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ファッションマガジン

ビルケンシュトックが目指すブランドの新たな形

ビルケンシュトック=フットウェアの時代は終わるだろう。7月6日にベルリンで開催されたプライベートローンチイベントで発表された新生ビルケンシュトックが掲げるビジネスとライフのつながり。

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240年の歴史を持つ老舗フットウェアブランド・ビルケンシュトックが新たなムーブメントを見せている。その1つが可動式リテーリングをコンセプトにした、『ビルケンシュトック・ボックス』だ。ベルリンファッションウィーク真っ只中の7月6日、コンセプトストア<ANDREAS MURKDIS (アンドレアス・ムルクディス)>で開催されたプライベートローンチイベントにてお披露目となった。

店舗外に設置され、クロームメッキで覆われたコンテナボックスはまさに光のシェル(殻)。アングルによって、光を反射したり中が透けて見える様にデザインされている。今回このオーダーメイドデザインを手がけた<ゴンザレス・ハースAAS>の特徴でもあるこの光遊びはボックス内にも反映されている。自然光が差し込み、照明と絶妙に調和した美しい空間が誕生した。インテリアはビルケンシュトックのアイコンである『フットベッド』と共にソール部分に使用されているサステイナブルな素材・コルクを使用し、そこへハナゴケを加えることで、人工的かつ都会的なボックスとナチュラルな要素を見事に融合させている。その空間には、今回のコラボレーターであるベルリンのコンセプトストアである<アンドレアス・ムルクディス>によるエクスクルーシブなアイテムと共に、<ヨウジヤマモト>や<ジル・サンダー>といったブランドが、同店のキュレーションによって展開されている。このボックスは7月22日の後、次の都市へと移動するーまさに『ビルケンシュトック・ボックス』が世界を巡る旅するコラボレーションの幕上けなのだ。

会場にはビルケンシュトック現CEOオリヴァー・ライヒェルトもパーティのホストとして登場。彼は長い歴史の中でファミリーメンバー以外から起用された初の経営責任者であり、『ビルケンシュトック・ボックス』をはじめ、ベッドやナチュラルコスメといった、ブランドプロジェクトを次々と展開するブランドの新風なのだ。「3年前からベッドやマットレス等の寝具、ビューティーケア商品ライン『ナチュラルケア』の開発に取り組んでいます。理由は簡単。ビルケンシュトックのスタンスはウェルビーイングを目指しているから。フットケアからボディケア、そしてフェイスケアへと進出する、まさに理にかなったステップなのです。『ナチュラルケア』に関しては、100%ナチュラル、パラペン・シリコンフリーとなっています。特にアジアの人々は健康やスキンケア製品に気を使っているため、私たちのナチュラル製品はアジアのマーケットにフィットするはずです」とライヒェルト氏は話す。

ビルケンシュトックを語る際、ドイツ文化を理解することでより深みが増すはずだ。まずは、"ウェルビーイング"という言葉、幸福であり健康な状態を意味するこの考え方がドイツで非常に発達し根付いている。分かりやすい例として食事やコスメをはじめとするビオ・オーガニック先進国であること、有給消化率もほぼ100%、仕事とプライベートを両立するワーク・ライフ・バランスを重要視していることなども挙げられるだろう。ものを買うという行為において、そのバックグラウンドを重視し、自分が納得した製品に対価を支払う傾向がある。また、見た目の美しさだけでなく、品質や機能性、伝統を重んじるクラフトマンシップ(職人気質)もまさにドイツが誇る文化であり、ビルケンシュトックが大事にしていることの1つだ。それは人間の足の形にフィットし、クッション性に優れた『フットベッド』を開発し、ウェルビーイングな生活に真摯に向き合ってきた彼らの姿勢に色濃く表れている。現在進行中の新たなプロジェクトである寝具やスキンケアラインも同様に、今後も彼らが追求し続ける永遠の課題なのだ。

これからの人々の暮らしについて、ビルケンシュトックは明確なビジョンを私達に提示する。「大切なのはウェルビーイング、健康的な生活であること。グローバルな観点から言うと『グリーンアウェークニング』-人々が何を食べ、何を飲むか、何を着るか、それは何から作られ、どこで生産されたのか、そのコンディションに配慮すること」最も厳しい品質要求事項を満たす持続可能な資源で生み出されたビルケンシュトックのフットウェアは何十年も履き続けることが出来る。その上トレンドに左右されないデザインは、現代においてフレキシブルでクリエイティブな履き方を楽しむことまでも可能にした。「クオリティと機能性を保ち、ウェルビーイングなライフスタイルを生み出していくーそれはライフスタイルという一時的なトレンドではなく、今後も続いていくもの。言わばアティチュードなのです」ビルケンシュトックが単なるフットウェアブランドであるという認識は、もはやナンセンスだ。多角的な観点からウェルビーイングを追求し、私達の生活をより豊かにしてくれるブランドとして、今新たな歴史を刻み始めている。

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http://www.birkenstock.com/

Credits
Photography Tereza Mundilová
Text Yukiko Yamane