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【レポート】ワールド、減収するもコスト削減が進み営業利益が増加

ワールドの2016年3月期連結決算(非上場)は、店舗のスクラップによる影響で減収するも、コスト削減が計画以上に進み、営業利益段階で増益を達成した。1年前倒しで、営業利益100億円を達成した。仕入れの見直しに伴う棚卸資産(在庫)の削減・適正化が大きく寄与した。

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ブランド、不採算店舗の整理が一段落

連結の売上収益は6.8%減、2,782億円と下がったが、売上高総利益率(粗利率)は前期並みを確保した。販売管理費の削減が進み、営業利益が116億円と大幅に増加した(表1を参照)。当初は今期(2017年3月期)に営業利益100億円を達成する計画を立てていたが、1年前倒しで達成した。税引前利益、当期純利益は、営業外費用として商品廃棄損23億円、希望退職特別加算金30億円など計123億円を計上した影響もあり、減少した。

本部経費および店舗経費は併せて182億円の削減が進んだほか、不採算事業の撤退や希望退職の実施によるコスト削減効果もあった。在庫の削減が大きく貢献し、171億円の効果があった。型数を絞り込んで売れ筋商材に集約したことがプラスに働いたようだ。仕入れ額で前年の約80%、期末の在庫額も前年の約45%と効率化が進んだ。

ブランド整理では、期末までに13のブランド──「コキュ」「ボイコット」「メディテラス」「ラフマ」などが事業を終えた。退店数は479店で、期末の総店舗数は2,463店に縮小した。これらの効率化策の結果、フリーキャッシュフローが241億円(150億円増)と大幅に改善。有利子負債の返済も進んだ。計画以上に効率化が進んだ背景について、上山健二 代表取締役 社長執行役員は、「社員の『出費を抑える』という意識が高かったことが大きい。仕入れの抑制が一番効いているが、効率化を徹底できた現場の人材の力も大きかった」と説明した。

今期は商品企画力、ECビジネス、BtoB事業を強化

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今期は「再成長に向けたスタート」の時期に位置付ける。強化するポイントは既存ブランド・既存店舗を成長軌道に乗せることだ。そのために商品企画力を磨くとともに、来春には1,000人規模の新卒販売員の採用も計画している。また、地方の小商圏の開拓も強化する。「シューラルー」の屋号で展開する280店に再度、力を入れる。

ECビジネスも強化策の1つだ。BtoCのECサイト「ワールドオンラインストア」をリニューアル。セール率が高かった同サイトだが定価販売の比率を高めた。当期の売上高は142億円(8.5%増)と堅調に伸びている。今後は全販路の顧客・商品情報・在庫をデジタルでつなぎ、オムニチャネル化を進める。もう1つ、今期に強化するのがBtoB事業だ。企業のユニフォームの提供のほか、OEMやODMなど、グループの生産機能を活かしたビジネスの拡大を進める。

非上場企業のため、通期の業績見通しは公表していないが、可能な限り増収増益を目指すという。財務指標では、流動性指標に改善が見られる。有利子負債の削減で、D/Eレシオがやや改善した。商品回転率の改善で交差比率が増加した。資本の回転率は下がっている。有利子負債は1,071億円程度あり、自己資本比率も低いため、中期的な課題の1つである。

(樋口尚平)