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「スニーカーを好きになってもらいたい」ミタスニーカーズ国井栄之が新業態に参画した理由

「スニーカーを好きになってもらいたい」ミタスニーカーズ国井栄之が新業態に参画した理由

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今年2月29日に虎ノ門ヒルズ ステーションタワー内で開業したランドマークストア「SELECT by BAYCREW’S(セレクト バイ ベイクルーズ)」内に、フットウェア専門店「Herringbone Footwear(ヘリンボーン フットウェア)」がオープンした。その外部ディレクターを務めるのが、mita sneakersの国井栄之さんだ。今回は、そのプロジェクトに携わった理由や、どんなコンセプトで展開していくかなど「ヘリンボーン フットウェア」を紐解くべく、国井さん本人にお話を伺った。

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最初はこのプロジェクトを断ろうと考えていた

東京の新名所でもある虎ノ門ヒルズ ステーションタワー。その2階と3階合わせて約800坪の広大なフロアに、“生活を豊かに楽しむためのセレクション”をイメージした『セレクト バイ ベイクルーズ』が2月29日にオープンした。その一角でフットウェア専門ストアとして展開されるのが『ヘリンボーン フットウェア』だ。外部ディレクターを引き受けた経緯を国井さんはこう語る。

「ヘリンボーン フットウェア」の外部ディレクターに就任した国井さん。今回のプロジェクトは国井さんにとっても新たなチャレンジでもある。大判のサイネージが使われた内観も見どころだ

「まず、コロナ禍前に虎ノ門を中心に大規模な都市開発が行われることを聞き、その中で虎ノ門ヒルズ駅直結のビル(ステーションタワー)ができること、そしてそのビル内で“ベイクルーズ”が社運を賭けた新たなプロジェクトを企画している話を水面下で伺ったんです。今回のようないわゆる“ベイクルーズストア”は仙台や名古屋、福岡など、地方都市ではすでに展開されていました。

今回、満を持して東京で旗艦店をオープンするので、今まで地方で展開していたことをただ東京でやるのも面白くない。今までにやったことのないチャレンジをする名目で、ベイクルーズ直営のフットウェア専門店を作ろうとなり、あえてここでは名前を伏せさせて頂きますが、とある方の提案によって自分に白羽の矢が立ったという流れです」

最初に話を聞いたときは断ろうと考えていた国井さん。ちょうどCOVID-19のパンデミックが起こり、この先どうなるかわからない状況で、新しいことをやりたくてもやりきれない状況だったここ数年。そして2~3年かけてやっと形になるスニーカーのプロジェクトも多いことから、実際はかなり迷っていたそうだ。

店内には大きなガードレールが設置される。極力、無機質に仕上げたという内装は、スニーカーのカラフルさがより引き立つようにという趣向だ

「そんな状況だったのですが、自分はインラインの企画やスポットのコラボレーション、他の小売店と組んで販売促進するプロジェクトは行ってきましたが“今まで培った経験を生かして新しい店を始める”という機会がなかったことに気づきました。現在の日本のスニーカーシーンを俯瞰で見た時に“新しい方向”に促す必要が絶対だと気付き『ミタスニーカーズ』ではできないこと、そしてやらないことであれば挑戦したいという気持ちに変化し、お付き合いのある各メーカーさんからもポジティブな反応を頂けたので、そこも気持ちの後押しになり、今回のお話を引き受けることに決めました」ベイクルーズにとっても国井さんにとっても、今回のプロジェクトは新たな挑戦だったのだ。

普遍的なソールパターンのようなニュートラルな存在

今回、屋号にもなっているショップ名になぜ“ヘリンボーン”を採用したのかについても国井さんはこう答えてくれた。「ニシンの骨を意味する“ヘリンボーン”という名前はアウトソールのパターンが由来となっています。往年の名作から最新モデルまで、時代を超越してアウトソールに使われているのがまさに“ヘリンボーン パターン”なのです。

ナイキ、アディダスをはじめ、ニューバランスなど主要なブランドはすべて網羅。「ミタスニーカーズ」とも連携し、一部コラボモデルなども「ヘリンボーン フットウェア」でも展開される

ヘリテージとイノベーション、そしてブランドの垣根がなく使われるそのアウトソールパターンのように、普遍的でニュートラルな存在でありたいというコンセプトから『ヘリンボーン フットウェア』と名付けました」そこには一過性ではなく、フラットな目線でシューズ選びができるストアを目指したいという意図も込められている。「ヘリンボーン フットウェア」はジェンダーニュートラルな展開をコンセプトであり、スポーツブランドをはじめ、アウトドアやメゾンブランドのシューズもラインナップされるとのこと。「ミタスニーカーズ」との差別化についても伺ってみた。「『ミタスニーカーズ』はある意味“インディペンデント”であることに美徳があるショップだと勝手に考えています。久しぶりに来店いただいてもそこに変わらず在ることが大事だと思うし、時代の流れに沿って雰囲気ががらりと変わってしまうお店も多いなかで、あくまでその“延長線上”に重きを置いていました。

現在人気のサロモン「XT-6」。他では買えなかったあの人気モデルも「ヘリンボーンフットウェア」なら、サイズが残っている可能性も

『ヘリンボーン フットウェア』は場所柄も含めジェンダーニュートラルな部分があるので『ミタスニーカーズ』ではメンズのサイズのみで展開されるモデルも、女性対応サイズから足の大きな方まで幅広く展開しているのが大きな違いではあります。ベイクルーズではレディースのレーベルも多く、それぞれが個々にスニーカーを打ち出すこともありましたが、スニーカーが好きでもその情報をカバーできない部分も出てきます。そういったフットウェアも一堂に会する場所になれればいいなとは考えています」

シンプルにスニーカーを好きになってもらいたい

最後に「ヘリンボーン フットウェア」の今後の展開についても伺うと、国井さんはこう答えてくれた。「『ミタスニーカーズ』とは違ってこれだけの贅沢な立地と空間なので、フィジカルなイベントも積極的にやっていきたいですね。あとはスポーツの要素と都市生活者が織り成せるようなウェアも提案できればと考えています。

店内の床にはマンホールのような蓋もレイアウト。達磨のデザインと“HERRINGBONE FOOTWEAR”や“TORANOMON TOKYO”との刻印も

自分の周りには服作りを生業にする同世代の友人や先輩もたくさんいるので、中途半端なアパレルを展開するなんておこがましい真似はできません(笑)。普段着るカッコいいアパレルはごまんとあるので、ライフスタイルの中でのスポーツ的場面や要素、そしてワークアウトなどに最適解なウェアが展開できればと思っています」

「ミタスニーカーズ」では展開されていないメゾン マルジェラのスニーカーなど、ラグジュアリーブランドのフットウェアもラインナップ

そして「ヘリンボーン フットウェア」では、スニーカーなどのフットウェアはもちろんのこと、シューケア用品の他にも新たに「CORPUS(コーパス)」という新ブランドのボディリフレッシュ用品も展開されるとのこと。

「根本的に『ミタスニーカーズ』も『ヘリンボーン フットウェア』もやりたいことは一緒で、根底にある“より多くの人にスニーカーを好きになってもらいたい”という信念は両者ともに変わりません。ただ、ベイクルーズはさまざまな業態があって、それぞれの存在感が大きいので、おのおのが独立して見えてしまう部分もあります。

今回オープンした『セレクト バイ ベイクルーズ』はそのベイクルーズの各業態を集積したショップということなので、スニーカーという共通項でそれぞれの業態を繋ぐハブのような役割を担っていければと思います」

“もっとスニーカーを好きになってもらいたい”という根っこの部分は変わらない。国井さんの新たな挑戦はまだまだ続いていく。さまざまな仕掛けで我々を驚かせてくれるプロジェクトに今後も期待してたい。

PROFILE|プロフィール

国井 栄之(くにい しげゆき)
mita sneakers クリエイティブ ディレクター東京の下町である上野から世界へ向けて独自のスニーカースタイルを提案するmita sneakersでクリエイティブ ディレクターを務める。数多くのブランドとのコラボモデルや別注モデルを手掛けるが、ニューバランス関連でのコラボや別注でもその手腕を発揮する。世界的プロジェクトから国内インラインのディレクションまで多岐にわたり、スニーカープロジェクトに携わるスニーカー業界の最重要人物。

Herringbone Footwear
東京都港区虎ノ門2-6-3 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー3F

Text by Yasuyuki Ushijima(NO-TECH)

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