2025年秋冬コレクション
Image by: MAGLIANO
「イタリアンクラシック」と呼ばれる通り、メンズのミラノファッションウィークはラグジュアリーメゾンを中心に仕立ての良いテーラリングスーツ中心で構成される。その中で、イタリア・ボローニャ出身のルカ・マリアーノ(Luca Magliano)が手掛ける「マリアーノ(MAGLIANO)」は異彩を放つ存在だ。30歳の若きデザイナーは、2025年秋冬コレクションで、肌に直接触れる下着が持つ価値を表出することに重きを置いたという。
2025年秋冬ファッションショーの会場は、ミラノ郊外にあるボクシングジム。イタリア半島とバルカン半島のあいだの海域であるアドリア海の冬の夜、深い青の空、湿った砂といった情景をショーで描写した。砂が積まれたランウェイを歩くのは、ストリートハンティングしたであろう老若男女のモデルたちで、マリアーノ特有のくすんだカラーパレットと野暮ったさは今シーズンも健在だ。
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2024年秋冬、2025年春夏で、コンテンポラリーな身体とクラシックな服のユニゾンを目指したルカ・マリアーノは今シーズン、アドリア海に集まる者たちの開放的なスタイルからヒントを得て、身体に最も近い衣服である下着に着目。下着をアウターとして重ね着するスタイルは既に一般化しており、特段新しいアイデアではないが、ルカ・マリアーノは下着を表に出すことと共に、裸への渇望に視線を向ける。モデル兼アーティストの双子姉妹Giulia VenturiniとCamilla Venturiniのブランド「メディア(Medea)」とコラボレーション製作したブリーフで覆われたハンドバッグはテーマをわかりやすく表現するキャッチーなアイテムだが、下着は隠すものという固定観念を転換させ、"服装の逆転"を試みたという。

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マリアーノが得意とするおじさん風のルーズシルエットのスラックスを軸に、ジャケットはパットで作る肩を張り出したフォルムで、チェックシャツとのレイヤードやジャージーパンツにベルトを巻いたスタイリングなどで独自性をみせ、ウィメンズのルックではアンダーウェアを重ねテーマを反映。スワロフスキーのクリスタルで飾られたニットカーディガンは、アドリア海の月光をイメージしたといい、継続展開しているイタリアの安全靴ブランド「ユーパワー(U-Power)」とのコラボレーションシューズも登場した。

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コレクションを全体を通して、目新しさに欠けたマリアーノの今シーズン。イタリアの数少ない若手ブランドとして期待を集め、ブランドのアイデンティティも確立されてきているが、だからこそ求められる新しい提案は影を潜めた。ジャーナリストで建築家のバルバラ・ネロッツィ(Barbara Nerozzi)に師事した経歴を持ち、考古学的見地でクリエイションを行うルカ・マリアーノの今後の引き出しの多さに期待したいところだ。
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