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ウォルマートがレイアウェイの廃止を発表 後払いサービス「Buy Now Pay Later」が急拡大

ウォルマートがレイアウェイの廃止を発表 後払いサービス「Buy Now Pay Later」が急拡大

在米28年のアメリカン流通コンサルタント
激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

■チェーンストア最大手のウォルマートは2021年9月、それまで年末商戦で恒例となっていたレイアウェイを廃止することを発表した。

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レイアウェイの代りに後払いサービスの「バイ・ナウ・ペイ・レーター(BNPL:Buy Now Pay Later)」を提供するようになったのだ。

レイアウェイとはサービス手数料と商品の頭金を支払い、60日~90日かけて残金を支払った上で商品を受け取る、クレジットカードを持てない人向けのサービスだった。

ウォルマートなど大手チェーンストアで行われるレイアウェイのサービス手数料は通常、5ドル~10ドル。頭金も10%~20%となり、途中解約は10%程度のキャンセル料が課金される。

レイアウェイは1930年代の大恐慌時に流行したが、クレジットカードの普及等でこのサービスは廃れた。

しかし、リーマンショック後からKマートやシアーズがレイアウェイを復活し、他の大手チェーンストアも同サービスを導入したのだ。

ウォルマートはレイアウェイを2006年9月に廃止したものの、2011年から顧客の声に押され復活させた。

また年々、商品カテゴリーを拡大しレイアウェイ対象商品は玩具や家電、子供用家具、一部スポーティンググッズなど4万アイテム以上になっていた。

開始日も前倒しされ8月末からサービスを受けられるようになっていた。

一方で最終支払日となる12月中旬までに残金を支払えなければ、オモチャなどの商品を手に入れられないどころか、ペナルティとして頭金(10%)を失うことになる。

 レイアウェイの代りとなるのは、フィンテックのスタートアップであるアファーム(Affirm)と組んだ分割払いサービス。

金利なしの短期分割払いのBNPLを提供するアファームは、従来の信用スコアや履歴を重視しないため、利用者は手元に現金がなくても買い物が可能だ。

BNPLの対象商品は家電製品やテレビゲーム、玩具、楽器など。支払いプランは合計金額が144ドル~800ドル未満は3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月となり、800ドル~2,000ドルは12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月となっている。

金利や商品によって異なり10~30%で、一部の販促品には金利がつかないのだ。ウォルマートによると150ドルの12ヶ月(20%)のBNPLの場合、1ヶ月あたりの支払額は13.92ドルとなり合計で167ドルとなる。

つまりレイアウェイのように手数料や頭金、一部にペナルティなどはないものの金利がつくことになるのだ。ウォルマートではネットで購入した場合、チェックアウト時にオプションにBNPLがあり、そこで申請できるようになっている。

店頭での利用は「Affirm.com/walmart」にアクセスし申請後、支払いプランを選択するとバーコードが表示されるので、それをレジでスキャンさせることになる。

アファームによると支払いの遅延が発生すると、個人の信用度を表すクレジットスコアに影響するとしている。ただ支払い中の途中キャンセルについての処理は明らかにされていない。

 消費者金融保護局(CFPB)が3月に発表したレポートによるとBNPLは35歳以下や世帯年収が2万~5万ドルの借り手が多い。

男性(14%)よりも女性(20%)に多く、人種では黒人や中南米系での利用が多くなっている。つまりBNPLユーザーはウォルマートのコア客を反映しているのだ。

一方でBNPLを利用している人の18%がすでに他のローンでも支払いを延滞しており、BNPLを利用していない人を11ポイントも上回った。

 ウォルマート以外の大手チェーンストアでもオンラインショッピングを中心にBNPLが拡大し、今年の年末商戦では利用が急拡大している。

調査会社アドビによると11月のブラックフライデーとサイバーマンデーではBNPLの利用が前年より43%も増加し過去最高となっている。

前年から注文点数が11%増加しているのだが、高額品の購入などに際してBNPLの利用が増えていることが浮き彫りになっているのだ。

調査会社モーニング・コンサルトによると、今年の年末商戦でBNPLを利用するとした人は35%になり前年から8ポイントも増加。

ウォルマートと提携するアファームの7~9月期の売上高は5億ドル近くになり前年同期比で37%も増加している。

 ウォルマートがレイアウェイを廃止するまで、匿名で他人の残金を肩代わりする慈善行為が話題になっていた。

レイアウェイでは最終支払日までに残金を支払えなければ、オモチャなどの商品を手に入れられないどころか、ペナルティとして頭金(10%)を失うことになっていたのだ。

見知らぬ人のレイアウェイ残金を支払う「レイアウェイ・エンジェル」「レイアウェイ・サンタ」が各地のウォルマートで現れて、クリスマスプレゼント替わりに残金を支払っていた。

心温まるニュースがレイアウェイにはあったのだが、リスキーなフィンテックの拡大でエンジェルやサンタがいなくなった代わりに若年層を中心に債務が増加する個人が増えることになるのだ。

トップ画像:店でバイ・ナウ・ペイ・レーターを利用するには「Affirm.com/walmart」にアクセスし申請後、支払いプランを選択するとバーコードが表示されるので、それをレジでスキャンさせる。

最終更新日:

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