一澤帆布に三男・信三郎氏再び 4月元店舗で新装開業

 相続をめぐるトラブルにより営業休止していた帆布かばんブランド「一澤帆布」の京都・東山にある店舗が4月6日、午前9時より「一澤信三郎帆布」として新装オープンする。3代目社長一澤信夫氏の死をきっかけに、分裂していた長男・信太郎氏と三男・信三郎氏。6月に信三郎氏が勝訴を獲得したことから、5年ぶりに「一澤帆布」の店舗へと戻り営業を再開させる。

 綿や麻製の厚布から作られる「一澤帆布」のかばんは、シンプルなデザインや温かみのある色合いで、耐久性や実用性などを兼ね備えており、時代を越えて長く親しまれている。ブランドを手がける一澤帆布工業は、1905年に創業。初代一澤喜兵衛より家業として代々受け継がれており、3代目一澤信夫の代より「一澤帆布製」というタグが採用。ブランドの認知度を上げるきっかけとなった。

 1983年には三男・信三郎氏が4代目 代表取締役に就任するも信夫氏の死後、信夫氏が残したとされる遺言状が2通あることが発覚。遺言状の内容が2通とも大きく違っており、その真贋をめぐって訴訟が起こされた。2005年には信太郎氏の勝訴により、信太郎氏が5代目 代表取締役社長に就任し、信三郎氏は会社を追われることとなった。しかし2006年、信三郎氏が「一澤信三郎帆布」を立ち上げる際には「職人は、全員私とともに仕事を続けると表明してくれています。」と公式ホームページを通じて発表。別会社として従来通りのサービスを行っていたが、2009年に再び訴訟問題に。この訴訟では信三郎氏側が最高裁で勝訴を獲得し、同年7月に代表取締役に復帰することとなった。

 信三郎氏は「一澤信三郎帆布」を立ち上げた後は、「一澤帆布」近隣に店舗を構える他通信販売などで活動を継続。2011年2月末には7日間限定で新宿伊勢丹にて「一澤信三郎帆布」のミニショップも展開している。「一澤帆布」の復活は3月28日、「『一澤信三郎帆布』は、元の『一澤帆布』の店舗に戻ります!」とのタイトルのもと公式ホームページを通じて発表。信三郎氏は「これからは『信三郎帆布』『信三郎かばん(漢字は布包)』の製品に加えて職人向けの道具入れや、革を手縫いした昔ながらのリュックなど、今まで並びきれなかった製品も作って、一部に『一澤帆布製』のラベルも復活させたいと考えています」と言葉を寄せており、伝統ある職人達とともに再び「一澤帆布」ブランドを立て直すこととなる。