米ノードストローム、24時間カーブサイド・ピックアップサービス開始

20171114walll.jpg■カーブサイド・ピックアップは利用者がネットで注文した商品を指定されている店舗駐車場にて受け取るサービスだ。大手チェーンストアではウォルマートが生鮮品などのカーブサイド・ピックアップを「ウォルマート・グローサリー」で行っており、スーパーマーケットチェーン最大手のクローガーも「クリックリスト」というサービス名で拡大している。食品以外でもターゲットが一部の店舗でテストを始めている。ただカーブサイド・ピックアップは店の営業時間に合わせて行われているのだが、なんとデパートメントストアのノードストロームは、24時間でカーブサイド・ピックアップを行うのだ。ノードストロームではネットで注文した商品を午前3時や午前4時でもお店の駐車場で受け取れるのだ。テストは12月16日~24日の期間で、シアトル市内にあるノードストローム本店やロサンゼルス郊外のサウス・コースト・プラザSCのノードストロームなど10ヵ所の限定で行われる。利用の仕方はネット注文時にカーブサイド・ピックアップを選択し、受け取る10分前に電話もしくはテキストメッセージで所定の連絡先に連絡する。店舗の駐車場にあるカーブサイド・ピックアップ専用駐車スペースで待っていれば、スタッフが注文品を持ってきてくれるのだ。アマゾンがファッションでも存在感を増す中、ノードストロームは実店舗を生かしたオムニチャネル化で反撃する。

ノードストロームが9日に発表した第3四半期(8月~10月期)で、クレジットカード売上を含む売上高は前年同期比2.5%増となる36.3億ドルだった。純利益は前年同期の1,000万ドルの赤字から1.14億ドルの黒字に転換した。既存店・売上高前年同期比は0.9%の減少だった。内訳は、フルラインのノードストローム本体の売上高は前年同期比5.1%の減少となる14.9億ドルで既存店ベース(オンライン売上は除外)は同4.9%の減少だった。ECサイトのノードストローム・コムは7.5%の増加だった。これによりネット売上を含むフルライン事業部の既存店ベースは1.9%の減少だった。一方、オフプライス業態のノードストローム・ラックの売上は同0.8%の増加となる9.7億ドルで既存店ベース(オンライン売上は除外)も同0.8%の増加だった。オンラインストアのノードストローム・ラック・コムは33.6%と大幅に増加し、オンライン売上を含むオフプライス事業部の既存店・売上高前年同期比0.8%の増加だった。
ノードストロームはフルラインストアを国内に117店、カナダに6店舗を展開しており、オフプライスのラックは232店の展開となっている。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。日本の流通はアメリカより5年~10年遅れています。このように言うと、必ずと言っていいほど日本人は怒ります。真面目で勤勉な人ほど怒りをあらわにします。お客様のために自分たちがやっている努力を真っ向から否定されたかのような印象を受けるからです。勘違いしないでもらいたいのですが、努力するベクトル・方向が違うのです。英語の表現に「タイタニック号でデッキチェアを並べ替える(rearranging of the deck chairs on the Titanic)」があります。沈没しかけているタイタニック号の甲板でデッキチェアを丁寧に並べ替える行為の愚かさを示した表現です。先日、日本のテレビ番組「ガイアの夜明け」で「百貨店はどう生きるか」を見ました。若いバイヤーらの奮闘に感心しながら「タイタニック号でデッキチェアを並べ替えている」と思いました。視聴しながら「新語・流行語大賞」でノミネートされた「ちーがーうーだーろー!」が脳内再生されるのです。
⇒断っておきますが、現場の人間を責めているわけではありません。経営者側にJアラートを作動させたいのです。テレビ番組の都合上、映すところに偏りがあるのは仕方がありませんが、見ていると「お客様はお店にきて買い物をする」「集客するには良い商品、いい売り場」が未だに大前提となっているように思えるのですね。ネットやアプリをそれほど使いこなしていない50代以上を客層にするのはいいですが、これからのお客様となる若い層に対しては不十分です。番組では秘策として「古着」の販売をフューチャーしていました。バイヤーがこだわった古着も売り切れ、成功とのナレーションでした。が、一部にメルカリに出品する業者も買っていたのではと推測しています。百貨店で良い物を探してきて数量限定で販売しても、それを業者が買ってネットで販売するなら、百貨店再生とは言えません。そのうち、来店客の多くがネット業者になったりして...いい商品よりも今の消費者の買い方にフォーカスした戦略でないと百貨店は生き残れません。

⇒ショッピングセンター「ギンザシックス」にしても、いつまで50代以上を相手に商売するつもりなのでしょうか?アメリカのデパートメントストアには決算期、共通した要素が見ることができます。客単価が若干上がりながらも集客数が減少し、既存店ベースが前年を下回っているということ。そして店の売上が減少しながら、ネット売上が急伸しているということ。結局のところ、ネットが実店舗の売上を奪っているということ。今のお客はデパートに行って優雅に買い物はしません。欲しいものは速攻、ネットで買ってしまうのです。売り場を中心にした「脱・百貨店」を掲げて、こだわり商品を厳選しておいても一般のお客は来ません。5年後~10年後には、目の肥えたネットバイヤーを集めるだけになります。日本人相手のメルカリだけでなく、富裕層相手に中国のネットで売られているなんてことにもなるでしょう。在庫リスクを納入業者に負わせる「消化仕入れ」に慣れている百貨店経営では、真の改革は無理かもしれません。
「ちーがーうーだーろー!」のJアラートが日本の百貨店には必要です。

後藤文俊