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スナイデルはなぜ中国で成功したのか?

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2016年9月29日(木)、ファッションに携わる人や業界を繋げる場を作ることを目的に活動する団体Bridge of Fashionが主催するイベント「Fashion Asian Night」が開催されました。"アジアで成功するブランドに学ぶ成功例"をテーマに、株式会社マッシュスタイルラボの鈴木努氏と、伊藤忠ファッションシステム株式会社の河合秀彰氏をプレゼンターに迎え行われました。

近年、新たなファッション市場として注目度が高いアジアの国で今起こっていることや、日本のファッションブランドがアジアで成功するための秘訣について語られた内容をレポートします。

マッシュスタイルラボ「スナイデル」の成功例に学ぶ

冒頭のテーマは、「なぜスナイデルが中国で成功できたのか?」。株式会社マッシュスタイルラボ(以下、マッシュ)は2010年に海外事業本部を設立し、2011年3月に中国に直営店展開をスタート。現在では100%子会社の上海支社、香港支社、台湾支社を有し、中国だけで67店舗を展開している。

これについて、執行役員の鈴木氏は「運が良かったことも大きいですが、それまでの海外事業展開というと、合弁会社をつくり台湾から攻めるのが定説でした。これを僕らは大陸から攻めていったんです。成功したのは、独資 (日系企業の出資のみで設立される企業)でやっていったから。独資でやればパートナーのせいにもしないし、ノウハウになります」と、成功の秘訣を語った。

ファッションを中心に日本ブランドのアセアン市場への展開支援事業の運営を行う伊藤忠ファッションシステム株式会社(以下、IFS)の河合氏も、「2009年頃から中国市場は注目されていました。まだその頃は戦略に盲点がある企業が多く、実際に合併してうまくいかなかった企業も多いです」と話す。

中国で売り上げを伸ばすためのマッシュ流ブランディング

中国に出店しただけで成功するとは限らない。スナイデル成功の背景には、マッシュ流のブランディング力があったと鈴木氏。

「本来、中国の店舗の内装は日本より質を下げる傾向にありました。けど、僕らは中国だからといって質を下げることをしなかった。日本で2000万円かかるものを中国だったら1000万円でできるとしても、同じ2000万円かけるようにする。そうすれば日本以上に高級感のあるお店ができます。それで各地でNo.1の百貨店に出店していったのです」。

海外の接客のレベルは?サービス指導について

海外展開ブランドの多くが直面する問題点としてサービスの質の差が挙がる。これについても向上していると鈴木氏。「中国に丸投げするのではなく、一緒にやっていくことが大切です。そのためにスナイデルでは、日本のマネージャークラスが店舗に入ってサービス指導をしたり、日本のようなスタッフ研修も行ってきました。日本と同じ朝礼や開店の挨拶もします。そのおかげで格段にサービスレベル、笑顔レベルが向上しました。5年位前は店頭でお弁当を食べているスタッフもいたんですけど(笑)」。

タイ政府が主催するアセアン市場への販路開拓・輸出拡大を目指すアパレル企業を対象としたセミナーなども運営し、アジアのファッション事業の発展に貢献する河合氏は、「中国はかなりレベルが上がってきたと思います。まだ、タイではそこまでのレベルには達していません。飽きっぽい性格なのか、長く続けることが難しかったり、それでいて本音と建前の部分がはっきりしているので、気がついたら怒って帰ってしまうこともよくある話(笑)。でも、タイはとても親日国ですから、日本ブランドの人気も高く今後の可能性がある国」とタイのマーケットについて語った。

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タイで成功するブランドの特徴、タイ・ファッションのリアルとは?

IFSの河合氏が初めてタイに訪れたのは4年前。「当時はイメージ以上にすごいお洒落な国だと思いました。サイアムパラゴンやサイアムセンター、サイアムディスカバリーなど、商業施設には高級感があり、消費者は商業施設に集中します」。(渋滞やアクセスの悪さ、雨が多いなど環境の背景もあり、屋根のあるモールが一つの街のようになっている)

タイに進出している日本のファッションブランドについて河合氏は「ユニクロはタイ全土に32店舗、アースアンドミュージックエコロジーが15店舗、タイのビジネスマンが暑くてもスーツを着用するため、コナカが運営するスーツセレクトも7店舗あります。他にも卸展開のビームス、バオバオイッセイミヤケ、ヨウジヤマモトなどが出店しています。中国では不人気の日本ブランドでもタイでは人気があります」と、日本ブランドの需要増加の兆候について語った。

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アジアの消費者に起こっている変化

締めくくりのテーマは、"アジアの消費者に今起こっている変化"。鈴木氏は、「女性たちが本当にお洒落になったと思います。メイクや着こなしを含めて素敵な女性が増えました。ライフスタイルも健康的になっていて、ランニングやヨガ、食事に気を使ったり、ウェルネス志向が強まっています」と話し、河合氏も「女性は海外旅行にお金を使ったりする方も増えました。一方で男性はあまり変わっていない。2〜30年前の日本の男性のようなファッションの方も多く、そういう意味ではメンズファッションブランドの可能性もあるのでは」と、消費者の変化についてそれぞれの見解を明かした。

日本のファッション業界が飽和状態で、アジアへ展開する企業が増えている今の時代に必要な成功するためのヒントを語ってくれました。アジアのファッション市場にはまだまだ予想もつかない明るい未来があると感じられるイベントでした。