シビック・クリエイティブ・ベース東京［CCBT］（以下、CCBT）による初の大規模アートプログラム「CCBT COMPASS 2024」が開幕した。会場は有楽町のSusHi Tech Square（以下、STS）と渋谷のCCBTの2ヶ所で、期間は5月19日まで。入場無料。

　CCBTは、アートとデジタルテクノロジーを通じて、人々の創造性（シビック・クリエイティブ）を社会に発揮するための活動拠点として2022年10月に誕生。ラボ、スタジオ等のスペースを備え、ワークショップなどのプログラムを通じて、東京からイノベーションを生み出すことを目指している。

　CCBTのコアプログラムのひとつである日本最大規模のアーティスト・フェロー制度「アート・インキュベーション」では、クリエイターに新たな創作活動の機会を提供し、そのプロセスを市民に開放。年度毎に公募・選考によって選ばれる「アーティスト・フェロー」をこれまでに10組迎え、アート、テクノロジー、デザインに関連した様々なプロジェクトを共同で展開してきた。　

　「CCBT COMPASS 2024」は、パフォーマンス、ワークショップ、トーク、展示の4つのプログラムで構成。ファッションラボラトリーの「シンフラックス（Synflux）」や参加型アートプロジェクト「エレクトロニコス・ファンタスティコス！（ELECTRONICOS FANTASTICOS！）」、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のエンブレムをデザインした美術家の野老朝雄といった、様々な領域で活動する歴代のアーティスト・フェローが全組参加している。加えて、過去にCCBTで企画を実施してきたメディアアーティスト・絵本作家の岩井俊雄（いわいとしお）によるワークショップやアート・ユニット明和電機のパフォーマンスを実施。CCBTのこれまでの活動を総合的に紹介している。

　なお、「COMPASS（＝コンパス、羅針盤）」という名は、誰かが作り上げた過去の指針である「マップ」ではなく、これからの未来を生きるひとりひとりの心構えや態度を醸成する羅針盤になりたいという想いから名付けられた。

　CCBTが始動してから1年半というタイミングで初となる大規模イベント実施に至った理由をCCBTのクリエイティブディレクター 小川秀明は「アーティスト・フェローの作家たちの作品は皆、アーティストたちが市民と共に創り上げてきた、“未来のプロトタイプ”。未来の東京の生活やアクセシビリティはどのように改善されていくのだろう、といった問いかけを持つ作品が1年半という期間を経て蓄積された。CCBTの作品は、表現者だけのためではなく、色々な人に真似してもらったり学習教材にしてもらうことができる“コンパス”として開放したい」とコメント。アーティスト・フェローと培った知見やアイデアを定期的に公開・分析することで、完成されたものを鑑賞する“ギャラリー”ではなく、“より良い未来をプロトタイプする”作品が作られていく過程に能動的に考え参加できる場を提供していくという。

　現在、2024年度の「アート・インキュベーション・プログラム」に参加するアーティスト5組を募集している。応募期限は5月26日まで。

◾️CCBT COMPASS 2024
期間：2024年5月3日（金・祝）〜5月19日（日）
会場：SusHi Tech Square1階、シビック・クリエイティブ・ベース東京
入場料：無料　※ワークショップ、パフォーマンス、トークは事前申込制
営業時間：STS会場 平日13:00〜21:00、土日祝10:00〜21:00／CCBT会場 13:00〜19:00
休館日：5月7日（火）、5月13日（月）

◾️主要プログラム
パフォーマンス
ELECTRONICOS FANTASTICOS！「発電磁行列(Stage Version)」5月11日（土）、5月12日（日）
ワークショップ
「渋谷の街に自分のAR作品を出現させよう！」5月3日（金・祝）、5月4日（土・祝）
トーク
ゲームさんぽの案内人と “AIと競争／共創”してみた！ 5月10日（金）
展示
（CCBT）浅見和彦+ゴッドスコーピオン+吉田山 都市型展覧会「AUGMENTED SITUATION1.2 D」、野老朝雄+平本知樹「FORMING CIRCLE／FORMING SPHERE ー環を成す、若しくは球を成すー」アーカイブ展示、SnoezeLab.「みて・さわって・きいて̶感じてあそぶスヌーズレン・ラボ」 アーカイブ展示、Synflux「Algorithmic Couture Alliance ── デジタルとファッションをめぐる対話」
（STS）TMPR(岩沢兄弟+堀川淳一郎+美山有+中田一会)「AIが見てきた風景を辿る 人工知能紀行」、木原共 + Playfool「Deviation Game ver 2.0」、SIDE CORE「under city box」