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【動画】ガレス・ピューの最新コレクションが映像形式で公開

ロンドン・ファッションウィーク開催中にプレミア上映された映像作品を公開。

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ガレス・ピューはこれまでもファッションウィークのルールに果敢に挑んできた。格調高きゴスとでも呼ぶべきデザインとムードで魅せるショー、そして多様性溢れるキャスティングで知られるピューだが、彼はいち早くファッション映像を取り入れたデザイナーでもある。今季、ピューはキャットウォーク形式のショーも展示会形式のプレゼンテーションも行なわなかった。ヨーロッパ最大の映画館、ウォータールーのBFI IMAXシアターでコレクションを披露したのだ。

この映像作品はピューとこれまでにも数々のコラボレーションを手掛けてきた写真家ニック・ナイトと、アーティストのオリヴィエ・ドゥ・サガザンが、ピューとともに作り出したもの。これが、サガザンとピューの初コラボレーションとなる。この作品は、「ドゥエンデ(Duende)」という芸術概念に着想を得て作られたという。「ドゥエンデ」は、スペインの詩人フレデリコ・ガルシーア・ロルカが幾度となく著書で言及した概念で、たとえば偉大なフラメンコ作品を観たときに、音やパフォーマンスに宿っていると感じ"ひとの魂をゆすぶる芸術的な力"を指す。この「ドゥエンデ」という概念を盛り込んだ予告編映像が公開となった。

「プロジェクトに向ける皆の思いがあって、映像を作ろうと思った」とピューはロンドン・ファッションウィーク開催中にIMAX試写会を前にi-Dに語り、続けて「ショーという空間では観客もパフォーマンスの一部となってしまう。スマホを取り出して写真を撮り、観客は自意識にとらわれている。でも映像は暗い場所で流され、映し出されるイメージが力強ければ観る者をその世界に引き込み、思考を乗っ取ることができる」と説明した。

1年前、シャンパンブランドVeuve Clicquotが開催したイベント「Windows Series」で、「Rooms」をキュレーションしていたFKA ツイッグスがこのフランス人アーティストとパフォーマンスを披露しているのをピューは観ていた。ピューはその時のことを「魂を揺さぶられ、とても興奮した。心を鷲掴みにされた。そしてアンチ・ファッションだとも感じた。そこでそれを掘り下げてみたくなった」と説明している。

サガザンは「ピューは僕と同じように身体をデフォルメする。でも彼が使うツールにはSFの要素が多分に含まれることになる」と自身の作品にある共通点について言う。「ピューのテーマはサバイバル。僕たちは異なる武器を用いている。その違いはあれど、彼も僕も同じ疑問への答えを追求している。少し前にガレスがウェブサイトでシェイクスピアの言葉を引用しているのを見かけた。そこには『リア王』からの「'Tis the time's plague when madmen lead the blind.(世は病み、狂人が盲人を導く)」という一節が書かれていた。まさにそれなんだ。ガレスと僕は心の兄弟。このプロジェクトによって僕たちは自己ついて理解し、ほかの世界のあり方を見出すことができる」

「この映像作品は苦悩から救済へ辿り着く魂の物語。ガレスの美しいコレクションが持つ力を表現した映像を作り出したいと思った」とi-Dにニック・ナイトは説明する。ドゥエンデについてナイトは撮影の過程で、「オリヴィエ・ドゥ・サガザンのパフォーマンスとレーザーを受けて輝くガレスのケージドレス(檻の形状をしたドレス)」にそれを感じたという。

ウェブサイトSHOWstudioでファッション映像の世界を切り拓いてきたニック・ナイトは映像形式の発表について、「最終的にはキャットウォークに取って代わるもの。ファッションを見てもらうシステムとしてショーはもはや維持が不可能なんじゃないかと思う。ファッション映像は、コレクションのビジョンを明確に伝えることができる。ファッション映像をもってすれば、デザイナーは思うがままのイメージを見てもらうことができる。モデルにランウェイを歩いてもらうよりもずっと想像力と表現力に溢れ、より力強い見せ方が可能になる」と語った。

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