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山本耀司からの挑戦状、蜷川実花がモノクロで映し出した舞台裏

 9月9日夜7時半過ぎ。表参道・原宿エリアで毎年恒例のファッションズナイトアウトの開催に街が賑わう中、象徴的な黒で身を包んだ山本耀司の姿が青山にあった。この日からヨウジヤマモト本店で、蜷川実花による写真展「Yohji Yamamoto×Mika Ninagawa [ BLACK LIGHTS ]」がスタートしたのだ。蜷川実花と言えば極彩色の作品で知られるが、ここに飾られている写真は全てモノクロ。「黒」の山本と「色彩」の蜷川。色の概念を超えた2人のトップクリエーターのコラボレーションはどのようにして生まれたのか。

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FASHIONSNAP(以下、F):今回どうしてモノクロの写真を撮ること
になったのでしょうか?

山本 耀司:蜷川さんの写真は色彩に特徴があって、瞬間を色で捉えるから面白い。そんな才能がある人に、「あえて白黒で撮影してもらったらどんな作品が生まれるか?」と思いついて、僕から贅沢なお願いをした。ショーの時、僕は準備で完全に集中している。モデルやヘアメーキャップとか、人がごったかえしているバックステージで蜷川さんがブラブラと歩いて撮影したという感じだったね。

蜷川 実花:そうですね。当日は本当に好きにやらせてもらって、会場を歩きながら「あ、耀司さんいる!」って瞬間的にシャッター切るとか(笑)。最初からモノクロでやることが決まっていて、私的には"イカしたオファー"をいただいたのですごく燃えていました。ごまかしの効かない芯に近いものが、そのまま映し出されるので。

山本:

僕からの挑戦状だったんですよ。


蜷川:それを、しかと受け止めました

。色が無いという、ある意味で"枷"がある状態での撮影でした。もし興味のないものだったら枷があると窮屈に感じてしまいますよね。でも自分がやりたいこととなると、それがあるからこそ見えてくるものがあったり、自分だけでは行けないところまで力を引き出してくれるというか。そういう挑戦しがいのある出題をいただいたので、すごく面白かったんです。

F:これまでにモノクロの写真は撮られてきたんですか

蜷川:

デビューしてから5年くらい、モノクロしか撮らない時期がありました。モノクロの時はモノクロだけ。カラーの時はカラーという感じで。最近はモノクロも少し撮っています。

色彩の蜷川実花ではない、新たな一面を見ていただけることは嬉しいです。


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F:完成した作品を見た時の感想を聞かせてください。

山本:
写真を見た時に「こう来たか」と。今回の作品は絞りをきちんとして時間をかけて撮ったというよりも、スナップフォトのような格好良さがあってとてもよかった。 そして被写体がすぐ目の前にいるのに、その人ではなく空間を撮ってるという。それが「面白れぇ」と思ったんだよね。



蜷川:撮っている時は気づかなかったです。でもセレクトした写真を見てみたら「あ、服があんまりない!」って気づいて。服はショーのルック写真で見ることができるので、私はその場の空気感や臨場感を伝えなきゃって思ったんですよね。バックステージは、ショーがどうやって生まれるかの原点でもあるので。

山本:前に蜷川さんがカラーで撮影したパリコレの写真を見たことがあった。そこで内側に入ってもらうとどんなことになるかな、

僕が上から下まで苦辛の末に完成させた作品をたくさん撮ってくれてるのかなと思ってたら、そんなのは一着しかなかったね。 これ販促に役に立たないな、って(笑)
。


蜷川:それは言われるまで気づかなかったんですよね。言われてみたら、そうだなって(笑
)。

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F:そこから今回の展覧会はどう組み立てたのですか?

山本:その写真を谷川じゅんじ(展覧会の空間デザインを担当)に見せたら、ショーのバックステージみたいにモデルが衣装チェンジをする更衣室に見立てて店内に空間を作ってくれて、お客さんがショーに出るモデルの気分になれるようにしてくれた。蜷川さんが少しアングルをずらしてくれたから、谷川さんがこのアイデアを思いついてくれたんだよね。最初から狙ってなかったけど、いろいろ繋がってきて一つのストーリーが出来上がった。結果、「売る」というプレゼンテーションに見せてくれた。やっぱり才能を持った人が集まるって、こうゆうことなんだよね。

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来店時に店内の様子を見て回る山本耀司、谷川じゅんじと蜷川実花

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Exhibited works: Mika Ninagawa, 2017
©2017 mika ninagawa. All rights reserved.

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■ Yohji Yamamoto×Mika Ninagawa [ BLACK LIGHTS ]
期間:9月9日(土)〜10月10日(火)終了予定
開場時間:11:00〜20:00
会場:ヨウジヤマモト青山本店 (港区南青山 5-3-6 B1F/1F/2F)