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逃げ道はない──映画「神は見返りを求める」に出演、俳優 栁俊太郎にインタビュー

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栁俊太郎 – 逃げ道はない

ファッション誌『MEN's NON-NO』で専属モデルとして活躍し、浅野忠信との出会いをきっかけに2012年からは役者として多くの作品に出演する栁俊太郎。順風満帆なキャリアと思える栁の意外な幼少期、くすぶり時代、そして役者として生きる覚悟が決まるまでを振り返ってもらった。

一番嫌いなタイプで難しかった

栁さんの最新の出演作、映画『神は見返りを求める』が2022年6月24日に公開されます。吉田恵輔監督の現場は初めてだったそうですね。

もともと吉田監督の作品のファンだったので、めちゃくちゃ嬉しいオファーで最高でした。吉田監督はフランクなんですけど芯が通っていて、男気のある方で。

どんなところに男気を感じたんですか?

決断するのが速いところです。「自由にやって」という所と、「それは違う」という所をしっかりと持っていて、それを僕らにもきちんと伝えてくれる。ハキハキしていて、迷いの無い方なんだなと感じました。

監督のなかにしっかりとビジョンがあった。

怒るシーンでは吉田監督自身も怒ってしまうような演出の仕方で。吉田監督の作品って、はっきりしているじゃないですか。アッパーになるときはアッパーで、ダウナーになるときはダウナーで。脚本もご自身で書かれているので、すごくイメージができているんでしょうね。

あと、ダークなことを描いていてもどこかユーモアがあって、クスっと笑えますよね。それは吉田監督自身にユーモアがあるからなんだなと思いました。

栁さんはイケメンデザイナーの村上アレンを演じられましたが、脚本を読んですぐイメージは広がりましたか?

イメージは掴めたんですけど、「イケメンデザイナー?」みたいな(笑)。プレッシャーは半端ないし、自分は村上のような人間性じゃないので難しかったです。僕が一番嫌なタイプだったので(笑)。

本当にいけ好かない感じが出ていました。

苦手な人の真似というか、その人になれって言われたら難しいじゃないですか。村上は喋り方一つひとつが理屈っぽくて、面倒くさくて。(岸井ゆきのさん演じる)ゆりを感情的に詰めるシーンはなかなかできなくて、吉田監督のイメージに辿り着くまでに少し時間がかかりました。その他はわりとスムーズに進んだんですけど。

個性的なキャラクターが多く登場するなかで、村上をどう見せていこうと考えましたか?

主演のお二方をはじめ、感情に波のある役が多かったので、僕は淡々と演じるようにしていました。吉田監督からは自由に芝居して良いと言われていたんですけど、淡々としていた方が二人の感情の浮き沈みが面白く見えるかなと思ったので。おとなしくて、詰めるところは詰めるという形で良いかなと。

あとは衣装合わせで「これいいね」ってなった衣装が、僕が思っていたイメージと重なったんです。そこで役のイメージが完成しました。

役者は、楽しくて、苦しい

『神は見返りを求める』では岸井ゆきのさん演じるゆりちゃんがYouTuberとして売れるために、大切だったものも犠牲にしていきます。栁さんはお仕事で活躍するために、何かを犠牲にしたことはありますか?

高校生の頃、「この先どう生きていくのか」ということをほとんど何も決めていなかったんです。そんな時に『MEN’s NON-NO』でモデルをすることが決まって。その後、役者としてお仕事する機会もいただいて、ほんとラッキーだったんです。だから何かを失ったり犠牲にしたことは無くて、得られたものの方が圧倒的に多いという感覚です。

仕事を始めてから変化した部分はありますか?

実は小さな頃から写真コンプレックスで、集合写真にもあまり写りたがらない子供だったそうです。そんな自分がモデルとして仕事をすること自体が、すごく大きな変化ですよね。現場に行く度に初めて会う人がたくさんいるので、少しずつシャイさが無くなってきている気がします。

人前に立つことに慣れてきたんですね。

そうですね。昔から人前に出ることは得意ではなかったのに目立ちたがり屋ではあったようで、お遊戯会でも「主役をやりたい」って。でも、本番になるとビビってステージに出てこられないっていう面倒くさい子供で(笑)。女の子に手を引いてもらって、ようやくステージに連れて行ってもらうこともあったそうです。

いつから緊張しなくなったんですか?

今でも大丈夫ではないです(笑)。舞台挨拶でもうまく喋れないですし、めっちゃ緊張します。あまりそうは見えないと言われるんですけど、いつも心臓バクバクです。

役者を始めて今年で10年になりますが、役者を始めたころのことを思い出すことはありますか?

不意に思い出すときはあります。当時の作品を観たりはしないですけど、思い出して「うわー、恥ずかしい」みたいな気持ちになったり。

どんな時に思い出しますか?

たぶん、どこかで自信が無いんでしょうね。ちょっとネガティブな考え方ですけど、現場で「上手くいくように」ではなく「失敗しないように」って考えてしまうんです。そういう時に、昔の現場のことを思い出します。

もちろん、上手くいったということが積み重なって、成長できたと感じることもあります。でも、圧倒的に失敗の方が強く残っていますね。そして新しい壁もどんどん出てくるので、果てしないなって思います。

新たな壁が出てくることはどう感じますか?

楽しいですね。楽しいし、苦しいし…。いろいろな感情が出てきます。

お前はもっとできる

映画はYouTuberゆりちゃんの”くすぶり”時代から始まりますが、栁さんもくすぶっていたなと感じる時期はありますか?

20代中盤から後半にかけては、ずっとくすぶっていました。僕と同じ『MEN’s NON-NO』出身の坂口健太郎とか成田凌とか宮沢氷魚が努力をして結果を残して、たくさん表に出ていて。「ああ、みんな追い抜いていく…」って思っていましたし。

そういうときは、どう平静を保つのでしょうか?

僕は結構プライドが高かったので、「俺には俺の良さがあるし」って自分に言い聞かせていましたね。メインストリームで活躍していく人がいる中で、俺はアングラでもカッコイイもの作っているんだぞっていう変な自信を持ちながら。でもそういうところが、きっとくすぶっているんでしょうね。嫉妬はしていたし、良いなと思ってはいたので。

ご自身の気持ちが変わったきっかけは何かあったんですか?

モデルの仕事を辞めてからですね。モデルをやっていると、どこかで逃げ道があったんです。パリのコレクションに行くと、やっぱり「どうだ?」みたいな気持ちになりますし。『MEN’s NON-NO』のモデルを辞めたことで、「役者としてやっていくぞ」というマインドに切り替わったんじゃないかと思います。

くすぶっていた頃の自分にアドバイスをするとしたら、どんな言葉を投げかけますか?

お前はもっとできるし、もっと努力しろよって。

努力というのは?

結構サボりがちなので。昔はすぐに「もういいや遊んじゃおう」みたいな気持ちになっていた気がします。

でも、当時は当時できっと精一杯頑張っていたんだと思います。

たしかに。そう考えると「もうちょっと頑張ったら、もうちょっと楽しいんじゃない?」ぐらいの言葉じゃないと、アドバイスは聞いてくれないかもしれません(笑)。

では最後に。映画の中でも描かれていますが、YouTubeと映画の違いや変化について考えることはありますか?

YouTubeやInstagramのストーリーズもそうですけど、世の中も自分も、短い尺の動画を観ることに慣れてきて、だんだんと長い尺に耐えられなくなってきているような気がしています。昔は3時間の映画も普通に観ていたけど、今では少し長く感じてしまうなと。最近では映画もどんどん短くなっていて、90分くらいの映画も増えていますよね。もちろん内容が面白かったら良いんですけど。

栁さんが参加する作品にも変化がありますか?

映画の数は減っていませんが、最近は配信のドラマが増えていますね。だからといって何かをしなきゃとか考えているわけではないですけど、この先どうなっていくんだろうと、単純な疑問として頭の中にはあります。

家でYouTubeや動画配信を楽しむことも、映画館で映画を観る体験もどちらも共存していけると良いですよね。

コロナ禍で映画館に行けなかったときは、配信でいろいろな作品を観ていたんですけど、やっぱり映画館に行ったときのあのテンションって忘れられないなと改めて思いました。初めてのデートで映画に行ったこととか思い出もたくさんあるし、無くなったら寂しいです。

Profile _ 栁俊太郎(やなぎ・しゅんたろう)
1991年5月16日生まれ、宮城県出身。2012年、映画『東京プレイボーイクラブ』(奥田庸介監督)で、俳優デビュー。以降、『猿楽町で会いましょう』(21/児山隆監督)『弱虫ペダル』(20/三木康一郎監督)『るろうに剣心 最終章 The Final』(21/大友啓史監督)、『桜のような僕の恋人』(22/深川栄洋監督)、『生きててよかった』(22/鈴木太一監督)等話題作に出演。
Instagram

Information

栁俊太郎さん出演映画『神は見返りを求める』

2022年6月24日(金)TOHOシネマズ日比谷、渋谷シネクイント他 全国公開

出演:ムロツヨシ、岸井ゆきの、若葉竜也、吉村界人、淡梨、栁俊太郎
監督・脚本:𠮷田恵輔

『神は見返りを求める』公式サイト

©2022「神は見返りを求める」製作委員会

Photography : Ryohei Hashimoto
Styling : Shogo Ito(sitor)
Hair&Make-up : Kazuma Kimura
Art Direction : Kazuaki Hayashi(QUI / STUDIO UNI)
Text : Sayaka Yabe
Edit : Yusuke Takayama(QUI / STUDIO UNI)

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