2017-18年秋冬のトレンドは?東京コレクションから読み解く6大キーワード

 2017-18年秋冬シーズンの装いは意外感とフェミニン度が強まりそうだ。意外感の面では、服のシルエットを大胆に変形させる「トランスフォーム」をはじめ、見た目上でのインパクトを打ち出す提案が相次ぐ。一方、フェミニン傾向はつやめき生地の多用や赤の復活に見て取れる。全体に主張や大人っぽさが濃くなり、おしゃれをポジティブに楽しめる秋冬になりそうだ。(文:ファッションジャーナリスト 宮田理江

◆トランスフォーム

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先シーズンから盛り上がった、過剰に長い袖に代表される「エクストリーム(極端)」のトレンドを引き継ぐ格好で、秋冬に勢いづきそうなのが服のフォルムを変形させるトランスフォーム。こちらも人気が続くオーバーシルエットと融け合うようにして、広がった袖、長すぎる着丈などのアレンジが広がる。シャツの片側だけをウエストに収めるスタイリングや、袖をイレギュラーにふくらませるデフォルメなどのユーモラスな提案も浮上した。

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性別をまたぐ「ジェンダーレス」を持ち込んだ変形も登場。エレガントなスカートの一部にメンズっぽい仕立てを生かすアイデアはトリッキーな着映えを生む。ファスナーやベルトをあちこちに配したウエアは、自分好みに開け閉めして自在に印象を変えられる。前後で表情を様変わりさせた服や、リバーシブル(ダブルフェイス)、左右アシンメトリーなどを生かしたデザインも相次いで提案されていて、ウイットフルな「服の解体・再構成」が目をよろこばせる。

◆英国チェック柄

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ブリティッシュテイストの再評価が世界規模で活気づく。英国紳士のムードを写し込むジェンダーレスの試みが浸透。しかし、かつての「ダンディーウーマン」のようなちぐはぐ感は薄れ、レディーライクな着姿に落とし込まれている。キーモチーフに位置づけられるのは、伝統のチェック柄。ハウンドトゥース(千鳥格子)のほか、グレンチェック、ギンガムチェックなどが取り入れられ、装いにマニッシュ感と品格を寄り添わせる。

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身頃と襟、袖で異なる種類やサイズのチェック柄を躍らせる。色や向きも違う格子柄同士のミックスはブリティッシュ気分を濃くする。文化や民族のヘリテージを生かしながら、あえていたずらっぽい造りの服に迎えて、伝統の枠を軽やかに踏み越えている。シャツやパンツにあしらうと、英国紳士のたたずまいが一段とはっきり薫る。テイラード技法の再発見も来秋冬の目立った動きだが、チェック柄をあえてストリート風味のウエアに写し込むアレンジが新たな着こなしを生んでいる。

◆冒険型レイヤード

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もともと秋冬は重ね着が楽しめるシーズンだ。でも、2017-18秋冬に盛り上がりそうなレイヤードは「サプライズ」が隠し味。全体のトーンを穏やかに整えたこれまでの作法とは打って変わって、計算されたアンバランスやファニーなずれ感が軸になる。ジーンズにチュールを重ねたり、ワンピースにミリタリージャケットを合わせたりといった、表情の異なるウエア同士をやや強引にマッチさせる冒険が格上のこなれ感に導く。

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「驚き」の要素に加えて、新レイヤードの柱になるのが、ナチュラルな落ち感。かさばって見えがちな重ね着の弱みを封印。ロング丈のワンピースや羽織り物をキーアイテムに据えて、全体を縦長シルエットに仕上げ、ふくらみをオフ。スーパーロングの袖を垂らしたり、ショート丈アウターをかぶせたりして縦方向に長いイメージを強調していく。着丈の長いニットトップスと、足首まで届くロング丈アウターを組み合わせるような「ロング&ロング」も縦落ち感を強めてくれる。

◆ハーネス、コルセット

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スリリングでフェティッシュな視覚的イメージを与えるディテールとして浮上してきたのがハーネスとコルセット。両方に共通しているのは、ボディーを締めつけるパーツだという点だ。パラシュートの装着具や飼い犬の胴輪のようなハーネスはトップスの上から巻いて、緊張感とクールさをまとわせる。つややかなレザーが服との質感の違いを際立たせる。肩ストラップと胸元の横ベルトが身頃に直線的ラインを描き、りりしい雰囲気を醸し出す。胸の正面で×形に交差するハーネスはアクティブな表情。ケミカルな色や素材が装いにスポーティー感を添える。fashionweek-tokyo-201718aw-miyata-05-01-17-008.jpg

胴を締めるコルセットはクラシカルな風情を帯びる。もともとはドレスの内側に着たランジェリー的ウエアだったが、今ではジャケットやコートの上から巻く「見せる」アイテムに進化。装いの一番外側に位置するから、着こなしのムードメーカー役を担う。レザー仕立ての太めタイプはミステリアスな風情。ウエストをしっかり引き締めてくれるから、シルエットにめりはりが出る。コートの上から巻く異素材のコルセットはインパクトが強い。

◆ベルベット、メタリック

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素材の面でもグラマラスなフェミニンをうたい上げる。主役を張るのはベルベット生地とメタリック系マテリアル。妖しく光を帯びるつやめき素材は着姿に大人っぽいムードを宿らせる。布をたっぷり使って、ロングシルエットに仕上げ、ドレープやひだで陰影を引き出すと、ロマンティックな雰囲気が濃くなる。ベルベットには特有のノスタルジックな風合いがあるから、その持ち味を生かして、レトロやヴィンテージを意識したコーディネートにまとめたい。ピンクやイエローといったたおやか色と組み合わせれば、さらに質感を生かせる。

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強めの主張を押し出すには、メタリックな素材が効果的だ。とりわけ、ゴージャス感のあるゴールドはリッチな着映えに仕上げやすい。まばゆいグリッター系をまとう場合、着こなしではメタリック物を1点にとどめ、つやのないマットな質感の布やニットと合わせ、互いを引き立てるように組み立てたい。きらめきが鈍いタイプは布地が多いワンピースやアウターでも取り込みやすい。あえてジーンズで合わせてこなれ感を出すコーデも試したい。

◆レッド

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女っぽさを強調できる色の筆頭はやはり情熱的なレッドだろう。先にピンクやイエローが復活したが、今度の秋冬は様々なトーンの赤がカムバック。これまでのレッドとの違いは、色味や面積、スタイリングなどの面で押し出しが強いところ。「強い女」を宣言するかのように、濃いめの赤で全身を染め上げた「オールレッド」の装いが提案されている。赤のワンピースやスーツ、セットアップが登場。ほぼ全身を赤く包むロングコートはフェミニンと凜々しさが同居する。

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赤にはいくつもの濃さがある。全体をワントーンでまとめてしまわないで、渋い色味や淡いトーンを響き合わせると、奥深いレッドルックに仕上がる。厚手ニットのセーターと透ける風合いのスカートを合わせるような「赤×赤」スタイリングが奥深い表情を引き出す。相性がよい黒や白、グレーとのマッチングも赤らしさを引き立てる。トップスを白、ボトムスを赤でまとめるバイカラーのコーデは赤のエモーションを際立たせる。黒やグレーと合わせれば、主張を程よく抑えながらパッションを帯びた着姿に整えられる。

 味気ないミニマルやノームコアは過去のものとなった。好景気やインスタ映え志向を追い風に、おしゃれのボルテージは高まる傾向にある。「やりすぎ感」のあったエクストリームからの揺り戻しも加わって、今度の秋冬は女性が本来的に秘める美しさを「大胆なシルエット、スタイリング」と「グラマラスな色、素材」の両面で表現する方向に振れた。肌見せや花柄も加わって、17-18年秋冬のファッションは女っぽさをまっすぐ肯定する気分で華やぎそうだ。(文:ファッションジャーナリスト宮田理江