デザイナーの木村由佳が手掛ける「ムッシャン（mukcyen）」が、インスタレーション形式で2025年秋冬コレクションを発表した。

　ムッシャンは今回が3シーズン目。ブランドヴィジョンを提示したファーストコレクション、ブランドが得意とするセカンドスキンのようなボディコンシャスで薄手のアイテムを追求したセカンドコレクションに続き、今シーズンはより幅広いシルエットや素材感、カテゴリーを取り入れた新たな表現に挑戦した。

　今シーズンのコンセプトは「兆；manifested」。ポーランドの長編映画「砂時計」に着想し、時間の経過とともに人の感覚の中に生まれていく物事の「残像」（歴史や文脈）の曖昧さや、その曖昧さによって生じる、同じ事象に対しての人それぞれが異なる感覚を持つ“個性”を服に落とし込んだ。

　パワーショルダーのマキシコートはスリーブにベルベット素材を使用することで柔らかな印象に、ウール100％の強撚糸で編み込まれたニットドレスは、裏地を捻ることでテクスチャーやシルエットの多層性を表現。クロップドパンツのディテールをアップデートしたカーディガンは、パンツやスカートとしても着用ができるパターンを採用した。

　このほか、デニムやスポーティな素材のアイテムが初登場。これまではタイトなシルエットや薄手の素材によって、着る人の身体を美しく見せるデザインを得意としていたが、同様の狙いをカジュアルな素材やオーバーサイズのデザインによって実現するアイテムを幅広くラインナップする。デニム素材では、オーバーサイズのジャケットやパンツ、スカートを製作。曲線的なパターンを取り入れたデザインに仕上げた。スポーティな素材には、表面にフロッキー素材で蜘蛛の柄をプリントすることでオリジナリティを表現。ショート丈のトラックジャケットやバルーンパンツを揃える。加えて、ブランド初のシューズアイテムとして、下駄に着想したヒールや上を向いた爪先が特徴的なミュールを発表した。

　ブランドが得意とする薄手のストレッチ素材で肌にフィットするシリーズからはヒジャブが新登場。コルセットやネック用コルセットといったアイコニックなアイテムも展開し、ブランドのオリジナリティを確立しつつ新たなシグネチャーを追求するコレクションとなった。