小島ファッションマーケティング代表

アパレルがスーパーマーケットに学ぶべきこと

東京都は食品・流通業と「食品廃棄ロス」の削減に乗り出すそうだ。食品業界には「三分の一ルール」という不文律があって、小売店への納品は賞味期限の三分の一まで、小売店頭での販売は同三分の二までとされ、賞味期限の残りが三分の一を切れば返品されるという慣行が定着していると聞く。これは賞味期限が長いグロサリー食品の慣行であり、現実的な賞味期限が1~2日と短い生鮮食品や日配食品には適用されない。

なんでこんな事を取り上げるのかというと、スーパーマーケットやコンビニでは「賞味期限」と連動する「販売期間」管理が確立しており、在庫コントロールの精度がファッション業界などとは桁違いに高いからだ。

スーパーマーケットの食品は「生鮮三品」(鮮魚・精肉・青果)、「日配食品」(牛乳や豆腐など巾広い)、「グロサリー食品」(工場生産のドライ食品)、「飲料・酒類」などからなるが、「鮮魚」「青果」「日配食品」の多くは当日売り切りが原則で、「総菜」や「弁当」「生菓子」などは半日期限で売り切られるものもある。その一方、賞味期限の長い「グロサリー食品」などはVMIで自動補充されるから売り切りを急ぐ必要はない。

「賞味期限」の短い売り切りリスクの高いカテゴリーほど値入れ率も高く、結果としての回転も速いから、売り切り管理が上手く行けば儲けも大きい(残せばその日に廃棄ロスが発生する)。逆に「賞味期限」の長いグロサリー食品などは大半がNBという事もあって価格競争が厳しく値入れも限られるが、販売期間の長いVMIだから売れ残りリスクも限られる。そんなカテゴリー毎の特性を組み合わせて、値入れと回転をミキシングしているのがスーパーマーケットなのだ。

アパレルギョーカイでは商品の性格に応じて「販売期限」を定めるという食品スーパーでは当たり前の「鮮度管理」「売り切り管理」が確立されておらず、出たとこ勝負の対応で在庫が滞貨したり見切りロスが肥大したりと在庫コントロールの精度が極めて低い。そのリスクを担保しようと原価率を切り詰めるから'お値打ち感'も怪しくなり、それがまた消化率を悪化させるという悪循環に陥っている。

個々の企画毎に「台帳補給の定番品」「限定補充の通常品」「一蒔き限りのデザインもの」などと性格を定めて「販売期間」「販売数量」「値入れ率」を決め、スーパーマーケットのように在庫コントロールと値入れミックスを徹底するなら値引きも残品も大きく圧縮出来るのではないか。

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