

■ネット通販最大手のアマゾンが開発したアパレルショップ「アマゾン・スタイル(Amazon Style)」の2号店が今秋にもオープンすることがわかった。
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アパレルのショールーム販売となる大手IT企業の新業態店は、アマゾン・ゴーやアマゾン・フレッシュに続く多店舗展開にはずみをつける。
アマゾン・スタイル2号店はオハイオ州コロンバス北東部にあるモール「イーストン・タウンセンター(Easton Town Center)」内に出店するのだ。
メーシーズやノードストローム、映画館チェーンのAMCを核テナントにしたインドア・モールにコストコやホールフーズ・マーケットなど屋外エリアを含む約300のテナントがイーストン・タウンセンターにある。
アマゾン・スタイルは、H&Mも出店する巨大なモールに今秋、オープンする。
アマゾン・スタイルはアパレル業界で遅れているデジタル・トランスフォーメーション(DX)で試着室の顧客体験を大幅にカイゼンしたアパレルショップだ。
1号店は2階建てで約3万平方フィート(840坪)と広く、メンズとウィメンズのアパレルに一部シューズやアクセサリーなどを販売。
カジュアルファッションが中心の売り場には1着1点のサンプルのみの展示となっている。
アマゾン・スタイルの最大の特徴となるのは、サンプル商品のQRコードをアマゾン・アプリで読み取り、試着室の手配にサイズやカラーを指定して試着室に商品を届けることにある。
利用者は試着室と商品の準備ができる間、試着する洋服を持つことなく買い物ができるのだ。
試着室に届けられる商品数も他店に比べて圧倒的に多くできることで、利用者は試したい洋服を厳選したり、試着室に複数回に分けて入る必要もない。
またアマゾン・スタイル1号店には1階に18部屋、2階に23部屋の試着室もあり、試着に順番待ちが生じてしまうことはほぼありえないのだ。仮りに順番待ちができても、行列に並ばなくても待機スペースで待つことも可能。
40もある試着室は常に施錠されており、アプリを操作して指定された試着室のロックを解除して中に入ることになる。
アマゾン・スタイルの試着室はウォークイン・クロゼットのような印象で横幅が150センチメートル、奥行きが約170センチでかなり広い。
また正面には扉のついたクロゼットタイプの洋服ダンスとオープン・クロゼットがある。どちらも奥行きは60センチメートルほど。
試着室の片側には20インチのタッチパネルとライトのついた鏡が備え付けられている。スクリーンには「ウェルカム・ツー・ユア・ルーム(Welcome to your room)」に利用者の名前が映し出されている。
「始める(Get Started)」ボタンをタッチすると試着室に用意された洋服に「ご用意中(On the way)」で囲まれた商品を映し出す。
画面下にはオススメ商品を紹介するパーソナライズされたレコメンデーション「ジャスト・フォー・ユー(Just for You)」商品が並んでいる。
PBの「アマゾン・エッセンシャル(Amazon Essentials)」等に値引き商品の「セールス&ディールズ」から「ジャスト・フォー・ユー」商品も閲覧できるようになっているのだ。
利用者は事前にアマゾン・アプリにあるスタイル・サーベイ(サイズや好みなどのファッションチェックの質問)に答えることで、アルゴリズムによりタッチパネルがパーソナルなルックブック(商品カタログ)となっているのだ。
タッチパネル注文により、他のカラーやサイズにレコメンデーションの商品を試着室にデリバリーできるようになっているのもアマゾン・スタイルの強みだ。
ドアのついたクローゼットは試着室と商品補充スタッフがいる両方向から開閉が可能となっている。
注文した試着品をスタッフがクローゼットに用意している最中はドアにある赤ランプが点灯して試着室側からドアを開けることができない。逆に試着室側のドアを開けている時、スタッフ側の扉が開くことはない。
試着品の用意が整えば赤ランプが消え、タッチスパネルを通じて知らせが来る。試着品のデリバリーで利用者とスタッフが直接目を合わせないようデザインされ、プライバシーに配慮している。
試着品のオンデマンド・デリバリーは2階にある倉庫から搬送されることになる。売り場がない2階には試着室以外はすべて倉庫となっているのだ。
試着が終わると利用者は不要な商品をそのまま残して、購入したい商品をレジに持っていくだけ。レジではクレジットカードやデビットカード、キャッシュ払いの他、手のひらをかざすことでアマゾン・アカウントと紐付いてお会計のできる「アマゾン・ワン(Amazon One)」での支払いもある。
アマゾン・スタイルではアプリやタッチパネルを介して試着を試せるため、売り場の販売員へのストレスがほとんどない。
ほぼ無制限で試着でき、試着する時間を気にせずトップとボトムのコーデも自由、着替えも自分のペースだ。スタッフから急かされるようなこともない。
デリバリーの間は何着か(何度か)試着できるので、待たされるという感覚にならないのだ。また試着室では鏡に映った様々なファッションを撮影しておき、後でのんびり画像を見ながら検討というスタイルも可能になる。
アマゾン・スタイルでは試着だけおこない、自分に合うものを後日、アマゾンでネット注文もできるのだ。
なおアマゾン・スタイルではネット注文した商品のピックアップや返品もできるようになっており、アマゾン・フレッシュと同様に買い物ついでにピックアップ・返品拠点にもなっている。
トップ画像:アマゾン・スタイル入り口近くにあるピックアップ・返品のカウンター。ショールーム販売のように落ち着いた雰囲気?だ。

アマゾン・スタイルのピックアップ・返品カウンター近くにも椅子やテーブルなどが置かれたゆったりできるシッティングエリアがある。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。アマゾンが16日、プライム会員のための年に1度のビッグセールとなる「プライムデー」を7月12日~13日までの48時間開催することを発表しました。アメリカや日本のほかに全世界24ヶ国で実施されます。プライムデー実施中は、有名ブランドや人気商品を特別価格で提供する「特選タイムセール」に加え、最長12時間の「数量限定タイムセール」も行う予定です。今年はアマゾン・フレッシュが30ヶ所以上となっていることもあり、生鮮品の買い物ついでにスーパーでのピックアップ・オプションが拡大しているのです。アメリカは置き配が中心ですが、ポーチパイレーツと呼ばれる盗難が深刻化しています。カメラで撮影していてもこういった輩は全く意に介さず玄関前に置かれた注文品をまんま盗んでいきます。コロナの影響でマスク着用も怪しまれませんから、大胆になっているのです。アマゾン初となるアパレル店のアマゾン・スタイルもピックアップ・返品拠点です。アマゾン・スタイルを増やすことで盗難防止にもなるのです。
プライムデーではプライム会員向けにアマゾン・スタイルもセールをやるのでしょうかね。
お知らせ:当社の「メールレター 月刊アメリカ流通事情」でもお知らせしたが、アマゾン・スタイルの店内画像(300枚ほど)をフォトアルバムにアップロードしました。また今日も画像60枚ほど追加しました。当社クライアントや購読者の方は、ご自由にご覧になってください。
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