春夏向けの取り組みがようやく本格化してきた。

 立ち上がった商談では「今ある素材で実績のあるものからピックアップする傾向」(柴屋)が強く、アパレル企画の模索が続いている。店頭やアパレル展の動向を見極めながら、従来以上の期中・期近対応が求められることも想定される。必要とされる素材を備蓄するストック機能や国内外産地とのネットワーク機能による小ロット短納期対応がアパレルの安心感を生み、商談で強みを発揮しそうだ。

■オンライン活用

 新型コロナ禍が長引くなかでリモートワークが拡大し、対面による商談が困難になったことで、「Zoom(オンライン会議システム)を使った商談などネットの活用が有効」(川越政)という認識が広がった。自社サイトやメールだけでなく、オンライン会議システムやSNS、動画共有サービスを利用して、企画提案やリアルタイムの情報共有を強め、アパレル企業との距離を縮める取り組みが活発になっている。

 クリスタルクロスは、3月から動画共有アプリやSNSを活用した新素材提案を日本と中国で始めた。「足が運べなくても売れる仕組み作り」を追求し、ECサイトに誘導して効果を上げている。リリーレースインターナショナルも日本と中国向けにSNSを使い、自社サイトでシーズンマップを充実した。瀧定名古屋は、Zoom商談と並行し、中止した4、6月展の情報を動画配信した。カラー分析やディレクションなどを発信し、展示会再開後も継続する。

 東レは、テイスト別の生地80点を揃えてウェブ展を開いた。動画や製品写真も交え、画面上でサンプルオーダーまで完結できる。小原屋繊維も期間限定のオンライン展を初めて実施し、若手が発信するSNSやECサイトと連携した。生地スワッチが申請できるほか、Zoomによる商談も受け付ける。柴屋は多言語対応を目的に、5月末に自社サイトを刷新し、国内外から問い合わせが増加した。SNSと連動し、写真共有サービス「フリッカー」を導入して新素材を含む常備在庫の商品が閲覧できる。

 新型コロナ禍は終息が見通せないだけでなく、第2波、第3波の感染拡大の可能性がある。「新しい生活様式」(厚生労働省)も提唱され、多くの企業でリモートワークの継続が見込まれる。「リモート対応は商談の経費節減と効率化につながる」(同興商事)ことから、「デジタル機器も活用してアパレル企業へ提案」(スタイレム)する動きが加速するとみられる。

自社サイトに連動する写真共有サービス「フリッカー」を導入(柴屋)

(繊研新聞本紙20年7月1日付)

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