■ディスカウンターのターゲットがアマゾン・プライムやウォルマート・プラスに対抗してサブスクリプション・サービスのローンチを模索している。
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ブルームバーグが7日に報道したところによると、ターゲットが早ければ年内中にメンバーシップを開始すると関係者の話として伝えた。
社内では「プロジェクト・トライデント(Project Trident)」と呼ばれるサブスクリプションの年会費等の詳細は不明。
ただターゲットは2017年にオンデマンド買物代行・宅配サービスのシプツ(shipt)を5.5億ドルで買収している。
シプツの宅配はサブスクリプションとなっており年会費99ドル(月額プランは10.99ドル)を支払ってメンバーになることで、発注金額が35ドル以上は手数料無料で何度でもサービスを受けられる。
ターゲット以外ではクローガーやクローガー系列のスーパーにアルバートソンズ系列等に地域の食品スーパー、さらにドラッグストアチェーンのCVSやウォルグリーンからの宅配もおこなっている。
ターゲットにはロイヤリティ・プログラムの「ターゲット・サークルオファー(Circle Offers)」がある。
ターゲットのサークル・オファーは2013年5月から開始されたクーポン機能「カートウィール(Cardwheel)」を5年前にアップデートしたもの。
サークル・オファーはターゲットが提供する数百アイテムで値引きする機能だ。
値引き対象となる多くの商品が「アップ&アップ(Up & Up)」や食品のプライベートブランド「グッド&ギャザー(Good & Gather)」などターゲットのプライベートブランド(PB)商品で、最大50%オフになる値引きも含まれている。
ディスカウント期間も短いものでは「当日1日のみ」から、最大1ヶ月以上にも及ぶ長期間のものもある。
ターゲットには商品力のあるプライベートブランドがあり、アスレジェー・ブランドの「オール・イン・モーション(All in Motion)」など10億ドル以上のビジネスとなったブランドもいくつもある。
ターゲットはPBをつかって現在、2016年から始動したプライベート子供服ブランド「キャット&ジャック(Cat& Jack)」で返品期間を1年間に延長しているサービスもある。
小さい子供をもつ母親なら「エッ!?」と誰もが驚くような寛大な返品条件となる。購入から365日以内なら「満足できない」で返品できれば子供服はいくらでも返品できるだろう。
なぜなら子供は成長が著しい。子供が成長することで半年もしないうちにして子供服が小さくなってしまうのも珍しくない。
「長袖の丈が短くなって気に入らない」との理由でバンバン返品ができてしまう。しかもプライベートブランドといってもキャット&ジャックに関してはすでに30億ドル以上を稼ぎ出す人気ブランドとなっているのだ。
乱用されないように条件として返品の際にはレシートに身分証明書の提示を義務付けている。何十回、何百回にも及ぶような返品にならないよう身分証明書からフラッグが立つようになっているのだ。
一人の顧客が返品できる総額は1年で100ドルまで。
ターゲットの寛大なサービスはそれだけではない。なんとクルマに乗ったままで返品も可能となっている。
ネット注文品を専用の駐車場で受け取るカーブサイド・ピックアップをターゲットでは「ドライブアップ(Drive Up)」と呼んでいるが、返品もドライブアップで受け付けるようになっているのだ。
つまりキャット&ジャックをネット注文してドライブアップでクルマから降りずに受け取れ360日後、子供が成長し着れなくなったキャット&ジャックをドライブアップでスタッフに渡して返品完了となる。
そんなサービスにターゲットではコーヒーまで注文できるようになっている。ターゲットのドライブアップでスターバックスのコーヒーも同時に受け取れるサービスを約1,700店に拡大しているのだ。
一石二鳥となる同サービスではクルマから降りてわざわざ店内のスターバックに寄る必要がなくなる。
ターゲットには自社ブランドのクレジットカードの「レッドカード(Redcard)」があり、カードをアプリに登録しておくことで自動的に5%引きとなるのだ。ターゲット・オファーに組み合わせても利用できる。
ターゲットはシプツの宅配サービスを中心にしてサブスクを行いながら、寛大な返品期間やサークル・オファーなどの様々な特典を強化・追加していくことを考えているのだ。
アマゾン・プライムやウォルマート・プラスなどのサブスク・サービスではかなりの後発となるが、年会費によっては非常に魅力的になる可能性を秘めている。
トップ画像:当社のワークショップ視察研修でモバイルオーダーしたスタバ・コーヒーをターゲットのドライブアップにて出前してもらう参加者。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。ターゲットが昨年11月に発表した第3四半期(8月~10月期)決算では、既存店・売上高前年同期比が6年ぶりに2期連続して減少しました。今月中には第4四半期(11月~1月期)決算の発表が予定されていますが、既存店ベースが反転するのは難しいと思っています。つまり3期連続して前年を下回るという予想です。それが見えているのでターゲットはサブスクリプション・サービスのローンチを意図しているのです。コアな顧客が利用するサブスクで新たな収益源を得られます。しかもサブスク会員はオムニチャネル・シャッパーであり、顧客の生涯価値が最大化します。つまり支払総額が一般客よりも大幅に伸びる傾向となるのです。ただし問題は遅きに失する可能性があること。ターゲットのコア顧客の多くはコストコ会員であり、アマゾン・プライムのメンバーシップも重複して持っていたりします。彼らほど重なりませんが、生鮮品の宅配サービスのサブスクならあウォルマート・プラスにクローガーのブーストもあります。
大手チェーンストアが成長戦略としてサブスクをローンチしているのにターゲットは業績が良かったことで長い間、静観していました。ウォルマート等がターゲットを意識してサブスク特典をさらに強化させますから、ターゲットのサブスクは苦戦すると思いますね。
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