小島ファッションマーケティング代表

ECにおけるセキュリティ管理の重要性

手広くECのサポートを手掛けている某システム会社が悪質なハッキングに遭ってサーバーのデータがブロックされてしまい、取引しているブランドが四苦八苦していると聞いたが、データサーバーや物流施設のセキュリティ管理が甘いと思わぬリスクを抱える事になる。'想定外'と言い訳しても一度、大事が起こってしまえば失うものは大きい。

最近でもDCの火災がアスクルの業績に響いた事は広く知られているが、1923年(大正12年)9月1日11時58分32秒に発生した関東大震災が当時、ピークに達していた戦前の通信販売ブームを一瞬にして叩き潰した事は意外と知られていない。震災による広範な火災で通販各社は顧客名簿(今ならサーバーの顧客データ)の大半を焼失してしまい、業容の衰退を余儀なくされた。

我が国の百貨店は未だEC比率が2%弱と伸び悩んでいるが、1910年代の三越では通販売上が総売上の20~25%を占めていたそうだ(代引き郵便小包が主流だった)。それが震災後の1935年には1.1%まで急落したのだから、震災後の金融恐慌や世界恐慌が重なったとは言え、顧客名簿の焼失は壊滅的な打撃だったと推察される(満薗勇著「商店街はいま必要なのか」より)。

もっとも1890年代からシアーズ・ローバックやモンゴメリー・ウォードに代表されるカタログ通販が小売の主流となっていた米国でもピークは1910年代で、T型フォードなど低価格で量産されるようになった乗用車が普及するにつれ加速度的に広がったチェーンストアによって1920年代後半には下火になって行ったから、大震災がなかったとしても通信販売は店舗小売業に押されて衰退したのかも知れない。ちなみに戦前ピークの1939年には百貨店は全国203店舗で小売総額の9.3%を占める最大勢力に発展していた。

百貨店の今の苦境が嘘のようだが、ECとていつ何時、どんな事情で暗転するやも知れない。北朝鮮ミサイルの電磁パルス攻撃など現実になればデータサーバーの被害は関東大震災並みになるだろう。幾重もの予備サーバーにデータをバックアップしておくのが賢明ではないか。

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小島健輔