【インタビュー】「UNITED NUDE」レム・D・コールハース - 独創的なシューズのデザインに迫る -

 シューズブランド「UNITED NUDE(ユナイテッド・ヌード)」が、今秋国内初のショップをオープンした。日本では10年前から取り扱いをスタートさせ、セレクトショップや百貨店などでもお馴染みのブランドだ。建築的構造をデザインに取り入れた独創的なフォルムは、レディー・ガガやマドンナをはじめ今や世界中の女性を魅了している。ブランドの歴史は2003年からスタート。きっかけは「失恋」だったというクリエイティブディレクターのレム・D・コールハースに、ブランドのこれまでとデザインについて聞いた。

-最初に 「UNITED NUDE」というブランド名の由来を教えてください。

 英語で裸、中国語で女性、ドイツ語で今という意味を持つ「NUDE」という言葉をブランド名に付けたいと最初から決めていました。「UNITED」は一緒にという意味。造語として作った「UNITED NUDE」という名前は、いくつか候補があったなかから選びました。子供に名前をつけるような感覚でしたね。


- 「UNITED NUDE」スタートのきっかけは失恋からと聞いたのですが?

 失恋して彼女のことを思いながら描いたことでファーストモデルの「メビウス」が誕生したので、失恋がきっかけということになりますね(笑)靴は一番小さい建築物と言われますが、私はもともと建築を学んでいたこともあり、落ち込んだときによく靴の絵を描いていました。ファーストモデルのデザイン画をMiuccia Prada(ミウッチャ・ プラダ)やSergio Rossi(セルジオ・ロッシ)、Versace(ヴェルサーチ)ら、いろいろな人に見せてまわったのですが、「このデザインはとても印象的だし、象徴的なものにもなり得るから、自分でブランドを作った方が良いわよ」と勧められ、ブランドを立ち上げることにしました。

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- 独創的なシューズの歴史は「メビウス」からスタートしているのですね。

 そうですね、2003年にデザインしたので、来年でちょうど10周年になります。横から見てもらうと分かるんですが、メビウスの輪のように紙一枚を丸めたようなデザインになっています。

- 日本でも支持を集めてるデザイン「イームズ」はどのように生まれたのですか?

 私自身はあまり多くのスタイルを作ろうとは思っていなかったんですが、ある日パートナーのガラハド(クラークスの御曹司)と話していた時に「なんで他の靴を作らないの」と言われたんです。「メビウス」はもともとバルセロナチェアからインスピレーションを得ていたこともあり、ガラハドから「他の椅子もインスピレーションにして何か作ってみたら」という提案をもらいました。それで、「イームズチェア」と靴を融合させたのが「イームズ」です。

- シューズのモデル名がどのアイテムもユニークですね。

 定番で作っている「ローレス」は、ローレザリューション、レザリューションが元の言葉で、解像度という意味です。写真を撮った時に解像度を下げていくと、ガチガチして見えますよね? 靴を低解像度で見るとこうなるというところからデザインしました。秋冬の新作として発表した「デルタ」は、三角形がインスピレーション源になっています。


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- 常に独創的な"形"を提案されていますが、難しいなと感じた経験はありますか?

 デザインすることは好きなので、その段階で難しいと感じることはないかな。それよりもデザイン画を商品にするということは、とても難しいです。こういう奇抜なデザインなので、それがちゃんと仕上がってくるかも心配だね。

- では、デザインする上で大切にしていることは?

 僕はミニマリストなので個人的にはシンプルなものが好きです。あと、バランスが大事ですね。ヒール以外のデザインを見てもらうと分かると思うんですが、体重を支える部分はしっかりと計算して個性的に仕上げていますが、アッパー部分はすごくシンプルに抑えています。ヒールもアッパーも個性的だったらすごいことになっちゃうので(笑)

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- よく"建築的"シューズと言われていますが、靴と建築の関係性をどのように捉えてますか?

 関係性はかなり深いと思っています。建築家が椅子をデザインするのと同じような感覚で僕は靴をデザインしているし、この関係性はずっと続いていくと考えています。特に僕は建築を学んでいたものなので、建築学から学んだことはとても多く、「学んでよかったな」と感じています。建築家にはなれなかったけどね。

- ファッションブランドとのコラボレーションも積極的に行われていますよね。

 コラボレーションをすることは好きですね。自分だけでは思いつかないような発想が刺激になっています。

- ちなみに、洋服をデザインしたいという思いはありますか?

 洋服をデザインすることに関しては未知数ですね。僕は洋服が大好きでファッションショーをよく見に行ったりするのですが、靴にはファッションショーがなくて残念だなといつも思っています。やってみたいなという気持ちはありますが、まだ分からない。洋服をデザインした際には、ぜひファッションショーをやってみたいと思います。ただ仕事量が増えるというのは心配ですね(笑)たくさんデザインしなければいけなくなりますからね。

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- 気になるブランドはありますか?

 ファッションとデザインのバランスを兼ね備えているブランドには興味があります。そういうものを作っていきたいという気持ちはありますね。例えば、イッセイミヤケのプリントだったりミハラヤスヒロの靴だったり、最初はファッションとして出てきたものかもしれないが、定番となったものがありますよね。僕はそういうのが好きです。

 僕自身はファッションとデザインは違うものだと考えています。ファッションにはシーズンがあり、それに合わせて洋服をクリエイトしなくてはなりません。でもデザインは、定番としてシーズンを超えて残っていくものです。僕は「UNITED NUDE」をファッションとデザインの間として位置づけています。ファッションとしての要素というのは、カラーや形、アッパーなどシーズンによって変わっていますが、ヒール部分はデザインの要素としてずっと変わらない。「メビウス」は最初に発売されてから、もう10年も続いています。

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- 9月には待望のショップがルミネにオープンしますね。国内での展開はいつからですか?

 日本では10年前のファーストシーズンから展開されていますよ。最初に声をかけてくれたのは、「hhstyle.com」だったかな。なので、日本のマーケット自体はとても重要なものだと考えています。日本の女性はファッションとデザインに興味がある人がとても多い。特に若い子は、いろいろなブランドやスタイルを上手にミックスしているので興味深いです。

- 今の時期に出店が決定した理由は?

 本当にタイミングです。木の実が熟したといいますか、タイミングが良くオープンに至ることができたかな。とても嬉しいです。

- もともと建築学ばれていたとのことですが、ショップのデザインはレムさんが手がけられているのですか?

 もちろん。ショップのコンセプトは世界共通です。"Dark Shop"、直訳すると暗いお店となるんですが、簡単に言うと映画館をコンセプトにお店をつくっています。暗めの店内で靴を見せるところにだけライトがある。全部LEDライトでコンピューター制御できるようになっているので、普段は白い壁なのですが15分置きくらいに色が変わるようになっています。映画館のような感動のあるお店にすることで、ショッピングをすばらしい記憶にとどめてほしいので。

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- 海外の路面店の写真は圧巻ですね。日本でも路面店のオープンは考えられていますか?

 タイミングがきたらもちろん。彼女を探してる男の子みたいに、恋人を作ろう作ろうと思ってもなかなかできないですよね。時期が来て、出会いがあったら恋人ができるというか。お店もそんな感じかなと。


- では、来年10年目となる「UNITED NUDE」の今後の展望は?

 来年は、春夏シーズンに新しく2つのラインを発表する予定です。ハイエンドラインの「ウルトラ」はちょっと特別な日に履くようなイメージ、もう一方の「ハイブリッド」は最新のマテリアルをミックスするギミックの効いたデザインを特徴としています。いつかは靴だけではなく洋服やアクセサリー、サングラスをデザインするかもしれない。私自身は今後も"デザイン"というものを追求していきたいですね。


- 最後に、レムさんが考えるシューズとは?

 シューズは、唯一ポーズを変えられるアイテムです。洋服でもシルエットは変えられると思うんですが、女性のポーズ=姿勢を変えられるのはシューズしかありません。ヒールを履くと背筋が伸びたり、歩き方を意識して変えたりしますよね。靴において最も魅力的な特徴だと思います。

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独創的シューズUNITED NUDE 日本1号店を新宿に出店
https://www.fashionsnap.com/news/2012-08-14/united-nude-sinjuku/