米メイシーズ最大40店を閉店 オムニチャネルで失敗か?

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■メイシーズは8日、不採算店を35店~40店閉鎖することを発表した。店舗スクラップは2016年初めに行われ、閉鎖される店の住所やリストラ対象者数など、詳細は明かされていない。メイシーズによると最大で40店舗の閉鎖となる店舗売上は全体の1%で、店舗数では5%に当たる。今回の店舗閉鎖はオムニチャネル・リテーリングでのアプローチを最適化するためとしている。同社は今年1月にも14店舗の閉鎖を発表しており、過去5年間で12店オープンしたものの52店を閉鎖している。メイシーズだけでも現在770店を運営しており、傘下のブルーミングデールズやブルーミングデールズ・アウトレット、今年初めに買収した高級美容・スキンケア用品スパチェーンのブルーマーキュリー(Bluemercury)を合わせると45州に885店を展開中。同社は2日、処分品や返品などを扱うオフプライス業態「メイシーズ・バックステージ」を3ヵ所オープンしており、さらに3ヵ所追加オープンする予定となっている。
メイシーズはまた、ベストバイと提携し11月までにメイシーズ店内にベストバイの店舗内店舗をオープンすると発表した。メイシーズの10ヵ所でテストされるショップ・イン・ショップは8坪程度の広さ。ベストバイの専任スタッフが常駐し、サムソンのスマートフォンやタブレット、スマートウォッチ、ブルーツース・スピーカー、ヘッドフォンなど年末客に向けて販売する。

トップ画像:メイシーズのレジ上にあるPOP「オンラインで注文してお店でピックアップ」。メイシーズではストアピックアップの訴求は、オムニチャネル化を宣言してから随分経った後に目にするようになったのだ

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メイシーズ既存店・売上高前年同期比推移の棒グラフ(数値は既存店・売上高前年比)。オムニチャネル・リテーリングの先駆者とされるメイシーズは、既存店・売上高前年比が2011年から下降している。2011年の5.3%増から3.7%増、1.9%増、0.7%増と下がり続けている。2015年度の2四半期も連続して前年を下回り、上半期は1.4%の減少だ。オムニチャネルが成果を出していないのだ。なおメイシーズは2012年3月28日、証券取引委員会に提出した2011年度年次報告書にオムニチャネル戦略を明かしている。

15年9月8日 - 【メイシーズ】、オフプライスのバックステージがオープン!本体のエントリーポイント?

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。メイシーズが2011年度の決算書で「オムニチャネル企業を目指す」と宣言した以降、メイシーズの業績は年々、悪化しています。ついに最大40店の店舗スクラップです。オムニチャネル・リテーラーにとってリアル店舗は重要な経営資源であり、アマゾンなどオンライン専売ストアに対する「戦略上の優位点」です。リアル店舗をスクラップするということは、オムニチャネル・リテーリングが魔法の杖ではないことや、メイシーズがオムニチャネル・リテーリング戦略で思ったような成果を出していないことを示唆しているのです。また、メイシーズ・コムやブルーミングデール・コムのオンライン売上は伸びていますが、それがお店に波及していないことも意味しています。つまりオンラインからオフラインの誘導となる「O2O(Online to Offline)」さえできていないことになります。これまで日本のメディアや専門家が語っていたこととは正反対の現実となっているのです。

⇒「メイシーズはオムニチャネル化で成功していない」ということです。メイシーズはオムニチャネル戦略を宣言してから3年以上経過していますが、少なくとも現時点でまったく成果がでていません。後藤はこれまで「メイシーズがオムニチャネルで上手くいっている」ということを一度たりとも書いたり、話したりしていません。なぜかというと現場を頻繁に視察しているから。売り場を見ればオムニチャネル化が進んでいるかどうかわかります。オムニチャネル化の代表的なステップに、オンラインで注文してお店でピックアップする「ボピス(BOPIS:Buy Online Pick-up In Store)」があります。オムニチャネル化が進んでいるチェーンストアのリアル店舗(特にカスタマーサービス)を見れば、ボピスをPOP等で訴求していることが見れるはずなんですね。でもメイシーズはつい最近まで、こういった表示を掲げていませんでした。一方、オムニチャネル化を進めているホームデポは昨年の年末商戦で、入り口にボピス用の専任スタッフを配置していました。

15年1月29日 - 【オムニチャネル】、戦略ではなく戦術!バズワードだからこそ事例を確認する必要あり?

⇒「売り場をみればオムニがわかる」ということ。日本のメディアや専門家は売り場を見ていなかったのですね。ネットで得た二次情報や三次情報を参考に、想像と思い込みで記事を書いてしまった可能性があります。なぜかというと、オムニチャネルがメディアでバズワードだったからです。カタカナ新語は読者の注意を引きやすく、興味をかきたてやすいのです。一昔前のウェッブ2.0や、最近のアイ・オゥ・ティー(IoT)も記事になりやすいバズワードです。メイシーズの場合、オムニチャネル化を他の企業に先駆けて高らかに宣言していたから記事にもなりやすかったのです。したがって(点だけ見て、流れをみずに)メイシーズがオムニチャネル化で儲けているかのように煽ったのだと思います。今でもそんな記事(「オムニチャネル メイシーズ」と検索)をネット上で沢山、見ることができます。その原因は現場を視察していなかったこと、変化の流れを観察する定点観測を怠っていたことです。
視察研修のコーディネーターとして「ついでに視察」とかはダメ。コンサルタント、専門家、スペシャリストなら身銭を切って自分で運転して精力的に店を見ないことにはアメリカ小売業を語れないのです。

後藤文俊