花王のヘアケア研究所・マテリアルサイエンス研究所・解析科学研究所が、洗髪などの物理的摩擦にも強いハイドロゲルの新素材を開発した。潤滑性と耐久性を両立し、“疑似キューティクル”のように日々のダメージから髪を守る。
髪の外側を覆うキューティクルには潤滑性があり、絡まりやパサつきを防ぐ役割を果たしているが、ダメージを受けやすく、剥がれてしまうことがダメージヘアの原因だった。既存のヘアケアのアプローチとして、潤滑性のある成分で毛髪表面の損傷部分を覆い、なめらかな感触にするような、剥離したキューティクルの機能を補う技術が応用されている。しかし生活中の擦れや洗髪などで徐々に落ち、プロテクトの力が低下することが課題だった。そこで花王は生活中の擦れや洗髪に強く、高潤滑性を持つ素材の開発を目指した。
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新素材の開発にあたり、柔らかく、なめらかな手触り(高潤滑)で、化粧品の感触調整などに使用されるハイドロゲルに着目。多くのハイドロゲルは物理的な摩擦に弱く、毛髪に使用した場合は洗髪によって徐々に流れ落ちるため、耐久性の改善が必要だった。そこで、高潤滑な性能はそのままに強い耐久性を追求し、2種類のネットワーク構造のハイドロゲルにたどり着いた。
毛髪での耐久性の検証では、洗髪や摩擦などを試しても、新素材の成分が特にキューティクルが剥離した部分に集中的に留まる特徴を発見。また、ブリーチを繰り返しダメージを与えた毛髪に塗布した洗髪実験では、新素材を配合したトリートメントで処理した毛髪の方が、髪の毛が絡まりにくく、潤滑機能が高いことが分かった。
加えて、新たに開発したハイドロゲルは、工程がシンプルで、化粧品に用いられる汎用的な素材を組み合わせたものであることから、同社はヘアケア商品など日常的に使うアイテムへの応用が容易だ。今後、この素材を、トリートメントやヘアカラー製品などの商品開発に活かしていく。
Image by: 花王
新素材に形成したネットワーク構造のイメージ図
毛髪表面への新素材の残留性の比較
毛髪の絡まりやすさの比較
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