AIショッピング元年のホリデー商戦、ChatGPTが“選び”Googleが“買わせる”新しい形

AIショッピングの新時代:ChatGPTが最適な商品を“選び”、Googleが最速で“買わせる”ワークフローを視覚化したイメージ。

AIショッピングの新時代:ChatGPTが最適な商品を“選び”、Googleが最速で“買わせる”ワークフローを視覚化したイメージ。

AIショッピングの新時代:ChatGPTが最適な商品を“選び”、Googleが最速で“買わせる”ワークフローを視覚化したイメージ。

AIショッピング元年が到来するホリデー商戦
ホリデー商戦が佳境を迎える中、AIが買い物行動に与える影響は急速に拡大している。
アドビによれば、この時期のAIトラフィックは前年比520%増を記録し、ギフト選びやレビュー要約、買い物リスト作成といった作業をAIに委ねる動きが急激に広がっている。
デロイトの調査でも、AIを利用すると答えた買い物客は33%に達し、前年の2倍を超えた。
オンライン支出の伸びが落ち着く一方で、AIによる効率化、発見、パーソナライズの価値が消費者の支持を得ていることがうかがえる。
「ショッピングリサーチ」が提示する新しい買い物の形
こうした潮流の中で登場したのが、オープンAI(OpenAI)が24日に公開したチャットGPT(ChatGPT)の新機能「ショッピングリサーチ(Shopping Research)」である。
この機能はユーザーに代わって製品を探し、比較し、最適な選択肢を提示し、その理由まで整理してくれる。
例えば「狭い部屋でも静かに使える掃除機」や「複数のロードバイクから最適な一台を選びたい」といった曖昧な相談にも対応し、対話を通じて要件を整理して最適解を導く。
ホリデー期間中はプランを問わずほぼ無制限で利用可能となり、検索やレビュー読み込みといった作業を大幅に省ける。
内部ではショッピングタスク専用に単独でトレーニングされたGPT-5ミニが稼働し、価格や在庫、レビュー、画像を統合して高品質なバイヤーズガイドを生成する。
Google「エージェンティック・チェックアウト」は何を目指すのか
一方で、先にリリースされたグーグル(Google)の「エージェンティック・チェックアウト(Agentic Checkout)」はまったく異なる役割を担う。
Googleが目指すのは、商品ページへの遷移、カート投入、サイズやカラーの選択、住所・決済情報の入力といった購入手続きをAIが自動化し、“買う作業”をゼロに近づけることである。
ユーザーがすでに「何を買うか」を決めていることを前提に、購入までの摩擦を最小にする。
ChatGPTが「買う前の判断」をAI化しているのに対し、Googleは「買う後の手続き」をAI化しており、両者は補完関係に位置づけられる。
買い物の前後工程をAIが分担する時代
こうした視点で見ると、2025年のEコマースはすでにAIによって前後工程が二層構造で再構築されつつある。
ChatGPTは選択の迷いを取り除く“判断AI”として機能し、Googleは購入までの待ち時間をなくす“作業AI”として役割を果たす。
この二つは競合するのではなく、買い物全体を滑らかにする両輪として進化しているようだ。
ChatGPTがつくる“会話がそのままショッピング”の未来
オープンAIは2025年4月に製品リンクと画像表示を導入し、9月にはエッツィー(Etsy)と提携してチャット画面のまま購入を完了できるインスタントチェックアウトを開始した。
スカイムズ、スパンクス、グロッシアーなど複数のショッピファイ(Shopify)マーチャントも対応している。
この流れを踏まえると、ショッピングリサーチは単なる便利機能ではなく、会話そのものをショッピング体験に変える大きな転換点といえる。
消費者の反応は明確に“AI寄り”
マスターカードの調査によると、42%の買い物客がホリデーショッピングでAIを利用すると回答しており、特にZ世代やミレニアル世代ではAI推薦への信頼度が高い。
メディアの取材によると、実際にサンフランシスコ在住のテック企業役員は結婚式用の衣料を探す際にショッピングリサーチを利用し、新ブランドを発見できたと語っている。
精度面の課題と期待の先行
しかし課題もある。冬用ブーツを調べた女性は同じブランドばかりが提案されて不満を抱き、最終的にティックトックに戻った。
価格情報にも誤差があり、アグ(Ugg)のスリッパではChatGPTが110ドルと回答したが、実際の最安値は150ドルであるといった差異も生じた。
オープンAIは最終的な確認をマーチャントサイトで行うことを推奨している。
AIが軽減する“意思決定疲れ”
それでもショッピングリサーチがもたらす価値は大きい。
膨大な選択肢が生む意思決定疲れを軽減し、利用者が必要な判断だけに集中できるようにする点は、買い物の心理的負担を大きく和らげる。
ChatGPTが前工程を担い、Googleが後工程を処理する未来はすでに始まっており、買い物体験はさらなる進化を遂げるだろう。
検索する時代から、AIが最適な選択肢を見つけて届ける時代への転換点として、ショッピングリサーチは重要な役割を果たしている。
今回は、ChatGPTの「ショッピングリサーチ(Shopping Research)」とGoogleの「エージェンティック・チェックアウト(Agentic Checkout)」が、買い物体験をどう変えるのかを、ランニングシューズの事例でわかりやすくまとめてみました。
両者の役割は明確で、ChatGPTは“どのシューズを選ぶべきかを一緒に考えてくれるAI”、Googleは“決めた瞬間から購入完了まで最短距離で運んでくれるAI”です。
たとえばランニングシューズを探す場合、ChatGPTは対話の中で「クッション性か反発性か」「長距離?短距離?」「膝痛の心配は?」「フォアフット着地?かかと着地?」など細かなニーズを整理し、On(オン)のクラウド系、HOKA ONE ONE(ホカ・オネオネ)の厚底モデル、ALTRA(アルトラ)のゼロドロップ、さらにはナイキのペガサスやズームXといった既存ブランドまで幅広く比較します。
そして「あなたの走り方ならホカの方が衝撃吸収が合う」「アルトラは自然な足運びを重視する人向け」など理由付きで“最適な1足”を提示してくれます。
一方、Googleのエージェンティック・チェックアウトは、モデルが決まった瞬間に出番。サイズ選択、在庫確認、住所・決済入力までAIが一括処理し、ユーザーは数秒で購入完了。いわば“買う作業の自動化AI”。
ただしAIでもまだ難しいのは、「結局デザインが好みのナイキを選んでしまう」というランナー特有の感情の暴走を止めること。最後はやっぱり“見た目が速そう”が勝つんですよね(笑)。
最終更新日:
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