高金利でも止まらない “修理シフト”とAIでプロの仕事を奪いに来た王者「ホームデポ」の次の一手

ホームデポは住宅市場の冷え込みという逆風の中でも、「買い替え」から「修理」へとシフトする需要を確実に取り込み、さらにAIによるプロ顧客の業務効率化を通じて“資材を売る小売業”から“仕事を支援するインフラ”へと進化を遂げている。

ホームデポは住宅市場の冷え込みという逆風の中でも、「買い替え」から「修理」へとシフトする需要を確実に取り込み、さらにAIによるプロ顧客の業務効率化を通じて“資材を売る小売業”から“仕事を支援するインフラ”へと進化を遂げている。

ホームデポは住宅市場の冷え込みという逆風の中でも、「買い替え」から「修理」へとシフトする需要を確実に取り込み、さらにAIによるプロ顧客の業務効率化を通じて“資材を売る小売業”から“仕事を支援するインフラ”へと進化を遂げている。

住宅市場が冷え切っても、ホームデポは崩れない
住宅ローン金利の高止まりで住み替えが止まり、リフォーム需要が鈍る。そんな逆風のど真ん中でホームセンター最大手のホームデポは「減速しているようで、実は折れていない」強さを見せた。
2025年度第4四半期(11月~1月)の売上高は前年同期比3.8%減の381億9800万ドル(約5兆9590億円)と減収だったが、前年が53週決算で「余分な1週」が含まれていた特殊要因が大きい。
前年第4四半期に上乗せされていた約25億ドル(約3900億円)分を差し引いて眺めれば、失速というより“平常運転に戻った”という表現の方が近い。
利益面も同様だ。営業利益は38億4900万ドル(約6000億円)、純利益は25億7100万ドル(約4010億円)と前年を下回った。
一方で調整後1株当たり利益は2.72ドルとなり、市場予想を上回った。通期では売上高1646億8300万ドル(約25兆6910億円)、純利益141億5600万ドル(約2兆2080億円)を確保し、四半期配当も1株当たり2.33ドル(約363円)へ引き上げた。
住宅市場が凍り付いても株主還元を緩めないあたりに、王者の体力がにじむ。
買い替えより修理へ。客数減でも客単価が支える構図
既存店売上高は第4四半期で0.4%増、米国でも0.3%増と小幅ながらプラスを守った。
月別に見ると、11月と12月は弱かったが、1月は冬の嵐も追い風になり持ち直した。
注目は、客数を示すトランザクションが1.6%減った一方で、平均客単価が2.4%上昇し91.28ドル(約1万4240円)まで伸びた点である。
つまり「来店回数は減ったが、来た人は買う」。しかも1000ドル(約15万6000円)以上の大型購入が増えており、先行き不透明でも“必要な出費”や“工務店などプロの案件”は止まっていない。
テッド・デッカー(Ted Decker)が示唆した通り、いま消費は「大改装」より「壊れたら直す」に寄っている。
キッチン全面改装のような大型案件が先送りされ、蛇口、給湯、屋根、外構、部分補修といった“生活維持コスト”が前に出る。
ここにホームデポの勝ち筋がある。修理需要は景気に完全には左右されない。
しかも住宅ストックが古くなるほど、修理の“積み残し”は雪だるま式に増える。市場回復局面で一気に噴き上がる燃料が、静かに蓄えられている。
店舗オペレーション改善とデジタル伸長。現場の摩擦を削る
DIY需要が鈍る局面で、ホームデポは店舗運営の設計を変えた。補充などのタスクを専任チームに寄せ、売り場のスタッフが顧客対応に集中できるようにする。
結果として顧客満足度が積み上がり、定着率も改善している。
小売は結局、現場の“詰まり”をどれだけ取り除けるかの勝負であり、ホームデポはそこを地味に、しかし徹底してやり切っている。
デジタル売上も強い。第4四半期のデジタルは前年同期比で2桁成長となり、ブラックフライデーやギフト需要の取り込みも効いた。
加えて、大型家電や建材の配送ではハンドヘルド端末や追跡の精度を高め、到着時刻の不確実性を減らしている。
プロにとって「資材がいつ来るか分からない」は現場の損失そのものだ。配送の見える化は、単なる利便性ではなく“工期短縮”という価値で刺さる。
プロ囲い込みの本丸。AIで見積もりと発注の時間を奪い返す
今回の決算で最も示唆的なのは、ホームデポがプロの仕事そのものを短縮する方向へ、明確に舵を切っている点だ。
その象徴が、ブループリント・テイクオフ(Blueprint Takeoffs)である。図面から資材数量を拾い、見積もりを組み、発注に落とす。
この作業は経験と手間の塊で、案件が増えるほどボトルネックになる。そこでAIが図面を基に、より速く、より正確な資材リストと見積もり作成を支援する。
プロはゼロから積み上げるのではなく、AIが用意した叩き台を現場に合わせて直すだけでよくなる。
さらに直近では、図面だけでなく、音声やメール、テキスト、既存ドキュメントからでも資材リスト作成を助ける材料作成系のAI機能も打ち出している。
つまりホームデポは「売り場」ではなく、「プロの段取り」に入り込んだ。これは囲い込みの次元が違う。
いったん業務フローに組み込まれると、価格比較より“時間の節約”が優先され、発注先は固定化しやすい。小売がソフトウェアに進化する瞬間である。
関税リスクとM&A。供給網と業態そのものを拡張する
関税の不確実性が再び意識される中でも、ホームデポは調達の多様化を強調し、特定国依存を抑える設計を進めてきた。
値上げだけで逃げ切るのではなく、供給網の分散でショックを薄めるという思想が見える。
そして、プロ領域を取りにいく成長戦略の核がM&Aだ。エスアールエス・ディストリビューション(SRS Distribution)を182億5000万ドル(約2兆8470億円)で取り込み、さらにジーエムエス(GMS)を約43億ドル(約6700億円、企業価値ベースでは約55億ドル=約8580億円)で傘下に入れた。
店舗で資材を売るだけではなく、屋根材や建材の流通そのものを押さえ、プロの調達を“最短距離”にする。
これはホームデポが、ホームセンターから総合建材プラットフォームへ脱皮していることを意味する。
2026年度見通し。凍った市場で伸びる会社だけが次の春に跳ねる
2026年度の見通しは、売上高が2.5%~4.5%成長、既存店売上高が横ばい~2%増、調整後1株当たり利益が横ばい~4%成長という慎重で現実的なレンジだ。
住宅市場の回復時期を言い当てるのは難しい。しかし、ホームデポは「回復を当てにして待つ」のではなく、「回復が来た瞬間に総取りできる位置」に先回りしている。
プロ需要、小口修理、デジタル、配送、そしてAIによる業務短縮。これらはすべて、景気が悪いときに仕込み、景気が戻ったときに爆発する類の投資である。
住宅市場が凍っているのに、ホームデポの戦略は熱い。売上を伸ばすのではなく、顧客の時間を削り、現場の摩擦を消し、業務フローに入り込む。
小売が“買い物体験”から“仕事体験”へ踏み込んだとき、競争相手はもはやホームセンターだけではない。ホームデポはその戦い方を、すでに始めている。
住宅市場が高金利によって冷え込み、「住み替え」や「全面改装」といった大型リフォーム需要が停滞する中でも、ホームデポは確かな底力を見せています。
来店客数は減少しているものの、平均客単価は上昇しており、顧客の消費行動が「買い替え」から「修理」へとシフトしているのが特徴です。
いわば、引っ越しを諦めて今の家を“延命治療”するフェーズに入っているわけです。
さらに注目すべきは、プロの建設業者向けに提供を開始したAIツール「ブループリント・テイクオフ」です。
これは、図面やプロジェクト内容から必要な資材リストを自動生成し、見積もりから発注までの手間を劇的に削減してくれるものです。
例えるなら、プロの料理人が毎回レシピを手書きしていたところに、食材リストから調理手順まで一瞬で出てくる“魔法のキッチンタイマー”を手に入れたようなものです。
ホームデポは、もはや資材を売るだけの小売業ではなく、プロの業務そのものを効率化する“仕事のインフラ”へと進化しています。
景気が悪くても「壊れたら直す」は止まりませんからね。
家もビジネスも、放置するとあとで余計に高くつきます……「ここまで使ったんだから」と壊れかけの設備を使い続けるのは、まさにサンクコストの誤謬。
私も昔、調子の悪いコーヒーメーカーをだましだまし使っていたら、ある朝ついに“お湯だけ”出てきました。投資したのはコーヒー豆ではなく、ただの忍耐だったようです(笑)
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