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返品レスが小売チェーンやEC企業で拡大、アマゾンのマーケットプレイスでは17人中8人が返品レス

在米28年のアメリカン流通コンサルタント
激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

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■全米小売業協会(NRF)によるとアマゾンやウォルマートなどで返品される商品の総額は2022年、8,160億ドル(約122兆円)にのぼると見込んでいる。

8160億ドルはウォルマートやアマゾン、コストコの2021年の国内売上高の合計とほぼ等しい金額だ。

小売チェーンにとって小売総額の16.5%にもなる返品を嫌ってばかりではいられない。むしろ集客のチャンスにしようとしている。

例えばウォルマートやターゲットでは返品をカーブサイド・ピックアップでスタッフが受け取れるようにしている。

ウォルマートのネットスーパー宅配サービスでは自宅で返品を配達員が預かるようなこともおこなっている。

 返品サービス業者ゴーTRG(goTRG)が大手小売企業21社の約500人の役員を対象にした調査では実に59%が返品なしの「リターンレス(Returnless)」ポリシーを採用していることが明らかになっている。

無返品となる「キープ・イット(Keep It:返品せず、お客様のほうでお預かりください)」ポリシーは昨年の26%から2倍以上も拡大しているのだ。

返品のサプライチェーンとなるリバース・ロジスティクスでは、戻ってきた商品の輸送に検品と仕分け、さらに値引きして再び販売するとどうしてもコスト高になる。商品によっては赤字になってしまうことも珍しくない。

したがってリバース・ロジスティクスにコストをかけて再販するよりもお客の方で処理してもらったほうが合理的になるのだ。

返品レスが小売チェーンやEC企業で拡大したことはコロナの影響だ。感染拡大や衛生面の理由から食品や下着、シーツなどのリネン、一部の家具などが返品レスの対象となった。

最近ではコロナ禍で定着した新しい生活様式に返品レスが商慣習として加わり、対象カテゴリーがTシャツやペットトーイまで広がりつつあるという。

ロイターが買い物客17人を対象に調査したところでも20ドル前後の価格から最大300ドル(欠陥もしくは誤発送)の商品も返品レスになっていた。

特にアマゾンのマーケットプレイスの購入では17人中8人が返品レスとなった。もっとも顧客によっても返品対応も大きく異なってくる。

顧客でも気前よくお金を使ってくれる太客に対しては、より返品レスになるというのだ。

 返品レスとは逆に返品された商品はどうなるのだろうか?実は多くの大手チェーンストアやアマゾンはリサイクル業者等に二束三文モンの価格で顧客から返品された商品を販売している。

返品にダメージ商品、売れ残り品を購入したリサイクル業者はまだ販売できそうな商品をサプライヤーとなってビンストア(bin store)に激安価格に卸しているのだ。

ビン(bin)とは大きな箱や大型容器のことを指す言葉で、ゴミなど廃棄する可能性のある物を収納することを意味する。

パパママストアの少人数で運営するビンストアではトラック一杯分の返品をリサイクル業者から入荷し、ビックリするような激安価格で販売するのだ。

ビンストアでは物価高に金利高を背景にバーゲンハンターとなる顧客を集めているだけでなく、激安の買い物を趣味にするトレジャーハンター(お宝探し)をも魅了している。

ビンストアの宣伝は主に口コミで、フェイスブックを利用して入荷日を発表する。

入荷した日には60センチ四方のビンに「ガッサー」という音が聞こえてきそうなほどにおもちゃや美容品、キッチン家電等を山盛りにする。

安物買いを趣味にするお客がオープン前からビンストアに行列を作り、オープンと同時に店内にあるビンに飛び込むようにしてお宝探しを繰り広げるのだ。

入荷したビンの商品は10ドル前後となっており、日を追うごとに値段を下げていく方式となる。最終的に売れ残ったものはガラクタ価格とも言えそうな25セントになるという。

 ビンストアの店主によっては行列客にチケットを配布し、入荷したばかりのヘッドフォンやリネン関係のホット商品の購入優先権を与えていたりする。

また15ドルのミステリーバッグ(福袋)や50ドルのミステリーパレット(複数のミステリーボックス)にしてトレジャーハンターを喜ばせたりする。

ビンストアでチョーお得な戦利品を得たお客はTikTokなどのSNSで買い物自慢をすることになる。これに影響を受けたお客がビンストアにさらに詰めかけるという具合だ。

返品が増えるからこそ成立しているシン業態でもある。

 ただビンストアはあくまでも独立系となるパパママストアで、チェーンストアではない。

リサイクル業者からの入荷も一定ではなくマチマチで、お店によっては週4日しか営業していなかったりする。

ビンストアはすべてファイナルセールとなっており「不具合」等もあっても返品は受け付けていない。

その一方でアイパッドを10ドルでゲットできるトレジャーハンティングのチャンスもあって現在、アメリカの小売りトレンドになっているのだ。

トップ動画:ビンストアの人気を報じるCBSニュース。バーゲンハンターとは聞こえが良いが、要は安物買いのお客(超低所得者層)を相手にするため相当なストレスがありそうだ。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。YouTubeにビンストア(bin stores)と入力して検索すると全米各地にあるビンストアの様子を見ることができます。なかにはアマゾンからの返品を専門に販売するビンストアもあり、結構なお宝が見つかることもあるようです。YouTuberやTikTokerなどのインフルエンサーによってはビンストアでお宝探しをコンテンツにしていたりします。英語の表現に「ダンプスターダイビング(Dumpster Diving)」があります。ダンプスターダイビングとは、スーパーマーケットや食品メーカーなどのゴミ置き場から「まだ使えそうなゴミ」を拾ってくることを意味します。ダンプスターとは巨大なゴミ箱なのでまさにダイビングのように飛び込んでお宝さがしをするのです。トレジャーハンターはこれをビンストアで行っているのですね。世の中には買い物を趣味にする人がいますし、お得な買い物で大喜びする人たちもいます。ビンストアにはリサイクル業者と通じてアマゾンやウォルマート、ターゲット、コールズ等から毎日のように大量の返品が持ち込まれています。

 好きな人にはたまらないビンストアは今後も増え続けていくと思います。SNSの時代だからこそビンストアで見つけたお宝商品に価値が生じて、一つのコンテンツに昇華しています。

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