ファッション流通コンサルタント ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

5年後のファッション消費の未来は?

10月5日の繊研新聞にJDAソフトウエアがプレスリリースしたインターネットショッピングに関する消費者意識調査に関する記事が掲載されていました。

同調査資料のオリジナルをご覧になりたい方はこちらから

2017年インターネットショッピングに関する消費者意識調査

この調査は

18歳以上の男女を対象にしたインターネット調査ですが(有効回答数2093人)

私が注目したのは2点

今後ファッション消費において、

1.どれくらいの割合がオンライン経由でなされ、

そのうち

2.どれくらいがクリック&コレクト(オンライン注文の自宅以外受け取り)を利用するのか?

に関する数値です。

まず前者については

インターネットでも実店舗でも、どちらでも購入できる商品の場合、インターネットと実店舗のどちらで購入することが多いですか?という質問に対して、

小売全体では約70%に対し、洋服/靴/ファッションは75.5%が実店舗で購入するとのこと。

この結果は、昨今、業界識者の方々が語り始めている「業界のEC売上比率の限界点は30%にあり?」という議論に近いものがあるかも知れません。

また、

過去1年間にクリック&コレクト(オンライン注文商品の店舗など自宅外受け取り)を利用しましたか?という質問に対しては

今回(2017)は18%と前年(2016)の14%に比べて増えています。

ちなみに同社は同じ調査を英国でも行ったため、比較数値が出て来ますが、

英国ではクリック&コレクト利用経験者比率は54%とのことです。

なぜクリック&コレクトを利用するか?という理由としては

配送手数料がかからない    44%
自宅より確実に受け取れる   42%
自宅への配送より便利      34%

一方、クリック&コレクトにおいてのトラブル体験は

日本では74%の利用者が持っており、これは英国の54%よりも高い数値となっていますがその理由の上位は

店員が商品をなかなか見つけられない、時間がかかった 39%
受け取りの専用スペースがない  29%
対応する店員がおらず待たされた 18%

とのことです。

ストレス軽減のためには、同サービスが社内でしっかり通達され、アルバイトさん含めて店舗スタッフもそういったお客様が来店されることが周知徹底されているかどうかにかかっていそうです。

これまで、日本のクリック&コレクトがどれくらい進んでいるかを数字で掴めませんでしたが、今回、初めて数字に触れて、日本でも徐々に増えていることがわかりました。

また、クリック&コレクトが普及しているイギリスとの比較で、以前、私が英老舗SPAのNEXTのアニュアルレポートを読んだ時にこんな数字が出ていたのを思い出しました。

2016年1月期のものですが、

オンライン注文を店舗で受け取る比率が過去5年間に急増

2010年     2015年
13%  ⇒   55%

これは同社がオンラインビジネスに力を入れ、サービスの認知とサービス精度向上に努めたからに他なりません。

この数字を思い出して、JDAの英国の調査結果とNEXTの実態が近いこと、

そして、NEXTのクリック&コレクト比率が2010年に 日本の2016年と同じ水準であり(13%、14%)、その5年後に過半数がオンライン注文を自宅外で受け取るようになったことからすると・・・

日本でも2021年ごろには過半数がクリック&コレクトを利用するようになるのかも知れないという未来予想図が描けるのではないでしょうか?

もっとも、企業がそれに耐えうるフルフィルメントなどインフラ投資を着実に進め、店頭と一体となって、店頭でのトラブル比率を下げることがキモになることは言うまでもありません。

JDA社の資料によれば、日本の小売企業はまだECのシステム周りに投資をしているのに対して、欧米ではフルフィルメントへの投資が旺盛とのことです。

これから5年後のファッション消費の未来を想像しながら・・・

オムニチャネル時代にインフラ投資を行いながら、トップがリーダーシップをとって店頭を含めて社内で周知徹底する、

そんな取り組みを進めなければ取り残されてしまいそうな局面に入って行きそうです。

関連エントリー-ロンドン視察から 日本でのクリック&コレクトの普及を考える

齊藤孝浩