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繊研plus学生の頃、通い詰めた地元の古本屋がコロナ禍で閉店した。帰省した際、閉店を伝える貼り紙を見て驚き、思わずその紙の余白に「ありがとうございました」と書き添えた。数日後、感謝の言葉で埋め尽くされた貼り紙の写真が、家族から送られてきた。30年以上、地元客の〝止まり木〟だった。
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ところが、昨年末に帰省すると、そばに新たに古本屋ができていた。こぢんまりとした店構えに、店主の思いが伝わる棚。閉店した古本屋の常連だった30代が始めたそうだ。
コロナ禍で閉店を決めたある専門店も、常連客の支援のもと、元スタッフの手で生まれ変わった。地元事業者とのマルシェ企画や、家族で来る顧客向けに感度の高い文具を扱うなど、試行錯誤で新たな魅力が宿る。昨年、閉館が決まっていた名古屋市内のミニシアターも、数カ月後、元スタッフの手での復活が報じられた。
地方百貨店の閉店も相次ぐ。その度に断ち切られるようにみえる文化だが、思いは途絶えない。偉大な親木のもとに芽吹く若木を見逃さず、応援したい。
(桃)
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