LA郊外に新規8店、「実店舗こそブランド」を掲げるトレーダージョーズ
■42州に550店を展開するトレーダージョーズが南カリフォルニアに新たに8店舗を出店することがわかった。
■42州に550店を展開するトレーダージョーズが南カリフォルニアに新たに8店舗を出店することがわかった。
LA郊外に新規8店、「実店舗こそブランド」を掲げるトレーダージョーズ
■42州に550店を展開するトレーダージョーズが南カリフォルニアに新たに8店舗を出店することがわかった。
オープン日等のスケジュールは明らかにしていないが、ロサンゼルス郊外モンロビアに本社を置くトレーダージョーズは地元での足場をさらに強固にする。
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出店となるのはロサンゼルス群内にあるサウスパサディナ、ノースリッジ、シャーマンオークス、サンタクラリタ。
またロサンゼルス郊外でオレンジ郡のラデラランチ地区にリバーサイド郡のムリエタ地区も含まれており、さらにサンディエゴ郊外のパウウェイやサンティーにもそれぞれ出店する。
南カリフォルニア以外ではフロリダ州やネバダ州、ニューヨーク州、テキサス州にも出店を予定しており明らかになっているロケーションは24ヶ所に及んでいる。
トレーダージョーズは年間で30~35店舗を新規出店していることが知られているため、それほど多くはない。
ただトレーダージョーズは以前にも増して出店する風向きになっている。一つはコロナ禍以降に撤退する大手チェーンストアが増え出店候補先が増えていることだ。
例えばサウスパサディナ地区はアルバートソンズ傘下のボンズの跡地に出店、ラデラランチもオフィススーパーストアのステープルズの跡地、ムリエタもオフィスマックスの跡地だ。
ショッピングセンターなど不動産業者にとって空きテナントをそのままにしておくのは無駄になるため、集客力のあるトレーダージョーズに出店してもらいたいとの思いも強いのだ。
実際のお客からの出店要望も少なくない。なぜなら頑固なインフレにより食品価格を含め生活費が上昇しており、トレーダージョーズのようなプライベートブランドが8割以上を占める食品スーパーが重宝しているのだ。
ナショナルブランドに比べてPB商品はそれほど値上げしていない。PB以外でもトレーダージョーズの値上げはそれほど目立たない。
一方で20年以上も価格を変えなかった人気青果物をついに値上げしたと逆にニュースになるほどだ。
1本19セントのバナナを今年3月、23セントにしたのだ。4ペニー高くなったのだが、値上げ率にすると21%になる。20年以上にわたりトレーダー・ジョーズではバナナを値上げしなかったという。
しかしトレーダー・ジョーズの広報担当者は大手メディアに「費用が変わったときにのみ販売価格を変更しています」とし「バナナの価格は20年以上1本19セントに据え置いてきましたが、価格変更が必要なポイントに達しています」と説明していた。
他者はもっと値上げをしていることもあり、トレーダージョーズの価格は消費者に良心的に映るのだ。
トレーダージョーズは出店方法について社長でCOOのブライアン・パルバーム氏は「地域住民からのリクエストにディストリビューションセンターとの距離、そして商圏が重要」と述べている。
新規24店舗のうち8店舗が南カリフォルニアが占めているのはサプライチェーンで有利なところもある。
またトレーダージョーズが積極的に出店するのはビジネスモデルにも起因している。
トレーダージョーズのコアバリューは「誠実さ(Integrity)」「商品力(Product Driven Company)」「カスタマーサービス(Wow customer service)」「非官僚主義(No bureaucracy)」「カイゼン(Kaizen)」「実店舗こそブランド(The store is our brand)」「私たちは全米に展開する近所のスーパー(We're a national chain of neighborhood grocery stores)」と7つある。
顧客から頻繁にリクエストされるオンラインストアについては「実店舗こそブランド(The store is our brand)」であるため、ネットスーパーに今後も非参戦を宣言している。
ネットスーパー投資がないことでコストを抑えられ、プライベートブランドの商品戦略等と絡んでローコストで運営できる。つまり価格を安く提供できるのだ。
ネットで購入できないのなら店に行くしかなくなるため、顧客の利便性を高めるため出店数を増やすしかない。昔ながらの売り場に根ざした食品スーパー展開のビジネスモデルになるのだ。
ただネットスーパー非参戦のトレーダージョーズに懸念点がある。ネットスーパーでダントツの集客を誇るウォルマートがトレーダージョーズ・キラーになるプライベートブランドを開始したのだ。
ウォルマートの新食品PB「ベターグッズ(bettergoods)」は若い世代をターゲットにしており、約30年前に発売された食品PB「グレートバリュー(Great Value)」以来の大規模ローンチだ。
ベターグッズはアップグレードされたレシピ用、植物由来、グルテンフリーなどフリーフロムの3つのカテゴリーとなる。
ウォルマートは最近、物価高や金利高を背景に節約したい富裕層客を集客し売上を伸ばしている。健康に気を使う富裕層客に向けて新たな食品PBが必要となったと判断したのだ。
ベターグッズを求める客層とトレーダージョーズ客が重なる。
トレーダージョーズの顧客は白人もしくはアジア系であり既婚者。年齢は25~44歳となる。典型的なトレーダージョーズ客は1年に13回トレーダージョーズに行き、買い上げ点数は15アイテムで客単価は47ドルとなる。
顧客の学歴は大卒で年収は8万ドル(約1,300万円)以上となっている。
トレーダージョーズの典型的な顧客は忙しいし、健康にも留意する。ウォルマートの新PBに目が行きやすく、しかもコスパばかりかタイパ(タイムパフォーマンス)のよいネットスーパーも利用可能だ。
したがって非常に強い商品力・ブランド力をもっているトレーダージョーズも安心してはいられない。ネットスーパーの成長によっては難しい選択を迫られるのだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。当社のワークショップ研修参加者から観光客まで日本人が一番よく使うスマートフォン・アプリはGoogle翻訳アプリだと思います。テキスト文字だけでなく、手書き文字も含め英語を高精度に翻訳できるアプリです。無料にも関わらず機能が充実し現地でかなり重宝されています。流通研修では当社でレストラン予約を行いますが、支払いはクライアントから直接、お店に支払うようにしています。レストラン価格に手数料を上乗せはしません。したがってメニュー選びは参加者が自分たちで行うことになります。その際、メニューを見ながら注文するのですがアプリで英語を読み込み翻訳して注文します。使っている食材や調理方法がわかるだけでも興味をそそられて注文なんてこともよくあります。この翻訳アプリを研修参加者はトレーダージョーズのニュースレター「フェアレス・フライヤー(Fealess Flyer)」にも使っています。後藤が翻訳することもありますが、今では参加者がアプリを使って読み込ませて意味を知るのです。便利な世の中になりました!
トレーダージョーズといえばニュースレター。なぜなら商品の多くがプライベートブランドだから。それは食品メーカー大手から広告費になる協賛金を得ていないことでもあります。Google翻訳アプリを使ってトレジョのニュースレターを読んでみてください。
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