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大切なのは「いきいきと働いている自分がイメージできるか」 ファッション業界の転職市場を振り返る

大切なのは「いきいきと働いている自分がイメージできるか」 ファッション業界の転職市場を振り返る

アパレル・ファッション業界の求人・転職サービス
クリーデンス

昨年、2024年は市況感の変化から企業の採用活動に落ち着きが見られたものの、その中でもさまざまな変化がありました。今回は、2024年アパレル・ファッション業界 転職マーケットの振り返りと、2025年の展望、そして転職活動やキャリアとの向き合い方について、クリーデンス事業責任者の荒木、アシスタントマネジャーの木口、田中の3名で座談会を行いました。ぜひご覧ください。

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今後の事業成長を目的に、人事戦略をアップデートし、採用計画を見直す企業が増加

昨年の座談会で、24年は「人員充足やベースアップなど市況感の変化から、採用を慎重に検討する企業が増えるのではないか」と予測しましたが、振り返っていかがでしょうか?

24年は、企業によって採用活動の動きが大きく分かれました。

外資ラグジュアリー企業を中心に、コロナ禍の採用抑制を埋めるための採用や、インバウンド需要に伴う採用など、攻めの姿勢に転じていましたが、8月後半ごろから徐々に落ち着き、採用活動を採用要件見直し・縮小・終了する企業も見られました。

一方、国内企業では引き続き必要な人材確保のための採用が活況で、その傾向は今後もしばらく続くものと思われます。

「必要な人材確保のための採用」とは、どのようなものでしょうか?

24年は、今後の事業成長に必要な人材の確保や育成を目指し、人事戦略の見直しを図る企業が増加しました。

日本のマーケットは、低金利解除などの経済的要因や国際情勢の影響で、潮目の変わりやすいタイミングであると言えます。「計画通りにいかない状況においても、適切かつフレキシブルな判断のもと、成長を目指す」という考えをベースに、事業戦略の策定や見直しを進め、中でも事業成長に必要な人材の確保や育成のため、<人事戦略>を重視する企業が増えました。それに伴って、採用計画においてもアップデートが進んでいる印象を受けています。

具体的にはどのようなアップデートが見られましたか?

大きくふたつあり、ひとつは企業の採用手法の多様化が進んでいます。

採用活動をするにあたり、どのポジションでどんな人材が必要か、企業は明確にターゲットを定めています。そして採用したい方と出会うためにはどの採用手法が有効なのか、目的に応じて使い分けている企業が増えています。

「エージェントサービス」や「求人広告」といった従来からある採用手法はもちろんのこと、近年は「スカウト」や「リファラル」「アルムナイ」などを活用する企業が徐々に増え、24年はさらに加速したように思います。

それぞれ、どのような手法なのでしょうか?

欲しい人材にピンポイントにコンタクトを取って効率的に採用したい場合は、登録者に直接メールを送れる「スカウト」が効果的です。カルチャーフィットや自社理解を重視する場合は、社員から友人や知人を紹介してもらう「リファラル」や、自社を離職した人材を再び雇用する「アルムナイ」が有効です。いきなり選考ではなく、カジュアル面談を取り入れる企業も多いですね。また直近では、大手企業を中心に、幅広い人材と出会うためオウンドメディアを強化する事例も見られます。

転職をお考えの方は、さまざまなサービスや人脈にアンテナを張ることが有益だということですね。

まさにそのとおりです。

もうひとつは人事制度の見直しです。離職率の改善や求める人材の獲得を目的に、待遇面の改善など、制度の再設計を進める企業が増えています。

世の中では物価高騰に伴うベースアップの動きが活況で、アパレル・ファッション業界でもベースアップに踏み切る企業が大手企業を中心に見られました。今後も増えていきそうでしょうか?

どちらかというと、ベースアップを実現するために、「まずは目の前の事業計画の実現に向けて、着実に売上と利益を拡大していこう」というフェーズの企業が多いように見受けられます。

とはいえ、それ以外にも待遇改善できるポイントはたくさんあります。たとえば年収の下限額を引き上げたり、年間休日数を増やしたり、インセンティブ制度を見直したりと、採用競争力や社員のエンゲージメント向上のため、制度の見直しを進める企業は増えています。

なるほど、同じ企業の求人でも、以前と現在では採用条件や待遇が変わっている、ということもあるかもしれませんね。

最新の情報を小まめにチェックしておくことがおすすめです。特にエージェントサービスはいち早く情報が入ってきやすいので、登録してカウンセリングを受けておくと、担当アドバイザーから最新情報が得られると思います。

売上だけでなく、中長期的な企業やブランドの成長に寄与する人材ニーズが高まっている

次に、具体的な採用市場について、いくつかの職種やカテゴリーにふれながら伺います。まず販売職はいかがでしょうか?

コロナ明けの23年から続く出店や増床、代行店から直営店への切り替えに伴って、販売職の増員ニーズは引き続き高い状態でした。秋ごろからは、冒頭でも触れた外資ラグジュアリー企業の採用見直しや、事業計画から逆算した採用計画の見直しをはかる企業も見られ、求人増加数全体で見ると、23年比でやや微減でした。

それでも販売職は常に「人材不足」であるため、積極的に採用活動を行う企業のほうが多く、まだまだ、転職希望者が有利な売り手市場であると言えるでしょう。

デザイナー職はどんな動きが見られましたか?

23年は新ブランドの立ち上げに伴うニーズが特徴的でしたが、24年はどちらかというと、既存ブランドを強化するための採用ニーズが高かったです。業績好調なブランドがデザイナー増員のために採用するケースや、市場の変化に対応するためリブランディングに踏み切り、新しい風を求めて採用するケースなど、ブランドの成長に必要な人材が求められました。デザイナーはブランドの根幹を担う人材といえ、採用熱度の高い企業が多かった印象です。

商社・OEM・ODM企業ではどのようなニーズがありましたか?

好調なブランドと取引の多い商社・OEM・ODM企業は、ブランドと同等かそれ以上に採用に積極的な印象です。人材不足に加え、デザイナーの転職は「自社ブランドを手掛けたい」と希望する方が多く、また時短勤務や業務委託のニーズも年々増しており、採用難易度が上がっているためです。

そんな中でも、希望するブランドへの転職が叶わなかった方が、スキルアップを目的にOEM企業で経験を積む…というケースも多く見られています。それを見越し、意欲があって今後の成長が期待できるような方であれば、経験が浅くても積極的に採用する企業が増えています。

次にWeb・EC職種ですが、コロナを起点としたEC成長に伴い、ここ数年は求人数が右肩上がりでした。24年はいかがでしょう?

一時期と比べると、求人数も採用活動自体もやや落ち着いた印象です。その中でも24年は、マーケティングやCRMなど、より戦略的な上流ポジションのニーズが増えた印象です。

その背景はなんでしょうか?

インバウンド需要を含め、店舗で商品を購入する消費活動が戻ったことで、改めて店舗の重要性が認識されました。それにより、店舗とECの垣根を越えた顧客体験の再設計や、それに伴うシステムや体制の構築など、複合的なマーケティング戦略を打ち出す企業が増えています。

店舗とECの両方の知見を持つ方、さらには事業成長に寄与した経験を持つ方は、多くの企業が求めています。エージェントなどをうまく活用することで、良い出会いが期待できると思います。

より戦略的な事業成長に寄与できる人材ニーズが高まっているのを感じます。まさに年収600万円以上のハイキャリア採用も活況といえるのではないでしょうか?

顕著に求人が増えたわけではないものの、企業が求める人材は希少なので、採用競争率は高かったと思います。特に本社・店舗を問わず、マネジメントポジションのニーズが高まりました。未経験や若手社員を育成する重要性の高まりや、社外から経験豊富で知見のある人材を採用することで組織課題を解決させたい、という企業が増えています。目指すゴールに向けた組織づくりが重視されている、といえるでしょう。

ここまでのお話から、未経験・微経験の方にはチャンスが少ないのだろうか…という印象を受けました。実際はいかがでしょうか?

コロナ終了前後の大量採用フェーズと比べると、即戦力を重視する求人が増えたことは間違いありません。理想的な人材がいれば、応募者の希望に沿った条件に変えてでも採用する!といったケースも見られるほどです。

その一方で、中長期的な成長のためには即戦力だけでなく、会社の将来を担う若手人材を育成することも重視されており、ポテンシャルの高い若手の採用に力を入れる求人は多数あります。また、まだまだ売り手市場であることから、要件を緩和してでも採用したいという企業も多いです。チャンスはたくさんあるのでご安心ください。

どんな転職理由でも、「その企業でいきいきと働いている自分がイメージできるか?」を大切に

市場の動きに伴って企業の採用活動にはさまざまな変化がありました。では転職を希望する方の背景には変化が見られたでしょうか?

大きくふたつあります。ひとつは「年収を上げたい」というご相談です。変化した点として、23年は、評価制度への不満や年収の低さなど、ネガティブなポイントを改善したいというご相談が多かったところ、24年は「現年収に大きな不満があるわけではないが、今よりも良くなる可能性があるなら転職を検討したい」というご相談が増えました。

もうひとつは何でしょうか?

「在宅勤務ができる企業に転職したい」というご相談です。コロナをきっかけに在宅勤務を導入したものの、さまざまな理由によりオフィス勤務に切り替える企業が増えました。そうした企業にお勤めの方が、在宅勤務で働ける企業を探したいとご相談いただくケースです。

いずれも現状維持、または現状より少しでも良い環境に行きたいというご相談ですね。

理由はそれぞれ異なりますが、お話を伺ってみると、「早期に転職先を見つけたい」というよりも、「自分の条件に合う求人が見つかれば応募したい」と、明確な転職時期は決めずに活動を検討している方が多いです。

はい、そのとおりだと思います。

それをふまえると、自分が今後どんなキャリアを築いていきたいのか、明確な目的を持つことが一番のポイントだと思います。年収などの条件のみならず、企業理念や募集要件などに対し、「ビジョンに共感できるか?」「これまでの経験やスキル、強みは何か?」「今後どのような仕事に携わり、経験を積んでいきたいか?」「将来的にはどうなっていたいか?」などを考え、その上で「ここで働きたい」と決断できた方は、その後も充実した日々を送っていらっしゃる印象です。

転職する理由が年収だとしても、「希望する年収であればどんな環境でも良い」というわけではないですよね。

そうなんです。でも、「年収や働き方を叶えたい!」以外に、仕事をする上でご自身が大切にしていることを自覚されていない方、言語化できていない方って意外と多いんです。転職してから、「今まで当たり前だったことがそうではなかった」「年収以上に大切なことがあった」と気付き、早期退職されてしまう方も、残念ながら少なくありません。

年収や働き方を理由に転職活動される方が増えている中、企業はどのようなスタンスで選考しているのでしょうか?

スキル要件と同じかそれ以上に、応募された方の考えや人柄が自社のビジョンやカルチャーにフィットするか?を重視する企業が増えています。実際に、自社のビジョンやミッション、社風、入社後に期待することなどを積極的に開示し、それに対してどう思うかを問いかける面接官は多いです。面接でそこまですりあわせを行うことで、入社後の活躍可能性を高め、エンゲージメントの向上にもつながるためです。

ぜひみなさんも、ご自身の強み、大切にしている価値観、将来像などを、ご自身の言葉で企業に伝えてください。それによって、本当に合う会社なのかどうかを判断しやすくなると思います。

どんな転職理由であったとしても、「その企業でいきいきと働いている自分がイメージできるか?」ということを必ず考えてください。そのためには、おのずと自分を知り、企業を知ることが必要だということに気付けると思います。

少し話は変わりますが、24年は20代前半を中心に、異業界の方や、経験の浅い方のご相談が増えましたね。

20代の方にとって、転職は当たり前の価値観であり、どんな求人があるか見てみたい、というライトなご相談が多かったです。また、コロナ禍で希望するアパレル企業に新卒採用がなく、「他業界に就職したが、やっぱり好きなファッションの仕事がしたい!」というご相談もありました。

そうした「未経験だけどチャレンジしたい!」と意欲の高い方にアドバイスをお願いします。

まずは、アパレル・ファッション業界で自分自身が何をしたいのか、どんな自分になりたいのかを考え、言葉にしてみましょう。最初は、好き・憧れでも構いません。ただそれだけでなく、そこを起点にどんなことを叶えたいかを考えてみてください。

次に、これは未経験に限りませんが、選考を受ける企業・ブランドについてしっかり情報収集を行いましょう。WebサイトやSNSだけではなく、店舗に足を運んで商品にふれたり、スタッフから接客を受けたりすることでたくさんの気付きがあります。商品やお店の雰囲気はどうだったか、接客を受けた印象を振り返ったときに、自分がこのブランドで働くイメージが持てるかを考えてみてください。

イメージを具体的にすることで、意欲も高まっていきそうですね。

また、第一希望ではなかったとしても、可能な範囲で色んな企業に応募をしてみるのもオススメです。面接官との会話の中で、思いもよらぬ魅力や相性に気付くことも少なくありません。ぜひ色んな形で可能性を探ってみてください。

変化の多い時代だからこそ、自分自身と企業を深く理解し、本当に実現したいことを叶えて欲しい

最後に、25年の展望を交えながら、アパレル・ファッション業界を支えるみなさんへ、メッセージをお願いします。

企業の採用活動は25年も、「事業成長に必要な人材を確保する」という点が重視されることでしょう。企業の採用手法が多様化する中、転職をお考えのみなさんには、今まで以上にアンテナを張り、うまくサービスを使い分けることをおすすめします。

一方で、まだ社会経験の浅い方の中には、「ご自身のキャリア形成をどのように考えればいいか分からない」という方もいらっしゃるかもしれません。クリーデンスでは、業界全体の動向から企業・求人に関する最新情報を常にキャッチアップしています。「この企業に関する深い情報が知りたい」「キャリアの壁打ち相手になってほしい」など、ご自身の可能性を広げるためのお手伝いができればと思います。

企業が自社のビジョンやカルチャーにフィットする人材を求める傾向は、25年もより一層高まってくると思います。

職種を問わず、「入社後にどのように活躍し、どう成長したいか」まで言語化できると、その熱意が企業にも伝わり、良い転職につながると思います。そのためにもまずご自身と向き合い、「実現したいことは何か」を考えてみてください。

ご自身のキャリア像に企業・求人がマッチしているか見極めるには、さまざまなツールやサービス、また足を使って情報収集をすることが重要です。しかし、情報が溢れすぎている現代において、「本当にこの情報が正しいのか」と迷ってしまうこともあると思います。私たちエージェントの強みは、転職エージェントとして、Webサイトや求人票だけでは分からない、企業のリアルな情報をお届けできること。転職活動をスムーズに進める手段として、ぜひ活用していただきたいです。

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