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【インタビュー】十倍直昭・野村仁美「グリモワール」躍進の理由は?

十倍直昭と野村仁美
十倍直昭と野村仁美
Image by: Fashionsnap.com

 東京とは思えないほどの装飾がされた約9坪の店内に並んだアンティークアイテムをじっくりと吟味する顧客。独自の審美眼で選ばれた商品で来店者を虜にするショップがある。店の名前は「Grimoire(グリモワール)」。2008年6月に代表取締役の十倍直昭(トベ ナオアキ)とディレクターの野村仁美が開いた古着や雑貨を扱うアンティークショップだ。海外では"ドーリー系"と呼ばれ、熱狂的なファンも多い。近年には2号店の「Grimoire Almadel(グリモワール アルマデル)」もオープンさせた同店の躍進を創業者に聞いた。

 

二人が出会ったきっかけは?

十倍:友達の紹介です。当時、僕は26歳でまだ美容師をしていて、野村は20歳で学生でした。意気投合して、1、2ヶ月ぐらいで付き合い始めました。

野村:十倍は海外経験が豊富で、私もちょうど「海外にすごく行きたい」と思っていた時だったので、一緒に行こうという話になりました。その1ヶ月半後には一緒にアメリカに行っていましたね。

十倍:いろいろな国に行きました。オーストリア、ロサンゼルス、イタリア。一緒に海外に行くうちに、「現地で見つけた物を取り扱う仕事をやりたい」と思い始めたんです。気がついたらお店を出していましたね(笑)。

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美容師はそのタイミングで辞めたんですか?

十倍:そうです。野村は大学を辞めて、僕は美容師を辞めました。今すぐ辞めないと間に合わないみたいなという雰囲気も手伝いましたね。

―開店資金は?

十倍:働いて貯めました。1年間、休みもほぼ無い状態で働いて、2人で70〜80万は毎月貯金してましたね。1,000万を1年で貯めたんです。結構ファンキーですよね(笑)。あと野村が手掛けていたブランド「Dolly(ドリー)」のアクセサリーがものすごく売れていたのも、1年で1,000万貯めることができた1つの要因です。この他、バイトで稼いだお金は全て貯金に回しました。

オープンした店舗は渋谷区神南ですね。

十倍:渋谷はカルチャーが交差する場所で、ギャルや原宿から流れてくる原宿系の子たち、ゴスロリが好きな人など様々なジャンルの人がいます。他の街は客層が偏る傾向があって、例えば、表参道には20代後半から30代の高級嗜好の方々が多いし、高円寺には古着のファッションを好む人が多く、ハイブランド思考の人は少ない。でも渋谷には色んな人種の人が集まるのでファッションが廃れることが唯一無い場所かなと思いました。

ショップの内装は2人で考えたそうですね。

十倍:そうです。基本的には2人でやってるんですけど、色々な作家さんや空間作れる人たちとコラボしながら内装を作って、トータルプロデュースは僕がやっています。

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Grimoire店内


「Grimoire」という意味は?

野村:「Grimoire」とは、魔術書のテーマの一つなんです。1ページ1ページ魔法をかけるじゃないですけど、お店に入ったときにちょっと異世界が広がってるような感覚というか、「Grimoire」の空間の中に魔法がかかったようなイメージでこの名前にしました。言葉の響きやロゴにした時にした時のイメージが良かったというのもありますね。

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1店舗目と2店舗目のコンセプトに違いはありますか?

野村:「Grimoire」はどちらかというとこじんまりした隠れ家みたいなイメージでやっているのですが、2店舗目の「Grimoire Almadel」は、もっと大きな店舗でコレクションルームみたいなイメージです。今の古着屋はミリタリーやアメカジなどテーマ性がはっきりしてるお店が多いのですが、うちはアイテム自体の年代もテイストもバラバラだったりするので、ディレクションで統一感を持たせるようにしています。

どこで買い付けしているのでしょうか?

野村:アメリカやヨーロッパ、カナダによく行っています。ある程度確立したルートもありますが、いろいろな国に行くようにしていて、来年からはまた新しくルートを増やす予定です。これからは、アフリカとかにも行ってみたいですね。

買い付けは2人とも担当しているのですか?

野村:そうですね。私は1ヶ月に1回ぐらい海外へ行っていて、十倍も2ヶ月に1回ぐらいのペースで行ってます。新しいところに行く時は必ず2人で行っていますよ。店長の三好香織も3回ぐらい行っています。

十倍:日本で一番多く買い付けに行ってる古着屋だと思います。あと海外には、「『Grimoire』が買ってくれるならこっちが探す」という感じでうちの為にアイテムを集めてくれている日本に詳しいスタッフもいます。

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1回の買い付けでどれぐらい買いつけるんですか?

野村:小物などのアイテムも入れたら1,000〜2,000点ぐらいだと思います。

十倍:オフィスの他にストックルームを渋谷に7物件ぐらい借りています。最初のころは商品をストックするところが無くて大変でしたよ。今はオンラインショップが1店舗分と同じくらい売れているので、実質3店舗分の衣料品の在庫を抱えている状況です。最初は1店舗だったので大丈夫でしたが、3店舗にもなるとなかなか大変で。7物件あっても、商品のストックはやっとという感じです。

買い付けする基準について教えてください。

野村:最初の頃は、私が着たいものを買っていました。今は時代に合わせる事もしますが、その中でもお店の景観を損ねないことは大事にしています。もちろん売れ筋なものを集める事もありますが、楽しいセレクトになるように心掛けていますよ。

十倍:統一感は大事ですね。音楽、スタッフだけでなく、インテリアや商品、ブログのデザインまで、全部統一しないと少しおかしくなる。だから「Grimoire」という世界観を統一するためのセレクトをします。

野村:やはり面白いものがないといけないと思っています。来た時に「わぁーこれ!」って思えるものがあるようなラインナップにしたい。他の古着屋さんでは感じられない、いつもとは違う気持ちになれるようなものを探しています。売れる、売れないではない視点で探しているアイテムももちろんあります。

―時代に合わせたアイテムも買い付けるということですが、古着でも流行りはあるのでしょうか?

野村:私は文化女子大学に通ってたのですが、ファッション史の授業が一番好きでした。古着の歴史というよりも、お洋服の歴史がすごい好きだったんです。例えば最近だと......、ペプラムスカートが昨年、結構流行りましたよね。それも元々は80年代のお洋服です。ファッションは巡りますから、「今、80年代ぽいのが流行ってる」と思ったら、それを「「Grimoire」の世界観を壊さずに、どのようにして打ち出そうか」ということは考えます。もちろん全く新しいものが流行ったりすることもあるとは思いますが、いままで辿ってきた道筋の5年間は、本当に60年代っぽいものが流行ったり、エスニックが流行ったり歴史は繰り返してきましたからね。

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