【特集】変わる台湾のファッション事情〜日本のセレクトショップ進出〜

台北市内にあるビームスの海外直営1号店 Photo by: Fashionsnap.com

 台湾ファッションの進化に注目する特集「変わる台湾のファッション事情」第1弾の注目ブランド編、第2弾のファッションエリア編に続く第3弾は、日本のセレクトショップの台湾進出編。コンビニから百貨店まで台湾には多くの日本企業が上陸しているが、特に近年はセレクトショップの出店が相次いでいる。なぜ今、台湾に集中しているのか。その背景を、2つの国の架け橋となっているキーマンや、セレクトショップの海外戦略担当者に取材した。

 今年5月、ユナイテッドアローズが台北2店舗目として基幹ブランドのひとつ「BEAUTY&YOUTH UNITED ARROWS」をオープンした。出店地の「富錦街」は、いま台北で最も注目されているエリアで、雑貨店やカフェが点在する閑静なストリート沿いにはビームスやジャーナルスタンダードなども店舗を構えている。これら日本企業の進出をサポートし、販売代行を一手に担っているのがJay Wu(ジェイ・ウー)という人物だ。


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世界と台湾をつなぐ架け橋となっているキーマン Jay Wu

 Jayは外資系の食品会社を経てカナダと日本に留学。MBAを取得して台湾の大手グループ統一(トンイー)に就職し、バイヤーや新規開発事業に携わった。独立してからは雑貨のディストリビューションを手がけながら、先見の明で「富錦街」エリアに着目しオリジナルのセレクトショップ「富錦樹355(Fujin Tree 355)」を2012年8月にオープン。その後も多くの店舗を手がけながら、台湾における新しいライフスタイルを提案している。日本だけではなく、世界各国の企業の架け橋になって台湾進出をサポートしているキーマンだ。


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セレクトショップ「富錦樹355」

■台湾人とライフスタイルの変化

 中国をはじめオランダや日本といった様々な国に占領されていた歴史背景を持つこの島では、近年の住民に対する調査で「中国人」ではなく「台湾人」という意識を持つ人の割合が過半数を超えた。

 経済や流通の自由化が進み異文化を吸収してきた台湾は、文化的にも成熟。富裕層〜中間層の生活環境に変化が見られ、ライフスタイルの向上に興味を持つ人々が増えている。ファッションに関しても、Jayは「日本から遅れをとってはいるが、速いスピードで発展していくのではないか」と予想している。

 そこでJayが目を付けたのが、松山空港に近い閑静なストリート「富錦街」だ。富裕層が多く住む住宅地でもあるこのエリアに、変化の時代にある台湾のライフスタイルを提案する店として、約2年前に出店したのが「富錦樹355(Fujin Tree 355)」。これをきっかけに、次々とエリア内の物件を押さえ、また店舗作りのプロやバリスタなどの人を集め、まさに0から地域を開発することでコミュニティや文化の形成を目指した。同時に、ビームスやユナイテッドアローズといった日本のセレクトショップの成熟したライフスタイル提案を台湾に持ち込んだという。

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並木道が続く富錦街

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