消える行列 ファッション人気店で広がる「並ばせない仕組みと理由」

行列と警備員
行列と警備員
画像: Fashionsnap.com

 「こんなに並んでもらえるなんて」、かつてはこう店側は喜んだがそれも過去の話になっているようだ。近年では人気店がこぞって行列を作らせない仕組み作りに着手。周辺住民への迷惑行為や客同士のトラブルといったマナーの悪化を理由に挙げる店が多いが、転売目的の客により「本当に欲しい人の手に渡らない」という声を受けて公正な販売のために行う店も増えてきた。人気の各社が取り組む"並ばせない"仕組みとは?

 「シュプリーム(Supreme)」や「ナイキラボ(NikeLab)」など人気アイテムを販売する行列の定番店「ドーバー ストリート マーケット ギンザ(Dover Street Market Ginza)」では、WEB抽選を採用。ランダムに選出された当選者宛には発売前日にメールが届く仕組みで、本当に欲しい人に向けて販売が可能になったという。また、早朝から行列の整備のために人員を確保する必要がなくなったことも大きなメリットの1つのようだ。「ナイキ(NIKE)」では、人気の商品発売時には混乱を避けるために抽選販売を実施。店頭で発売前に1日かけて応募を受け付け、後日発表するという形式をとっている。同じくストリートコラボが注目を浴びる「ザ・プール 青山」では、メディアの情報解禁の時間を調整するという方法で行列をコントロール。解禁時間を発売日当日に設定することが多く、事前情報が出回らないため行列の長さは短くなっているようだ。

 各社が行列を規制するようになったのは、行列の暴徒化が理由。近年は、これまでの客以外にも転売目的の外国人バイヤーが激増し、深夜早朝にかかわらず客同士のトラブル以外に店側への要求等で大声を出すこともあり対応に苦慮。行列時代元祖と呼ばれた裏原宿時代にもほとんど見られなかった警備員を配置するなど最大限の配慮を行っていた。しかし、少数発売のアイテムを買い占めようと外国人バイヤーが組織化するなど手口が巧妙になり、店側だけでは対応できない深刻な問題になっていた。

 毎年iPhoneの発売には多くの人が並ぶアップルは、「アップル ウォッチ」発売時から予約販売に切り替えた。事前に予約を取り、発売日には「何時から何時までの間に来店してほしい」という案内が届くシステムを導入。ただ、行列に並ぶ事は一種のイベントと考える人も多く、オープン時のハイタッチを楽しみにしているファンのために100名前後の行列は規制はしないという。

 店側が行列により得られる最大のメリットは広告効果だろう。並ぶ人数が多ければ多いほど、店としては"箔"がつくというが、アップルでは行列ができないことで「売れていない」と勘違いされることは懸念点ではあるが「より安全に買い物をしてもらうこと」という考えが第一優先だという。「行列があるから人気の店」というよりも「行列があるからダメな店」と思われる未来もそこまで来ているのかもしれない。