Fashion ふくびと

連載「ふくびと」sacai デザイナー阿部千登勢

sacaiと阿部のリンクする夢

 「sacai」のウィメンズとメンズ、「sacai luck」、そして「モンクレール S」と、計4つのコレクションを年2回のペースで発表している阿部。デザイナーとしての膨大な仕事量は想像に難くないが、さらに経営者として采配を振り、そして母の顔も持つ。少しずつ成長を重ね、大切に育てられてきた「sacai」は今年、愛娘と同じ12歳だ。その感動的なクリエーションを支えているのは、そんな女性ならではの感性と貫き通す信念、そしてバランス感覚を持った阿部の努力と愛に他ならない。

【阿部】「デザイナーになりたい」と思ったその日から、本当に好きでここまでやってきました。オンもオフも、趣味もファッション。そのくらい、この仕事が好きなんですね。

 女性として思うのは、やはりワークライフバランスの難しさ。 特にアパレルでは、産休・育休制度の整った所はまだまだ少なくて、出産・育児による仕事のブランクや、家庭との両立に悩まれている方は多いと思います。社内にも産休明けのスタッフがいるのですが、そういった女性の働きやすい場を作っていかないといけないと思っています。必死で働いてくれている社員に対してのお返しというか、果たすべき責任ではないでしょうか。小さな会社ですが、資本を入れずに私が決定権を持ち続け、失敗しても私が最終的に責任をとるという会社の体制を変えない事。それが「sacai」を存続し続けるポイントのひとつだと思います。

 私自身、あまり遠い夢って見ないんですよ。「こうなりたい」「ああなりたい」という思いは常にあるんですが。でも、いつも自分に言い聞かせ、スタッフにも伝えている目標があります。それは「本物になりたい」ということ。もっともっと本物の会社になりたいし、本物のブランドになりたい。本物の価値観っていろいろあると思いますが、もっと強く、もっと確固たるものになりたい。「sacai」と私はリンクしているので、それが会社の目標であり、今の私の夢。もちろん娘も可愛いし家族も大事で、それらを全部含めて、私の全てなんです。


■阿部 千登勢(Chitose Abe)■
sacai デザイナー

「sacai」2011年春夏コレクションより

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1989年、COMME des GARÇONSに入社。パタンナー、ニットウェアの企画を担当、Junya Watanabe ラインの立ち上げから関わる。
1997年、妊娠をきっかけに退社。
1999年、子育ての傍ら、5型のコレクションで「sacai」をスタート。
2006年3月、「sacai gem」ラインを立ち上げる。10 corso como COMME des GARÇONSエクスクルーシブのカプセルコレクション。レディースに加え、「sacai」初となるメンズアイテムを展開。
2006年9月、リラックスライン「sacai luck」スタート。
2009年春夏シーズン、「sacai」メンズラインをスタート。
2010年春夏シーズン、「モンクレール S」のデザイナーに就任。

〜インタビュアー・インプレッション〜
  「セリーヌ」に新風を吹き込んだフィービー・フィロや、待望のキッズラインをスタートしたステラ・マッカートニーなど、出産・子育てを経験したデザイナー達の活躍がめざましい。なかでも阿部は、0からブランドを育て上げ、夢を現実にしてきた1人だ。「最初は子育てと仕事との両立に悩んだ」と振り返るが、その難しさが阿部を強くしていったのではないだろうか。「日常の上に成り立つデザイン」のコンセプトのもと、阿部を取り巻く日常の変化からどんな「sacai」の将来が紡ぎ出されていくのか楽しみだ。(小湊千恵美)

連載「ふくびと」一覧
設楽洋(ビームス代表取締役社長)
本間正章(マスターマインド・ジャパン デザイナー)
吉井雄一(ザ・コンテンポラリー・フィックス オーナー/ゴヤール ジャパンブランディングディレクター)
【前編】山室一幸(WWD JAPAN編集長)
【後編】山室一幸(WWD JAPAN編集長)
勝井北斗・八木奈央(ミントデザインズ デザイナー)
【前編】伊藤美恵(ワグ代表取締役兼エファップ・ジャポン学長)
【後編】伊藤美恵(ワグ代表取締役兼エファップ・ジャポン学長)
重松理(ユナイテッドアローズ代表取締役社長)
阿部千登勢(サカイ デザイナー)
ドン小西(コメンテーター)
増田セバスチャン(ロクパーセントドキドキ代表兼ディレクター)
藤巻幸夫(バイヤー)

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