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越境ECとは
越境ECとは国境を超えた電子商取引のこと。
一般的に国内の消費者だけでなく、ECサイトを通じて国外の消費者に向けて商品を販売する、または海外のECサイトから商品を購入して取り寄せることを指します。
国内にはない海外の商品を購入できる点で注目されている越境ECですが、企業側にとっても、ファッションアイテムの需要が高まっている東南アジアをはじめとする海外に販路を拡大できるため、越境ECを展開する企業が近年増えてきています。
越境ECが拡大している理由
越境ECが拡大している消費者側の理由は、海外にしかない商品やユニークな商品を購入できる点や、商品をより安価な値段で購入できる点などが挙げられます。
日本では、越境EC「SHEINI(シーイン)」が10代〜20代を中心に利用されていることからもその人気の高さがうかがえます。
一方で、越境ECの市場規模はEC市場全体から見ても成長率が高く、ビジネスとしても注目を集めています。
日本国内では、訪日外国人が帰国後に日本製品をリピートする「旅アト消費」につなげるため、越境ECの活用が見込まれています。
また世界的な傾向として、パンデミックによりデジタル化が加速したことや、外出制限でECの需要が高まったこと、スマホの普及率が向上したこと、SDGsや原材料の値上がりなどによるグローバル古着市場の成長などが越境ECの需要を後押ししているようです。
越境ECの種類
越境ECの種類は以下のように大別できます。
ECモール型
ECモール型の越境ECは、既にあるECモールに出店して商品を販売します。
細かく分けると、ECモール型の中にも、マーケットプレイス型とテナント型に分けられており、前者はAmazonのようにブランドがプラットフォーム上に商品のみを出品して販売する形式で、後者は楽天市場のように、ブランド自体をプラットフォーム上に出店して独自の販売ページを設けて販売する形式です。
海外のさまざまなブランドを一覧できるだけでなく、対応言語や決済方法が構築されているのでスムーズに購入することができます。
自社EC型
自社EC型とは、名前の通り自社でECサイトを構築して海外向けに商品を販売することです。
ECモール型と比べてサイトのデザインなどがブランド独自であるため、ブランドの世界観を体感できるのが特徴です。
越境ECを運営している国内アパレルブランド代表例
「ベイクルーズ」が「Buyee」というECモール型の越境ECを利用しているように、現在、日本国内のブランドはECモール型の越境ECを利用しているブランドが多い傾向にあります。
ここからは、自社EC形で越境ECを展開している国内ファッション・アパレルブランドを紹介していきます。
また今後海外への販路拡大を予定しているブランドも多いため、各ブランドの動向にも注目が必要です。
「UNIQLO(ユニクロ)」
品質の高いアイテムを低価格で販売している「UNIQLO」。SPA業態でグローバル展開していることでも有名です。
UNIQLOでは海外でも実店舗とECの両方を展開しており、中国や韓国、台湾を中心に1,634店舗を展開(2023年8月期)。それらの国でも独自型のECを運営しています。
「SHIRO(シロ)」
「SHIRO」はスキンケアやコスメ、フレグランスを中心に商品を展開するコスメティックブランド。企画から製造、販売まで幅広く行っています。
2009年に北海道砂川市で生まれた「SHIRO」は、北海道の自然から得られた素材を使用して作られた製品が多いため、海外からもメイドインジャパンの製品として親しまれています。
「SHIRO」では海外3ヶ国に独自のECサイトを運営。現在、アメリカにオンラインストア、イギリスと台湾に店舗とオンラインストアを展開しています。
「URBAN RESEARCH(アーバンリサーチ)」
セレクトショップ「URBAN RESEARCH」や「KBF(ケービーエフ)」、「SENSE OF PLACE(センスオブプレイス)」などのオリジナルブランドを展開しているアーバンリサーチは、台湾の顧客に向けて独自の越境ECを展開しています。
アーバンリサーチでは、2014年に海外現地法人として株式会社台湾アーバンリサーチを設立。中国などアジアへの進出も積極的に行っています。
「60%(シックスティーパーセント)」
アジアのアパレルブランドが「60%」に出店することで、商品を世界中の人に販売できるECモール型の越境ECを運営しています。
韓国やインドネシア、台湾、中国などアジア10カ国から約250ブランド、約13,000アイテムを取り扱っています。
同社がブランドと直接取引をしているので、偽物が届く心配がないのが特徴。また現地価格と変わらない金額で販売しているため、他の通販サイトと比べても安く購入することができます。
これまでは日本市場を中心に販売してきた同社ですが、2024年3月には英語版のグローバル版サイトをリリース。
今後は国内外の利用者向けグローバルマーケットプレイスとして、タイや中国などのアジアを中心にグローバル展開を進めていくそうです。
「越境EC」と「グローバルEC」との違い
越境ECとグローバルECは似ている用語ですが、それぞれ独自のニュアンスを持っており、明確な意図を持って使い分けていることもあります。
越境ECの「越境」は「国境を超える」こと。日本から海外へ商品を発送するニュアンスが含まれます。
一方、グローバルECの「グローバル」は「世界的規模の」といった意味のため、物理的に国境を越えていく意味合いを含みません。
また一般的にグローバルECは、現地法人を構えるなどより本格的に海外で事業展開するECサイトを指します。
そのため、あえてグローバルECという言葉を用いた場合、日本を介さず海外市場のみで事業を展開するECを意味するケースが多い傾向にあります。
ただ両者に厳密な区別はなく、「海外向けのEC」という広義の意味で使われることが多いようです。
越境ECを運営するファッション・アパレル企業一覧
ファッション・アパレル業界に特化した求人サイトを運営する「READY TO FASHION」では、越境ECを展開している「株式会社シックスティーパーセント」や「株式会社アーバンリサーチ」、「株式会社シロ」といった企業の求人を掲載しています。
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三谷温紀(READY TO FASHION MAG 編集部)
2000年、埼玉県生まれ。青山学院大学文学部卒業後、インターンとして活動していた「READY TO FASHION」に新卒で入社。記事執筆やインタビュー取材などを行っている。音楽、ドラマ、食、本などすべてにおいて韓国カルチャーが好き。
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