自分が「ヲタ」と自覚する人の割合が約7割を占めるZ世代。応援する対象である「推し」がいることが当たり前で、推していることが自身のアイデンティティーにもなっている様子がみられます。また自身で楽しむだけでなく、周りに推しを広めるための〝布教活動〟も増えており、推しに対する熱量が、消費やコミュニケーション、自己研鑽(けんさん)など、彼らの様々なモチベーションにつながっていることを強く感じます。
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推しグッズを創作
コロナ禍においてもその熱量は冷めず、むしろ高まっている実態が確認されています。コロナ前と比較すると、推しと会えない中でも、おのおののクリエイティビティーを発揮し、独自にヲタ活を楽しむ「創作ヲタ活」を楽しむ人が増えているのが特徴です。
推しの名前が書かれた「推しグラス」や「推しゴーグル」などオリジナルグッズを制作したり、都内の近隣のオシャレなホテルに宿泊し、オリジナルケーキを用意し、推しの誕生日を祝うなど、推しから公式に提供されるコンテンツを楽しむだけでなく、オリジナルの楽しみ方を生み出しています。
また最近は、このヲタ活に着目したプロモーションやサービスも増えています。コンテンツやアーティストとのコラボレーションキャンペーンや商品、推しのイメージカラーを連想させる商品で「ヲタ活」をより充実させたり、ホテルでヲタ活を楽しむためのプランなど、様々なアプローチを目にします。Z世代も推しの「応援」につながるものであれば、商品購入やSNSなどでのシェアも積極的かつ能動的に行うため、表層にある実態を理解し、正しくアプローチができれば効果が出やすいのではないかと考えます。
長期的にアプローチ
しかし、企業としてこのような短期的な視点での効果を狙うためだけでなく、ヲタ活の根底にある、「Z世代の心をつかんでいる要素」をきちんと理解していくことが、長期的なマーケティングにおいて非常に重要だと考えます。ヲタ活は短期的なトレンドではなく、Z世代を捉えるうえで欠かせない消費価値観が集まるテーマなのです。
「なぜ彼らがこの推しを応援したいと感じているのか」や「創作ヲタ活のモチベーションは?」「ヲタの心をつかむために、推し側はどんなことをしているのか?」など、ヲタ活をひも解いていくことで、企業、商品やサービスとして、Z世代に応援してもらったり、心をつかんでいくために見習うべき要素が見えてきます。
ポイントは、「プロセス」「アレンジの余白」「ビジュアルコミュニケーション」です。推しが成長していく過程に並走できる喜びと、自身のアレンジを加えることでオリジナリティーが加えられる創作の余白があること、そして様々なヲタ活の様子を動画や画像に記録しSNSで共有することで、ヲタ友との新たなコミュニケーションを生み出せる魅力。この三つの要素を意識し、Z世代へのアプローチを検討することが重要であると考えます。
●長田麻衣(おさだ・まい)
シブヤ109ラボ所長。総合マーケティング会社で、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPRサポートを経て現職。毎月200人の若者と接する毎日を過ごしている。好きなものはうどん、カラオケ、ドライブ。今年の目標はシブヤ109ラボを日本一の若者マーケティング機関として認知してもらうこと!
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