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小島ファッションマーケティング代表

これからのアパレルに求められるネットリテラシーとは?

オムニチャネル時代の店舗販売は、商物一体の不合理という店舗販売の呪縛を解いて商販分離のショールーム販売へと一変すると幾度も指摘して来たが、ようやく本格的な拡大局面に転ずるようだ。

先行する米国のウォービーパーカーやボノボスに続いて我が国でもオーマイグラスやKnotなどEC発のショールームストア(実店舗機能を兼ねる)が広がり、オーダーシャツ/スーツではショールームストアやポップアップストアとECを連携するニュービジネスが氾濫している。そんな中、8月18日の繊研新聞が『オーダーシャツEC「オリジナルステッチ」の米オリジナル社が自社の受注・生産・配送のプラットフォームを他社も利用出来るようオープン化し大手三社の計1000店舗以上に提供する』と報じていたのはちょっとした衝撃だった。大手三社とは紳士服チェーンだと推察されるが、ならばシャツの流通は一変する事になる。

同日の日経は『丸井が靴に加えて衣料品も試着品だけで在庫を持たないショールーム売場「体験ストア」を本格展開する』と報じていたが、丸井は15年9月から婦人靴PBのポップアップストアで無在庫販売の運用実験を積み、17年2月には錦糸町店の婦人靴PB売場全体を「体験ストア」化して運用ノウハウを詰めていた。PB「らくちんシューズ」では40才以上の顧客の65%が利用し、端サイズの47%が「体験ストア」で購入されるなど手応えを得て今回、「らくちん」シリーズのパンツも加えて本格展開する運びとなったようだ。来春までに10店舗超に拡げ、順調なら紳士のシャツやスラックスにも拡げる事を検討している。

丸井の「体験ストア」では顧客はお試しの上、店頭のタブレットあるいは自分のスマホやパソコンから発注し、最短2日で指定する場所に届く仕組みで、靴は送料無料、アパレルも3000円以上から無料になる。ECサイトからは各店舗の在庫も確認出来るし(引き当ては1時間毎)、店受取も選択出来て、店で試した上でキャンセルも出来る。自宅でも行き来とも送料無料で8日間お試し出来るなど、オムニチャネル対応は百貨店はもちろん小売業総体でも突出している。

未だショールーミングを恐れてタブレットの持ち込みも規制する百貨店や駅ビルが多い中、丸井のネットリテラシーは一世代も二世代も先行している。アマゾンのフルフィルメントサービスやペイメントサービス、ロコンドのBOSSからロコチョクDへと広がるオムニチャネル・ロジスティクスサービス、今回のオリジナル社のオーダーシャツ・プラットフォームなど、ライバルにも提供するオープン・プラットフォームが流通を一変させて行く今後、ネットやIoTのリテラシーに遅れ旧弊に固執する経営層は企業に取って大きなリスクとなりそうだ。

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小島健輔