【地球の歩きカマ No.1 〜ロシア編〜】ヴェトモンやゴーシャ...今最も旬な「東ヨーロッパ」のファッションシーンを探る

 最近ファッション業界では東ヨーロッパが熱い!「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のクリエイティブディレクターに就任した「ヴェトモン(VETEMENTS)」のデムナ・グバサリア(Demna Gvasalia)はジョージア(かつてのグルジア)、次のピッティ・イマージネ・ウオモ(Pitti Immagine Uomo)のメイン招待デザイナーに選ばれたゴーシャ・ラブチンスキー(Gosha Rubchinskiy)はロシアの出身だ。また、その2つのブランドの陰(実際には「ヴェトモン」のショーにモデルとして出てるのでそんなに陰じゃないかも)には、ロシア人スタイリストのロッタ・ヴォルコヴァ(Lotta Volkova)がいる。注目デザイナーの影響を受け、おしゃれキッズを中心に90年代のソビエトが持つ共産主義社会の退廃的な雰囲気、そしてアンダーグランドや反社会的なバイブが流行っている。

 そんな時に舞い込んで来たのが「メルセデス・ベンツ・ファッション・ウィーク・ロシア(以下 MBFWR)」へのお誘いだった。渡露するにはビザが必要なので、こんな事もなければ行く事もないだろうと2つ返事。トレンドとなっている東ヨーロッパの実際の姿、そしてファッションシーンを確かめるために、いざ出発だ!(取材・文:ファッションジャーナリスト 益井祐)

早さによって値段が違うロシアビザ

 日本のパスポートは便利なもので、大体の国へはビザなしでいける。だからこそビザのいる国へ行くのは億劫になってしまう。しかしながらロシアビザは今年からオンラインで申請用紙を記入でき、プロセスは簡単になったようだ(事前に航空券や宿泊先等の情報が必要)。驚かされたのは手数料。翌日〜3日なら1万円、4〜5日なら4000円、6〜10なら4000円(観光と通過査証以外は無料)と発給のスピードでお値段が違う。。。

中古の機体で、屈強なおばさんスッチー?

masui_r-20160311_002.jpg モスクワへはもちろん成田(最近羽田からどこへでも行けてしまうので成田に行くだけで一旅行終えた気分だ)から、MBFWRのパートナー航空会社アエロフロートで約10時間の旅。かつては払い下げの中古機体で、ごっついおばちゃんスチュワーデスが心ないサービスをすると言う話だったが、今は快適な機体に綺麗なお姉さんたち(名前はもちろんナターシャやナタリア)。搭乗便は満員御礼でモスクワというよりも経由でヨーロッパの都市が最終目的地、お手ごろ価格でヨーロッパに行けるようだ。さて、着いてみるとビザはあるので、イミグレーションはスムーズだったが、有名なモスクワの渋滞は想像以上。ホテルに着くまでに1時間半以上かかってしまった。

MBFWRは東ヨーロッパ最大のファッションイベント

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 第32回目を迎えたMBFWRは、モスクワ中心クレムリンに隣接するエキシビジョンホール、メネージを会場に3月11日〜15日の5日間に渡って開催された。ロシアはもちろん、ジョージアやウクライナなど、旧ソ連のファッションフォワードな国からもデザイナーが参加し、50ブランド以上が16年秋冬コレクションを発表した。

masui_r-20160314_004.jpg スケジュールは地方ファッションウィークに多い夜型。14時くらいから始まるが早い時間は若手やファッションスクール、キッズウェアのジョイントショーなどで、メインのイベントは17時スタート、そして最後は22時からといった結構ハードな時間割だ。一番の盛り上がりを見せたのは前半の連日後半に据えられたベテランや人気デザイナーのショーで、地元セレブやソーシャライトが駆け付けた。

78歳のベテランから新人まで

 一番のホットチケットとなったのは名実共に人気No.1の「アレナ・アフマドゥーリナ(ALENA AKHMADULLINA @alenaakhmadullina」。現在お店に並ぶ16年春夏は荒々しい波がガーメントを包み込んでいるが、葛飾北斎がインスピレーション。待望の最新コレクションのテーマは「モンゴル」のようだ。ドラゴンのジャカードのセットアップやレザーのピースはアーマーのような印象で、戦いに出るチンギス・ハーンを思わせた。

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他にも個性派デザイナーたちがいた。アメリカのセントピーターズバーグをベースに活動する「セントトウキョウ(SAINT-TOKYO @sainttokyo」インビテーションはブレスレットで既にナイトアウト気分満載!トップスやロングスカートはカラフルなスパンコールで覆われたトップスやロングスカートに、マスキュリンなストライプやおばあちゃんのショッピングバッグのようなフローラルジャカードのミスマッチングでディスコティック。

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彫刻のようなレザーのスカルプチャーがガーメントやアクセサリーで主張する、独特のダークな世界観を見せたのはジョージアから参加した「サル・ドゥ・モード(Salome Amanatishvili @salledemode」。トビリシ・ステイト・アカデミー・オブ・アーツ卒のデザイナー、サローメ・アマナティシュヴィリはレザーの加工を得意とするようだ。

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そしてネオプレンのオーバーサイズコートからシルキーなドレス、靴下に至るまで元素記号がガーメントを覆う、化学の授業をランウェイで披露したのは今年10年目の「ダーシャ・ガウサー(Dasha Gauser @dasha_gauser」だ。

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