モードの祭典「メットガラ」が、今年も開催！今回のドレスコードのテーマは「時間の庭（The Garden of Time）」。J.G.バラードが1962年に発表した、“時間の花”が咲く美しい庭園が見渡せる別荘に住む伯爵夫妻の物語を綴った同名小説をもとにしており、5月10日から9月2日までの期間、同作をもとにした特別展「Sleeping Beauties: Reawakening Fashion（眠れる美：ファッションの目覚め）」が開催されます。本記事では、「時間の庭」の風景描写をもとにしたテーマ「儚い美しさ」をセレブリティたちがメットガラの舞台でどう表現したのか、特に注目を集めたセレブの衣装を紹介します。

▼昨年の衣装まとめ

「メットガラ2023」の注目衣装は？セレブの着用ブランドを調査

WHO WORE WHAT?

■What is MET GALA？
　ニューヨークのメトロポリタン美術館コスチューム・インスティチュートが毎年開催するファッションにまつわる展覧会のオープニングに際して開催されるイベント。セレブやデザイナーなどの著名人たちが、テーマに沿った豪華な衣装でレッドカーペットに登場することから"ファッション界のアカデミー賞"とも称される。ファンドレイジングも兼ねたパーティーチケットは1枚約300万円。

ゼンデイヤ in Maison Margiela

Image by: メゾン マルジェラ

　共同ホストを務めるゼンデイヤ（Zendaya）は、ジョン・ガリアーノ（John Galliano）が特別に制作したオートクチュールを着用して来場。シルクサテンのコルセットにラメとオーガンザのバイアスカットドレスを組み合わせたルックは、アルミニウム素材と虹色のオーガンザを重ねたドレープとリボン、手描きのモチーフを手刺繍したコサージュが印象的です。ベールのような帽子は、スティーブン・ジョーンズ（Stephen Jones）、タビパンプスは、クリスチャン・ルブタン（Christian Louboutin）による特注品なのだとか。

　2着目は、ジョン・ガリアーノがデザインした「ジバンシイ（GIVENCHY）」のオートクチュール1996年春夏コレクションを着用。フロントのコルセットディテールとシャーリングレースのラッフルが特徴のオフショルダードレスです。

バッド・バニー in Maison Margiela

　ゼンデイヤと同じく、共同ホストであるバッド・バニー（Bad Bunny）も「メゾン マルジェラ（Maison Margiela）」を着用。オーダーメイドの黒のグログランラペルのジャケットに、赤いシルクリボンのラインが施されたパンツを組み合わせました。黒のレザーグローブやシルクソックス、フラワーブーケ、ミッドナイトブルーのフォームハットといった小物使いが光ります。黒レザーのタビブーツは、クリスチャン・ルブタンによるもの。

キム・カーダシアン in Maison Margiela

　キム・カーダシアン（Kim Kardashian）の着用ドレスも、「メゾン マルジェラ（Maison Margiela）」が制作。アンティークのシルバーブロケードで織り上げられたコルセットに、レース、花、葉、小枝を連想させるツールスカート、淡いグレーのカシミアカーディガンを合わせたスタイリングを披露しました。

ケンダル・ジェンナー in GIVENCHY

Image by: ジバンシィ

　モデルのケンダル・ジェンナー（Kendall Jenner）は、アレキサンダー・マックイーンがデザインした「ジバンシィ（GIVENCHY）」1999年秋冬コレクションのオートクチュールを着用。ブラックとヌードチュールを組み合わせたロングドレスは、黒と真鍮のビーズとスパンコールの刺繍が施されています。

ストレイキッズ in TOMMY HILFIGER

Image by: トミー ヒルフィガー

　ストレイキッズ（StrayKids）は、メンバー8人全員が「トミー ヒルフィガー（TOMMY HILFIGER）」のカスタムメイドの衣装に身を包んで来場。ブランドのシグネチャーである赤、白、青をベースに、テーマに沿ったアクセントとして、金ボタンがあしらわれたジャケットを纏いました。

エル・ファニング in BALMAIN

Image by: BALMAIN

　エル・ファニング（Elle Fanning）は、自身が主演を務めた映画「眠れる森の美女」を再現するような「バルマン（BALMAIN）」のドレスを纏いました。だまし絵のようなガラス効果を出すために作られた4層の樹脂により、手作業で覆われたオーガンザが美しく光ります。ショルダー部分には、グレーブルーの樹脂で造形された2羽の鳥が装飾されています。

タイラ in BALMAIN

Image by: BALMAIN

　アーティストのタイラ（Tyla）は、「時の砂」をテーマに、砂時計をイメージしたバルマンのドレスを着用。ブランド独自のアップリケ技法であしらわれた砂やクリスタルのスタッズは、タイラ自身の身体を石膏で形どった生地にプレスして取り付けたのだそう。

カーディ・B in WINDOWSEN

　カーディ・B（Cardi B）は、「ウインドーセン（WINDOWSEN）」のブラックドレスを着用。漆黒の羽根のように広がったチュールが印象的です。

リゾ in Weinsanto

　リゾ（Lizzo）は、「ワインサント（Weinsanto）」のクチュールドレスを纏って来場。ヌーディーなオーガンジーには、たくさんの花びらが仕込まれており、ヘッドピースやドレスの裾の形状はチューリップの花びらを彷彿とさせます。

ラナ・デル・レイ in Alexander McQueen

Image by: アレキサンダー・マックイーン

　ラナ・デル・レイ（Lana Del Rey）は、アレキサンダー・マックイーン（Alexander McQueen）が彫刻家のアルベルト・ジャコメッティ（Alberto Giacometti）の作品から着想を得て制作したアーカイヴドレスを着用。チュールのヴェールがかけられたヘッドピースには、天然のサンザシの枝が手刺繍で施されています。

アリアナ・グランデ in LOEWE

　アリアナ・グランデ（Ariana Grande）は、「ロエベ（LOEWE）」がマザーオブパールの虹色からインスピレーションを受けて制作したカスタムドレスに身を包んで来場。貝殻の表面を模したハンドペイントが施されたビスチェに、シルクシフォンのプリーツスカートをコーディネートしました。

テイラー・ラッセル in LOEWE

　テイラー・ラッセル（Taylor Russel）は、自身がアンバサダーを務めるロエベのカスタムドレスを着用。木目調の3Dプリントを施したボディスに、解放感のあるシルククレープのスリットスカートを組み合わせ、テーマである「時間の庭」の世界観を表現しました。

ジョシュ・オコナー in LOEWE

　テイラー・ラッセル同様、ロエベのアンバサダーを務めるジョシュ・オコナー（Josh O’Connor）は、ロエベの2024年秋冬ウィメンズコレクションの誇張されたテーラリングからインスピレーションを受けたスタイルで来場。アクセントとして、足元には、カラフルな花をモチーフにしたバイカーブーツを組み合わせました。

リル・ナズ・X in LUAR

　リル・ナズ・X（Lil Nas X）は、　「ルアール（LUAR）」のオートクチュールを着用。ブランドの公式インスタグラムでは、デザイン画や試着の様子などの制作過程を見ることができます。

グレタ・ガーウィグ in Chloé

　グレタ・ガーウィグ（Greta Gerwig）は、全身「クロエ（Chloé）」に身を包んで来場。キャビアビーズの刺繍が施されたシルクジョーゼットのブラックケープと、ラッフルの裾とロングネクタイをあしらったスカーフが印象的です。

エマ・マッキー in Chloé

　エマ・マッキー（Emma Mackey）は、クロエのヌードカラーのロングラッフルドレスに、ワインレッドのカーフスキンを使用したニーハイブーツ「イヴ（Eve）」を組み合わせたスタイルで来場しました。

ゾーイ・サルダナ in Chloé

　ゾーイ・サルダナ（Zoë Saldaña）は、ランジェリーチュールをあしらったオークルカラーのトップスに、オーガニックシルクモスリンのミディスカートを着用。ウエスト部分の「Chloé」ロゴが目を引きます。

アッシャー in Alexander McQueen

　ラッパーのアッシャー（Usher）が纏った、バラのアップリケが施されたケープは「アレキサンダー・マックイーン（Alexander McQueen）」の特注品。ケープの下には、ジェットストーンの刺繍を施したブラックのタキシードを着用しました。

カーリー・クロス in Swarovski

　「スワロフスキー（Swarovski）」は、今回のメットガラでブランド初のクチュールルックを披露。モデルのカーリー・クロス（Karlie kloss）は、スワロフスキーを代表するコレクション「Millenia」と「Florere」のジュエリーを彷彿とさせるドレスを纏って来場しました。

アマンダ・セイフライド in PRADA

　アマンダ・セイフライド（Amanda Seyfried）は、「プラダ（PRADA）」のシルバードレスに身を包んで来場。シルバーでまとめられたヘアは、ヘアスタイリストのレナト・カンポーラ（Renato Campora）が担当。インスタグラムでスタイリングの様子を公開しています。

シドニー・スウィーニー in MIUMIU

　シドニー・スウィーニー（Sydney Sweeny）が着用したのは、「ミュウミュウ（MIUMIU）」のオートクチュールのドレス。ライトブルーのチュールガウンに花柄のクリスタル刺繍を施したドレスに、ヌードサテンのプラットフォームとブラックレザーのグローブをコーディネートしました。

ジジ・ハディッド in THOM BROWNE

　ジジ・ハディッド（Gigi Hadid）は、「トム ブラウン（Thom Browne）」のドレスを身に纏って来場。春らしい黄色のバラをあしらったブーケのようなドレスには、200万個以上のホワイトビーズが刺繍されています。

ジェイデン・スミス in THOM BROWNE

　ジェイデン・スミス（Jaden Smith）は、ホワイトデニムにブラックのウールモヘア、ピンクとホワイトのダリアのアップリケをハンドプリーツであしらったトム ブラウンの特注コートを着用しました。

ニコール・キッドマン in BALENCIAGA

Courtesy of Balenciaga

　ニコール・キッドマン（Nicole Kidman）は、自身がアンバサダーを務める「バレンシアガ（BALENCIAGA）」を着用しました。ドレスは、クリストバル・バレンシアガ（Cristóbal Balenciaga）が1951年に製作したティアードドレスを再現。手作業で擦れさせたオーガンザと刺繍をあしらったロングフレアスカートに、ダブルシルクサテンのテールをあしらったビスチェを組み合わせています。

セリーナ・ウィリアムズ in BALENCIAGA

Courtesy of Balenciaga

　セリーナ・ウィリアムズ（Serena Williams）も、ニコール・キッドマン同様、クリストバル・バレンシアガによるドレーピングを引用したカスタムメイドのドレスを着用。ゴールドの箔をラミネートしたシルクタフタのクチュールガウンは、2022年に発表したクチュールコレクションのスタイルを再解釈し制作したのだそう。イヤリングやリングなどのジュエリーは、「メシカ（Messika）」のもの。

ミシェル・ヨー in BALENCIAGA

Courtesy of Balenciaga

　バレンシアガのアンバサダーであるミシェル・ヨー（Michelle Yeoh）は、デムナ（Demna）の新たなシグネチャーであるアルミニウム接着のファブリックを使用したオリジナルデザインのドレスを着用。1940年代のボールルームを彷彿とさせるデザインを意識したんだとか。

デュア・リパ in MARC JACOBS

Image by: マーク ジェイコブス

　デュア・リパ（Dua Lipa）は、「マーク ジェイコブス（MARC JACOBS）」のドレスに身を包んで来場。スパンコールとレースのトップスとスカートに、ヌードサテンのコルセット、オーガンザのフェザーのストールを組み合わせたスタイリングで、小物はレースグローブとベロアブーツをチョイス。

　アフターパーティーでは、「マーク ジェイコブス（MARC JACOBS）」の1994年フォールコレクションからインスピレーションを得た、クリスタルエンブロイダリーのブラトップに、ハイウエストのタキシードパンツ、フェイクファーのストール、スパンコールのフィッシュネットのオペラグローブ、デュアルリンクバッグを着用しました。

ペネロペ・クルス in CHANEL

Image by: CHANEL

　「シャネル（CHANEL）」のアンバサダーを務めるペネロペ・クルス（Penélope Cruz）は、シルクチュールとシルクタフタにブラックとシルバーの8種類のフレンチ フラワーレースがあしらわれたオートクチュールドレスを着用。ジュエリーからシューズまで、全身シャネルのルックを披露しました。

ミシェル・ウィリアムズ in CHANEL

Image by: CHANEL

　ミシェル・ウィリアムズ（Michelle Williams）は、シャネルの2024年春夏 オートクチュールコレクションから、スパンコールのフラワーモチーフを刺繍したオーガンザドレスとホワイトチュールのロングコートに身を包んで来場。シューズやジュエリーに加え、メイクアップアイテムもシャネルなんだとか。

バリー・コーガン in BURBERRY

　バリー・コーガン（Barry Keoghan）は、「バーバリー（BURBERRY）」のベルベットのテーラードジャケットとウエストコート、トラウザーを纏い、ジャケットの中には、首元にリボン、袖口にフリルをあしらったシルクポプリンシャツを合わせました。両腕には「オメガ（OMEGA）」のウォッチを着用しました。

カイア・ガーバー in PRADA

　カイア・ガーバー（Kaia Gerber）は、「プラダ（PRADA）」の2011年秋冬コレクションからインスピレーションを受けて制作された、白い玉虫色のスパンコールが刺繍されたストラップレスのドレスに、シルバーのサンダルを組み合わせたスタイルで来場しました。

サラ・ポールソン in PRADA

　サラ・ポールソン（Sarah Paulson）は、プラダの2024年秋冬コレクションのピンクのサテンドレスに、沢山のリボンとクリスタル、花柄のシルクをあしらった刺繍ガウンを着用。花柄をエンボス加工で施したクラッチバッグと組み合わせたルックは、春らしい庭の風景を彷彿とさせます。

カイリー・ジェンナー in Oscar de la Renta

　カイリー・ジェンナー（Kylie Jenner）は、「オスカー デ ラ レンタ（Oscar de la Renta）」のストラップレスドレスを着用。ドレスに合わせて、「セルジオ ロッシ（Sergio Rossi）」のスリングバッグパンプス「エスアール ベラ（srBella）」を着用。シルクサテンのシャンパンカラーでカスタマイズした、カイリーのためのエレガントでモダンなスペシャルシューズです。

オークワフィナ in H&M

　オークワフィナ（Awkwafina）は、へネス・アンド・マウリッツ（H&M）の始まりである 「へネス（Hennes）」のウエディングドレスをそのまま使用した特注のガウンを着用。贅沢なクリーム色のシルクジベリンには、チューリップスカートのシルエットにハイスリットが施されているほか、オフショルダーのネックラインには、ビーズとラインストーンで繊細なデイジーの装飾が手刺繍されており、刺繍入りのポーチ・バッグがコーディネイトのアクセントになっています。

ユマ・サーマン in TORY BURCH

　ユマ・サーマン（Uma Thurman）は、「トリー バーチ（TORY BURCH）」の肩と背中に何百ものシルクオーガンジーの蝶が浮いたブルーのシルクタフタのガウンを着用。絶滅した蝶、ザーシーズブルーの羽の色はユマの瞳の色からインスパイアされ、手作業でカット、ペイントされた後、シルクを巻きつけた繊細なワイヤーであしらわれました。二層になったスカートでヒップが誇張されたガウンは、手作業で成型されたコルセットがシルクタフタに接着されています。

ダヴ・キャメロン in DIESEL

　ダヴ・キャメロン（Dove Cameron）は、「ディーゼル（DIESEL）」のカスタムルックを着用。クリエイティブ・ディレクターのグレン・マーテンス（GlennMartens）が、ダヴと協力して花柄のシフォンガウンを制作しました。ヴィクトリア朝を思わせるシルエットには、歪んだデボレチュールが刺繍され、まるでドレスが柔らかなボロボロのトレーンへと消えていくかのような、燃え尽きたような視覚効果を与えています。60メートルのチュールとシフォンで作られたこのドレスの制作時間は、なんと60時間。

ダミアーノ・ダヴィド in DIESEL

　イタリアのロックバンド「マネスキン」のリードボーカリスト ダミアーノ・ダヴィド（(Damiano David）は、「ディーゼル（DIESEL）」のクリエイティブ・ディレクターのグレン・マーテンス（GlennMartens）と協力し衣装を制作。ダミアーノの反体制的な姿勢を称えるルックを完成させました。伝統的なタキシードをシアーなデヴォレ技法で再解釈し、まるで時間が経つにつれて崩壊したかのように見せることで、彼の身体と特徴的なタトゥーを強調したスタイルに。

■これまでの「メットガラ」衣装まとめ
【2017】ギャルソンが多数、ファッションの祭典「メットガラ 2017」で注目された衣装まとめ
【2018】あのセレブは何を着た？法王、ジャンヌ、キリスト降臨の「メットガラ」で起こった11のこと
【2019】「メットガラ 2019」の注目スタイルは？セレブの衣装情報まとめ
【2021】セレブたちは何を着た？「メットガラ 2021」の注目衣装
【2023】「メットガラ2023」の注目衣装は？セレブの着用ブランドを調査