これまで何度かFreshtraxでも取り上げてきた ウェブアクセシビリティ。
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日本でも障害者差別解消法の改正施行に伴い、2024年6月から一般企業にも「合理的配慮」が義務化されることになり注目されています。
パンデミックを経て、行政手続きやビジネス、個人間のコミュニケーションまであらゆる領域でのデジタル化が進んだ結果、ウェブアクセシビリティの重要性はますます高まってきていると言えるでしょう。
欧米圏では、ウェブアクセシビリティは人権の一部であるという考えが広く普及し、法的にも取り締まりが強化されています。
アメリカへビジネス進出を検討する際には、 ウェブアクセシビリティへの配慮は今や避けては通れない道です。
今回の記事では、海外進出を検討している企業様の参考となるよう、ウェブアクセシビリティを理解する上でキーとなるWCAGと最新のウェブアクセシビリティチェックツールをご紹介します。
アメリカ進出の際に ウェブアクセシビリティが重要なのはなぜ?
アメリカ進出において、ウェブアクセシビリティへの配慮がなぜ重要なのか?
ビジネス的な観点から一言でいえば、アクセシビリティが確保できていないウェブサイトを運営することはコンプライアンス違反とみなされるリスクがあるためです。
人権意識の高いアメリカにおいては、1990年に成立した「障害を持つアメリカ人法(Americans with Disabilities Act of 1990 :以下、ADA)」が企業のウェブサイトへも適用されると解釈されています。
アクセシビリティへの配慮がないウェブサイトを運営することはコンプライアンス違反と見做されるリスクがあり、日本企業も訴訟の対象となりえます。
近年、ADA関連の訴訟は増加傾向にあるため、十分な注意が必要です。
アクセシビリティとは、アクセス(access)できる=製品やサービスなどが利用できること、また、利用できる状況の幅の広さを意味します。
ウェブアクセシビリティは、その名の通り、デジタル空間におけるウェブサイトの利用しやすさを表す概念です。
例えば、小さな文字ばかりが並び、視覚障害がある方や高齢者の方にとって読みづらいウェブサイトは、”アクセシビリティが低い”と形容されます。
アクセシビリティは、重度の障害を持った方など、限られた人のためのものなのでは?と思っている方もいるかも知れません。
しかし、老化による視力の低下や、年齢・世代による理解度のギャップなども含め、アクセシビリティは限定的というより、むしろ包括的な概念です。
デジタル庁が出しているウェブアクセシビリティ導入ガイドブックによれば、日本だけでもアクセシビリティの確保の恩恵を受ける人は428万人以上いると言われています。
どんな人でも、ある日思いがけず怪我をして片手が動かせなくなったり、歳を重ねるごとに耳が聞こえにくくなる可能性はあります。
アクセシビリティは他人事ではなく、いつかの自分や身近な人のためであるとも考えられます。
ウェブアクセシビリティについて理解する上で欠かせないWCAGとは何か?
ウェブサイトのアクセシビリティの確保の重要性がわかったところで、アメリカ基準でコンプライアンスを遵守したウェブサイトを作るためには具体的にどうすれば良いのでしょうか?
実際のところADA自体には、ウェブサイトがADAに準拠しているかどうかを判断するための具体的なルールというのは定義されていません。
そこでウェブアクセシビティ確保のためのガイドラインとして普及しているのが”Web Content Accessibility Guidelines (通称 WCAG)”です。
このガイドラインは、ウェブに関わる技術の標準技術の開発と普及を行っている非営利団体であるワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム(World Wide Web Consortium:W3C)によって作成されたもので、ADAに関わるウェブアクセシビリティに関する項目が網羅されています。
このガイドラインに従っている=ADAに準拠したウェブサイトであると言えます。
WCAGの概要
WCAGは、デスクトップ、ラップトップ、タブレット、及びモバイルデバイス上のウェブコンテンツのアクセシビリティを扱っています。
このガイドラインに従うことで、ウェブサイト上のコンテンツが、視覚や聴覚、運動制限など、様々な障害のある人たちにとって、アクセス可能な状態となります。
これらは、一般のユーザーにとっての使いやすさと矛盾するものではないので、アクセシビリティを向上させることで、利用者全員にとってよりよいウェブサイトにすることができます。
ガイドラインの内容は、時代やテクノロジーの変化に応じてアップデートされており、2024年3月現在、最新版は2023年10月に公開された WCAG 2.2 です。
原文は英語ですが、ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)の翻訳グループにより、日本語版のガイドラインも公開されています。
達成基準は3段階(A・AA・AAA)に分けられており、各レベルの定義は下記の通りです。
・レベルA:ウェブアクセシビリティを確保するために最低限達成するべき状態
・レベルAA:ウェブアクセシビリティが十分確保されている状態。日本でも公的機関に対して求められるレベル
・レベルAAA:非常に高いウェブアクセシビリティが確保できている状態
全体は大きく分けると、知覚可能・操作可能・理解可能・堅牢の4パートで構成されています。
詳細については今回の記事では割愛しますが、WCAGガイドライン(日本語版 2.2)は無料で公開されていますので、興味のある方はぜひご一読ください。
アクセシビリティチェックに使える!無料のブラウザ拡張機能3選
アクセシビリティやWCAGについての概要をご紹介したところで、ここからは実践編として、ウェブサイトのアクセシビリティをチェックする際に無料で使えるブラウザ拡張機能3選をご紹介します。
なお注意事項として、アクセシビリティチェックツールはどれもサイトのアクセシビリティを100%保証するものではありません。
特にコンプライアンス遵守の観点からはマニュアルのチェックは必須ですし、場合によっては専門のベンダーによる監査が必要な場合もありますのでご留意ください。
① はじめの一歩におすすめ!無料で使えるプラグイン:Google Lighhouse
これまで全くアクセシビリティのことを考えたことがなかった!という方へ、はじめの一歩としておすすめしたいのが、Googleが提供しているウェブサイト診断ツールのLighthouseです。日本語にも対応しています。
サイトのパフォーマンスやSEOスコア、そしてアクセシビリティについて、自動でレポートを作成してくれます。
LighthouseはWCAGに特化しているわけではないのですが、基本的な事項は網羅されているので、アクセシビリティの観点からどんなところが問題になるのかの肌感を掴むには、データが見やすく気軽に使えるのでおすすめです。
ご自身の会社のサイトだけでなく、「このサイト、なんだか使いにくいな?」と思ったサイトを診断してみると、意外な発見があるかもしれません。
② デベロッパーツール内で利用できる:axe Dev Tools
ウェブサイトの開発フェーズで活用できるプラグインとしておすすめなのがaxe Dev Toolsです。デベロッパーツール内で使用するためのプラグインです。
チェックしたいページをスキャンすると、重症度ごとに問題を洗い出し、修正するための情報を表示してくれます。Tutorialの動画もわかりやすく、初心者にもわかりやすいです。
ウェブサイトの開発が進めば進むほど、問題が発覚した際に修正必要な箇所が増えるため、開発のなるべく早い段階からこの様なチェックツールを導入できると、アクセシビリティ関連の修正に必要な工数や費用を削減することができます。
拡張機能の設定で日本語も利用できます。
③ 自動チェック機能に加え、マニュアルチェックリストあり!:Accessibility Insights
同じく開発フェーズでおすすめなのがAccessibility Insightsです。こちらは英語版のみの提供となっています。
ChromeのプラグインとWindowsのデスクトップアプリで利用可能です。
簡易チェック(FastPass)機能では瞬時にサイト内のアクセシビリティ関連の問題と修正方法などをまとめてリスト化してくれます。
また簡易チェックではカバーしきれない範囲は、マニュアルチェックができるように項目が自動でリスト化されます。細かくテスト方法や判断基準が示されるため、初めてチェックをする人にもわかりやすくなっています。
問題が解消されなかった際にはメモが残せる機能もついており便利です。
本記事ではウェブアクセシビリティのアメリカ進出へおける重要性、及び、関連ツールについてご紹介しました。
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