

■アルファベット傘下で自動運転技術を開発するウェイモ(Weymo)は24日、運用実績となる乗車回数が1週間で25万件に達したことを発表した。
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最先端のセンサーやソフトウェア技術を駆使したウェイモのロボタクシーは、配車アプリのウーバーやリフトのようにアプリを介してリクエストすると指定した目的地まで乗車できるサービス。
2月末に発表された週実績の20万件から25%となる5万件も伸びており、無人タクシーがサービス対象地域等で拡大していることを浮き彫りにしている。
ウェイモは3月、テキサス州オースティン地区で事業を開始し、サンフランシスコ郊外のシリコンバリーでの展開も始めた。
オースティンでは配車アプリのウーバーを介して依頼ができることで、市場分析企業のイェピットデータ(YipitData)によると3月末時点でウーバー乗車の約20%を占めるに至っている。
オースティンではサービス開始から27日間で、サンフランシスコでのローンチ時と比べて80%も多くの利用者を獲得したことになるのだ。
ウェイモとウーバーがパートナーシップを提携したのは3月初めだったこともあり、自動運転サービスにどれほど人気が集中しているかを理解できるだろう。
なお両地域でのサービスの違いは、オースティンではウーバー・アプリを通じてのみ利用できるの対してサンフランシスコではウェイモ・アプリ「ウェイモ・ワン(Waymo One)」のみでの利用に限られていたことだ。
オースティン以外でもウェイモはアリゾナ州フェニックスやサンフランシスコ、ロサンゼルスでサービスを行っている。
ロサンゼルスではダウンタウンからサンタモニカやマリナ・デル・レイの79万平方マイルに加えて先月末にはロサンゼルス国際空港近くのイングルウッド地区やウエストチェスター地区までサービス対象を拡大しているのだ。
ロサンゼルス国際空港から直線距離で5キロ離れたハリウッドパーク競馬場の跡地に建設されたSoFiスタジアムや隣接するザ・フォーラム (アリーナ)にも無人タクシーで乗りつけが可能となる。
ウエストチェスター地区にあるザ・プロムナード・アット・ハワード・ヒューズ・センターにもロボタクシーのサービス範囲だ。
ウエストチェスター地区といえば日本人ならロサンゼルス国際空港の滑走路に近いイン&アウトバーガー・ウエストチェスター店(9149 S Sepulveda Blvd, Los Angeles, CA 90045)が知られているかもしれない。
ロサンゼルス国際空港からのロボタクシー利用はもう間もなくなっているのだ。
当社の米国流通視察ロサンゼルス編ではクライアントや研修参加者にウェイモ・ロボタクシー体験をすでに行っている。
筆者のスマートフォンを貸与して、アプリを介してウェイモの配車を依頼し、自動運転レベル4を経験してもらうのだ。
サンタモニカの食品スーパーでスポーツタイプ多目的車(SUV)の完全電動型「ジャガーIペース(Jaguar I-Pace)」に乗車する。
第5世代の自動運転システムでは、ジャガーIペースのルーフ上にドームにクルクルと回転するライダー(LiDAR)を搭載している。
ライダーは車と建物や電柱などの構造物との距離を測っており、5つのライダーに29のカメラ、6つのミリ波レーダーを使い全方位を監視しながら安全に走行する。
ウェイモが収集したデータ(約1億2,900万キロの走行実績から分析)によると、同社の無人運転車は同じ距離を走行した有人の自動車と比較してエアバッグが作動する事故が81%少ない。
また負傷を伴う事故が78%も少なく、警察に報告された事故が62%少なかったという。
保険会社のスイス・リー(Swiss Re)の研究でも、人間のドライバーよりも保険金の物的賠償請求が88%少なく、人身事故の賠償請求では92%も減少し、ロボタクシーが圧倒的に安全としているのだ。
当社のコンサルティングでウェイモ・ロボタクシーに乗車する理由の一つに将来の新規事業を考えてもらうこともある。
ウェイモは日本の大手タクシー企業の日本交通にタクシーアプリを展開するGOと提携して東京都心を中心にテスト展開を開始した。
ロボタクシーが海外で初展開となるばかりか、米国内のニューヨークシティよりも早く東京で展開されるのだ。
オースティンの事例があるように東京で展開されれば人気になることは必至だろう。そこで日本でのスケールで何ができるのかを考えてもらう。
言い換えればカリフォルニアでゴールドラッシュがあったとき金を掘って儲けるのではなく、金を掘るのに必要なツルハシやスコップ等の道具に作業着、生活必需品、娯楽などを売ることをロボタクシーの人気で考えるのだ。
ドライバーがいる通常のタクシーと何が違うのかを体感することで新規事業のアイディアを見つけるのだ。
動き出すまでは時間がかかるが、何かが動くと一気にスピードを上げるのが日本人かもしれない。その前に頭の体操をしっかりしておくということになる。
トップ画像:新規事業を考える上でもロサンゼルスでロボタクシー体験は有益だ。有人タクシーと何が違うのか?でゴールドラッシュの"ジーンズ王に俺はなる!?"
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。若い世代の社員や新人に対してトップや幹部、役員がよく言う「その若い感性で中から組織を変えてくれ」というのは、ありがちな建前論です。むしろ本音は「変化するな!」「変わったことはするな!」「リスクを取るな!」でしょう。でも現状維持では絶対に生き残れないというのがビジネスの常です。変化やリスクを受け入れるには自分の経験です。圧倒的な体験をすると価値観が大きく変化し、リスクに対する許容度も上がってきます。後藤がクチを酸っぱくして「ネットスーパー体験せよ!」「アプリを使え!」「スマートカートで買い物しろ!」「ロボタクシー乗車だ!」というのもまさに価値観を変えてもらうからです。この事例に、日本交通代表取締役会長である川鍋一朗さんがあります。彼は1年半前、アリゾナ州フェニックスでウェイモの無人タクシーに初めて乗車し感動したのです。大きく価値観が変わり、いろんな人に是非(ロボタクシーを)見に行ってほしいと言い回ったのです。最初に体験しに行ったのがJR東日本の社長だったとか。
何事もまずは体験せよということ。自分の五感を信じろということです。新規事業を考えるときも頭でっかちではダメで常に経験しながら学ぼうという立場に自己を置くべきです。
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