Fumitoshi Goto

米で最も人気のあるスーパー「ウェグマンズ」、トップに女性が就任

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■ニューヨークなど6州に92店舗を展開するスーパーマーケットのウェグマンズは29日、新CEOにコリーン・ウェグマン氏(45)が就任したことを発表した。2005年からCEOを務めていたダニー・ウェグマン氏(70)は会長職となる。コリーンは1991年に入社、店長やEコマース・ディレクターなどを経て、2005年に当時の会長で祖父の故ロバートBウェグマン氏から社長に任命された。同時に父親のダニーは社長職からCEOに就任した。1916年創業のウェグマンズではコリーンが四代目のCEOとなり、同社では初の女性CEOとなる。コリーンには妹で同社シニア・バイス・プレジデントのニコル・ウェグマン氏(42)がいる。

ウェグマンズはコリーンの曽祖父にあたるウォルター・ウェグマンと弟のジョン・ウェグマンが1916年にニューヨーク州ロチェスターに食料品店「ロチェスター・フルーツ&ビジタブル・カンパニー(Rochester Fruit & Vegetable Company)」をオープンしたのが始まり。ウォルターとジョンの兄弟は1930年(昭和5年)、当時としては画期的な300席のカフェテリアを持つ560坪の店舗をオープンした。1937年にはウォルターの息子で、のちにウェグマンズを飛躍的に発展させたロバートBウェグマンが入社。
1940年に冷凍食品を導入。1947年には当時珍しかったセルフサービスフォーマットを取り入れた。1950年にはロバート・ウェグマン氏が31歳の若さで社長に就任し、4年後に利益分配制度と退職年金制度とを結びつけた従業員利益分配制度を発表、1959年には現在のグルメフードの原型ともいえる珍しいグルメ食品などの展開も始めた。長男のダニー・ウェグマンが1964年に入社した後もウェグマンズは進化・改善を続け、1965年には入り口にエアカーテンを取りつけた22店舗目をオープン、1967年には養鶏場を所有するにいたっている。1970年には売上1億ドルを突破、1971年にはニューヨークの一部店舗で24時間営業を開始、1972年にはファーマーシー部門を導入、1974年にはシーフード部門をオープンし、銀行業務をスーパー内に併設した。1976年にはダニーが社長に就任している。1980年にはインストアベーカリー、1983年には226アイテムの量り売りコーナーの設置。1990年にプリペアドミールを開発、リワードクラブとなるショッパーズ・クラブも発表した。

1991年にはダニーの長女であるコリーン、92年には次女のニコルがそれぞれ入社し、会長のロバート・ウェグマン、社長のダニーと親子三代で同じ会社に働く珍しいケースとなった。1997年にはフォーチュン誌で初回となる「最も働きがいのあるベスト100社」に選出、20年間連続して100社に入ったため今年は「働きがいのあるレジェンド企業」に殿堂入りしている。今年は第2位となっている。1999年にはダニー・ウェグマンが食品マーケティング協会(FMI)の会長に選ばれ、FMIの前身であるスーパーマーケット協会(Supermarket Institute)の社長に就任(1967年)したロバートと、親子二代にわたり著名団体のトップ就任の快挙を成し遂げた。

2001年にはライフスタイル情報誌「ウェグマンズ・メニュー・マガジン」を創刊、2002年にはフルサービスのレストラン「テイスティング」をロチェスター郊外の店舗内にオープン(テイスティングは2009年に閉店し現在はバーガーバーとなる)、2003年にはオーガニックPB食品の販売を始めた。2007年にはニューヨーク州カナンデイグア地区に50エーカー(約6万坪)で所有する有機野菜農園「ウェグマンズ・オーガニックファーム(Wegmans Organic Farm)」で初収穫を迎えた。2009年には総工費3,600万ドルをかけ1,500坪の商品開発センター「ウェグマンズ・カルナリー・イノベーションセンター(Wegmans Culinary Innovation Center)」を開設した。同年にはペンシルバニア州カレッジビルの新店にフルサービス・レストラン「パブ(The Pub)」を設置、同時にニューヨーク州ピッツフォードにフリースタンディングのレストラン「ネクストドア・バイ・ウェグマンズ(Next Door by Wegmans)」をオープンした。ネクストドアはオーガニック食材を使い、寿司にパスタ、ハンバーガー、ピザ、ステーキなどをサーブするオープンキッチンのフルサービス・レストラン。2010年にはモバイルアプリを発表。翌年、メニューマガジン10周年に合わせて内容を一新し、QRコードでスマートフォンでのウェブアクセスを可能にした。

2013年にはロチェスターにある店舗の隣に2階建てのイタリアンレストラン「アモーレ・イタリアン・レストラン&ワインバー(Amore Italian Restaurant & Wine Bar)」をオープンした。2014年にはアメリカでは最大規模となるハイテク・チーズ熟成室「チーズケーブ(cheese caves)」をオープンした。

ウェグマンズの従業員数は現在、4.7万人で売上高は83億ドル。スーパーマーケット・ニュース誌による「スーパーマーケット・トップ75社(Top 75 Supermarkets)」では30位となっている。ウェグマンズはニューヨーク州(46店)、ペンシルバニア州(17店)、ニュージャージー州(7店)、バージニア州(10店)、メリーランド州(8店)、マサチューセッツ州(4店)を展開しており、今年中にも7番目となるノースカロライナ州に進出する予定。来年にはニューヨーク市では初となる店舗をブルックリンにオープンする。

トップ画像:左からシニア・バイス・プレジデントのニコル・ウェグマン氏、会長職となるダニー・ウェグマン氏、101年企業のCEOとなったコリーン・ウェグマン氏。

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16年7月6日 - 【ウェグマンズ】、100周年③!100年愛されるスーパーマーケットは男性用トイレも違う?

17年1月17日 - 【ウェグマンズ】、創業100周年④!91店目にバーガーバーでグローサラントが更に進化?

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。当社ではスーパーマーケットなどの視察研修セミナー向けに「最新!グローサラント業態化セミナー」を行っています。独自に行なった店長・関係者インタビューから、アメリカ大陸を横断して数千マイル走ったフィールドワークまで、調査で得た知見によりアメリカのスーパーで続々と導入されているグローサラント業態を独自の切り口で解説する当社オリジナルのセミナーコンテンツです。例えばニューヨーク市内ではイータリーの新店からブライアントパークにオープンしたホールフーズ、スチューレオナードの新店と今年オープン予定の最新店、ニュージャージー州で展開するショップライトの最新グローサラント業態の視察を行います。また今年7月ニュージャージ州内にオープン予定の3,500坪のウェグマンズではバーガーバーが入る予定で、マンハッタンに最も近い場所でグローサラント業態のバーガーバーで食事ができることになります。無論、ここではランチタイム。

⇒グローサラント業態についてはウェグマンズの旗艦店を参考にしてもらいたいのですが、場所がピッツフォードなのでマンハッタンからかなり遠く日程が難しいですね。そのため、後藤が独自に回って調査しているというわけです。ウェグマンズはグローサラント業態だけでなくリテール・イズ・ディテールを勉強できるスーパーです。誰も気づかない、気にも留めないぐらい微妙な気遣いをおこなっていたりします。象徴的なのはウェグマンズのショッピングカート。ハンドル部分が弓のように湾曲していて握りやすくなっているのです。ドリンクホルダーは子供を乗せるところから離した場所に設置されています。男性のトイレには一部に予備用のオムツも置いてありましたし、大のトイレにも個室のように洗面所がついていたりします。イートインの共有キッチンには洗い場や電子レンジだけでなくウォーターサーバー(アイスも)やトースター、紙皿(ペーパープレート)、ウェットティッシュ、ベーカリーカッターまで備えています。
スーパーマーケット・チェーンでCEOが女性という例はあまり聞きません。二人の息子(どちらもティーン)を持つ母親がトップとなり、グローサラントやディテールで「ウェグマンズらしさ」がどう進化するのか期待したいところです。

後藤文俊

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