「農業服をカッコよく」ヤンマーが起用したデザイナー滝沢直己の仕事とは

新デザインのトラクターと農業ウェア
新デザインのトラクターと農業ウェア
Image by: Fashionsnap.com
 ヤン坊マー坊でおなじみの農機メーカー、ヤンマーが、創業200年めに向けてブランドイメージの向上をめざした新成長戦略「プレミアムブランドプロジェクト」。その発表会が25日に開催され、工業デザイナー奥山清行氏がデザインしたトラクターとボート、ファッションデザイナー滝沢直己氏が手がける農業ウェアとマリンウェアが披露された。ウェアはどちらも機能性を最優先しながらも、新しいスタイルのファッションのように、着て楽しくカッコいい服を実現。プレミアムブランドとして発信することで、マリンウェアはラグジュアリーブランド市場に参入し、農業ウェアは農業再生の機運を盛り上げる。「デザイナーとして新しいチャレンジだが、学んだことも多い」という滝沢氏に、本プロジェクトでのデザインへのこだわりや思いを聞いた。(文・写真 / 橋長初代

 総合プロデューサーを務めるクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏は「いいものをつくっていても正しく伝えなければブランドとして認識もらえない」と、ブランド戦略の重要性をアピール。新アイデンティティ「フライングY」は、豊作の象徴で企業名の由来でもあるオニヤンマの羽をモチーフとし、飛躍への思いを表わした。


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クリエイティブディレクター佐藤可士和


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奥山清行がデザインしたトラクター


 ウェアは農業用、マリン用それぞれ6スタイルを発表。日本のハイテク技術を駆使し、機能を満載したウェアは、新しいヤンマーにふさわしいスタイリッシュなデザインが印象的だ。


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(左から)農業ウェア、マリンウェア


 デザインについて、滝沢氏は「どちらも特別な環境に特化した服。 モードとしてのファッションデザインとは違う視点からの発想が必要だった」と振り返る。それぞれの環境で求められる条件をひとつずつクリアすることによって、素材や機能、カッティングといったデザインが自然と生まれたという。「本当の意味のデザインとはこういうことなんだと改めて思い知らされた」(滝沢氏)。


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 例えば、ボートの船上では持ち込む荷物が限られている。軽くてコンパクトなのが第一条件。そこで、20デニールという超マイクロ繊維を高密度に織ったナイロン織物を使い、軽量のダウンジャケットを開発。突然の気候の変化にも対応できるよう、登山用ウェアに使われるヨーロッパ産ダウンを使い、防風性と保温性を確保した。完全な防水性と保温性を実現した3レイヤージャケットや、スマートフォンを収納する内ポケットがついたバディングジャケットもさまざまな工夫が施されている。


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 マリンウェアの中心ターゲットは富裕層だ。クルーザーでラグジュアリーなバカンスを過ごすような客層を想定している。もともとマリンウェアとファッションは密接な関係にあり、欧米人のバカンス向けコレクションもクルーズラインと呼ばれている。ヤンマーが今年、オフィシャルテクニカルパートナーとして参戦するアメリカスカップにも欧米のラグジュアリーブランドが参画。「コンペチターは海外のラグジュアリーブランド」と、滝沢氏も言明する。


 次のページは>>滝沢氏が農業服をどう変えたのか。デザインの意味を問う。

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