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「共感が生み出す解決と成長の物語」ステラ マッカートニージャパンCFO 佐藤元彦インタビュー【後編】

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選ばれ続けるブランド・企業になるために、今必要なこととは?――商品を選ぶ消費者はもちろん、商品を作る・売る企業やメーカーの価値観は刻々と変化している。2015年にSDGsが採択されてから「サステナビリティ」は、ファッションビジネスにかかわらずグローバルで大きな課題として突きつけられている。その問題解決を率先して提議し続けているのが、ファッションデザイナーのステラ・マッカートニー氏だ。強い発信力と実行力を持つステラ・マッカートニー氏の元、2022年に設立10周年を迎えるのが、ステラ マッカートニージャパン。同社のCFO(最高財務責任者)の佐藤元彦氏が、日本法人の「過去・現在・未来」を語る。

佐藤 元彦氏さん
株式会社ステラ マッカートニージャパン CFO
1961年生まれ、東京都水道橋出身。小学校から高校までを男子校で過ごし、ジャズ音楽、フリスビー、スケートボードなどアメリカ文化に憧れて、中学3年のときにアメリカ留学を決意。高校を卒業してアメリカに渡り、2012年のステラ マッカートニージャパンの立ち上げに関わるまで世界各国を飛び回るストーリーは「前編」をご覧ください。

ステラ マッカートニー日本法人設立からの10年間を振り返る

―ステラ マッカートニーの日本法人立ち上げが2022年に設立10周年になります。

当時からステラ マッカートニーは“サステナビリティのアイコン”のような存在で、その日本法人の立ち上げに関わることはとても楽しみでした。創立メンバーは、私のほかは社長、ロジスティックス(物流)、営業、PRなど8人と人数も少なかったので、担当業務を超えてなんでもやりましたね。

―これまでに日本法人はどう変化しましたか。

2012年当時は、リテールビジネスが5店舗で、ホールセールビジネスの卸し先が30店舗ほどでしたが、9年間でリテールは東京、横浜、名古屋、大阪、京都、福岡の22店舗、卸し先は50店舗までスケールアップ。社員はオフィスが8人から30人体制になり、店舗で働く人も20人から120人を超えるまでになって、総勢150人ほどの規模になっています。業績も順調に伸びて、ブランドの知名度も上がり、規模も大きくなっています。

―そのような規模感の中で、現在の佐藤さんの役割は?

経営計画全般、予算と実績管理ですね。海外でのヘッドクオーター業務を長くやっていた経験から、「本社が何をやっているか、何を考えているのか」がよくわかります。コーポレート部門で働く我々はイギリス本社や海外のチームと関わる量や求められるレベルも高いですが、日本のコーポレートのメンバーは皆とても優秀です。

連帯感と行動が、次に繋がっていく

―様々なキャリアを積み重ねてきた佐藤さんの目から見ても優秀な人材が集まったと。

そうですね。総合的に人間力が備わっているメンバーに恵まれており、求める人材の基準も自然と高くなっていきます。コーポレート部門では、会社の成長と共にイギリス本国やグローバルチームとの頻繁なリモートミーティングが業務遂行に必要となっていますが、マネージャーだけでなく、業務に関わる誰もが積極的な参加が求められます。その結果、英語の要求レベルも高く、仕事内容もそれぞれの専門領域を持ちつつもマルチタスク化しています。

―日本法人のオフィスでは風通しをよくすることを心がけているそうですね。それは何故ですか?

関心のある人が「サステナビリティ推進」として社内外の勉強会に積極的に参加したり、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みとして「ジャパン・カルチャー・ボード」という社内コミュニティも今年発足しました。

海岸のゴミ拾いのボランティア「ビーチクリーニング」は家族同伴がOKで、参加者の交通費をサポートします。また、ポール・マッカートニーが地球環境保護を目的として提唱している「ミート・フリー・マンデー (Meat Free Monday)」は全世界で実施しており、毎月1回、ビーガンメニューのランチ代を会社が補助します。これらの取り組みはすべて参加は任意で、店舗もコーポレート部門も誰でも関わることができます。自発的な取り組みや参加が社内ネットワーク作り、社内の風通しを良くすることにもつながり、また社会問題を考える機会になる良い取り組みになっていると思います。

―そのような「横に繋がった意識」が、仕事の面でもプラスになっているわけですね。

コーポレート部門では管理部門メンバーが集まる「バックオフィス・ミーティング」を定期的に行ったり、部門長同士のキャッチアップ・ミーティングを行うなど、横断的な情報共有の場も大事になっています。これは「今、誰が何の仕事をしているのか」を互いに理解することで、仕事を共有し、全体像をつかみ、進捗を理解し、情報をシェアすることに繋がり、そこからアイデアが出てきて、信頼関係が生まれ、職場での安心感になっていきます。そういうことを形骸化させないことが風通しの良さにつながるのではないかと思います。ひとりひとりが当事者として常に試行錯誤を繰り返すことが大事ではないかと思います。

2022年、日本法人設立10周年―さらに10年先へ、ファッションビジネスの変化は?

―佐藤さんにとって日本法人設立からの10年間で大変だった時期は?

大変だったのは最初の半年から一年間ぐらいですが、ずっと楽しく仕事をしています。というのも私自身、ステラ マッカートニージャパンでの仕事はポジティブな意味での「チャレンジ」だと思っていて、数字が伸びてくるのはうれしいことですが、一緒に働いている人たちが優秀で、人間性も良く、どんどん成長して行くのが分かるのがもっとうれしい。全体のレベルが上がり、優秀な人が増えていくのは、一緒に仕事をしている醍醐味です。

―2022年に10周年を迎えられますが、この2年ほどのパンデミックで消費者の意識は激変しています。さらに未来に向けて「ファッションの行く先」をどう考えていますか?

コロナ禍になって消費者のモノに対する意識は大きく変わり、生き方の意識も変わってきています。自分自身にとってはもちろん、環境にとって無駄で余計なモノは買わない「消費の高度化」がますます進み、もう元には戻らないでしょう。「地球環境を破壊してまで暮らさなくていい」という意識は、若いZ世代などを中心に確実に広がっています。

―そうですね。使い捨ての100円と、持続可能な150円なら、今のZ世代は喜んで150円出すそうです。

世の中の意識がサステナブルになることはそういうことですが、一方でファッションが持つ「きれいになりたい、おしゃれしたい」というのは人間の欲望の一つなのでなくなることはありません。でも、手にする商品にメッセージが加わって、それが持つ喜びに変わっていく「ストーリー消費」に重きが置かれると思います。

―なるほど。ファッションビジネスに未来はありますね。

ファッションビジネスは様々な面で変革が必要ですが、私はアートや音楽などのカルチャーと同じ目線でファッションデザインを楽しんでいます。特にファッションは、誰でも手に取れる、着られるという一番身近な存在ですし、ステラのようにメッセージ性を込めることもできる。ファッションビジネスは「カルチャーを作っていく仕事」でもあります。

共に前に進んでいく人と一緒に仕事をしたい

―さて、ステラ マッカートニージャパンはどんな人材を求めていますか。

店舗で働く場合も、コーポレート部門で働く場合も、受け身ではなく自ら課題に関わっていける自発性や、そのことを必要な人に共有しようという発信力をもってほしいと思っています。時代や状況の変化、組織の変化はいつでもあるものです。その中で、自分の役割は何か、どんなことができるか、会社はいま何を必要としているか、そんなことを当事者として考え、共に前に進んでいく人材を求めています。

―では、佐藤さんからメッセージを。

今回は私のプロフィールからお話をしましたが、私は一貫して「自分が前に進める仕事」をしてきました。現在は経営トップの一人として、「前に進める人と一緒に仕事ができる」ことが私の喜びです。ステラのメッセージや彼女のデザイン、生き方など、どこかに接点があれば、あなたの人生を前向きにさせてくれる仕事がここにあります。

突然世界中を襲ったパンデミックはまだ進行中だが、一度心の中に根づいたエコロジーやサステナブルな意識は、衣食住の全カテゴリーに渡ってますます顕著にカタチとなって表れてくるはずだ。“時代をカタチにするのがファッションデザイン”なので、佐藤氏が語る「共感から生まれるファッション」はより大切なものになっていくだろう。自分の身の回りを見渡せば、そこにあるのは共感して購入したものばかり。私たちの暮らしはそうして進化していくものなので、「メッセージの送り手」の役割はとても重要になっていく。

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