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【レポート】Rakuten Fashion Week Tokyo 23AW:Day3

【レポート】Rakuten Fashion Week Tokyo 23AW:Day3

ACROSS編集部
ACROSS

TENDER PERSONやYOKEなどが初めてのランウェイショーを行ったほか、フランスからは、JacquemusやZaraなどでスタイリストなどのキャリアを持つMaison J.Simoneがインスタレーションを披露。

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day3は国立競技場の練習用トラックや、神宮前の路地裏の家の車庫、上野の国立西洋美術館表慶館、国際フォーラムなど、移動の多い1日に。順番が前後しますが、随時記事を公開していきます。

TENDER PERSON(テンダーパーソン):TFW受賞後初のランウェイショー 「通過儀礼」という悪夢と向き合ったコレクション

2023年3月15日(水)12:00/渋谷ヒカリエ ヒカリエホール A

2014年、文化服装学院在学中かビアンカさんとヤシゲユウトさんの2人で立ち上げたブランドTENDER PERSON(テンダーパーソン)。2023年のTOKYO FASHION AWARD を受賞し、初めての大規模なランウェイショーを披露した。

テーマは、“Dreaming of me”。

「いつもTENDER PERSONの服づくりはハッピーな気分いっぱいなんですが、東京ファッションアワードを受賞したこともあって、嬉しいのですが。めちゃくちゃプレッシャーもあって、いろんなことがあって、ネガティブな気持ちにも向き合いました」とビアンカさん。ブランドシグニチャーでもあるファイヤーモチーフに裾がカッティングされたシャツやパンツのウエスト部分、シューズなど、いつもよりも大胆かつクチュール感がある仕上がりになっていた。

会場中央に設けられた白いカーネーションは合計約2600本。GANON FLOEISTフラワーアーティストHikaru Seinoさんによるフラワーロスによるもの。配布されたリリースには、「加速するファッションサイクルや環境問題、未来を考えた時に怖くなってしまうことが多いけど、目の前にある、自分の目で見て感じた本当の美しさを大事にしていきたい」と綴られていた。

・オフィシャルサイト
・Instagram

YOHEI OHNO(ヨウヘイ オオノ): “From Present Ⅱ”;超現実の現象学的コレクション

2023年3月15日(水)13:00/(渋谷)

前回、国立科学博物館で「造形に対する熱量」というテーマでランウェイショーで披露したYOHEI OHNO(ヨウヘイオウノ)。今シーズンは、渋谷パルコの裏手にあるスペースにてインスタレーションで新作を発表した。

今シーズンのインビテーションは、墓地(?)に「HOWDY」の文字が浮かび上がる、深夜のミステリーチャンネルで放映される映画のタイトルのような雰囲気。ドキドキしながら会場を訪れると一転。明るい春の陽射しが差し込む空間に、テーブルやライト、オブジェなどが配され、十分すぎるほどの「余白」をモデルたちが緩やかに歩く、シュールな佇まいとなっていた。

目を引いたのは、超現実写真家のマン・レイのような眼をあしらったユニークなブローチ(?)が装着されたジャケットやドレスたち。星形のカットワークやメタル、輪郭を誇張するような立体的なデザインが施されたシューズは、デザイン、制作を Sellenatela のデザイナーを務める榎本郁栄とのコラボレーションによる新しいチャレンジだそうだ。

「今シーズンは、少し俯瞰した自分自身の生活感や人生観を軸に制作しようと試みました」とデザイナーの大野さん。ふと、部屋を見回すと、アトリエの棚にはアーティストの作品やグッズ、デザインプロダクト、ヴィンテージショップで買ったオブジェから海外のお土産、ネットショップで買ったただのおもちゃなど、価値が認められるものからガラクタのようなものまでをフラットに陳列されていることに気づき、「平凡だけどどこか愛おしいもの」から古着という使い古された記号を、あえて組み合わせてデザインしていったのだという。

リリースには、大野さんの実際のアトリエの棚の写真が添付されており、一見バラバラながらもそこには共通するフォルムへの美意識が。ブランドYOHEI OHNOの独特のフォルムとのリンケージがしっかり感じられた。

・オフィシャルサイト
・Instagram

Maison J.Simone(メゾン・ジー・シモーヌ) パリコレのオフスケで見られるようなチャーミングなインスタレーション:)

2023年3月15日(水)14:00/明治神宮前原宿の路地裏

フランスからは、JacquemusやZaraなどでスタイリストなどのキャリアを持つMaison J.Simoneがインスタレーションを披露。会場は、明治神宮前原宿駅からほど近い路地を入ったこじんまりとした洋館風の建物の半地下の小さなパーキングで、ポコポコしたゲーム調の音楽が流れたかと思いと、モデルが2人ずつ「ストリートファイターⅡ」のプレイヤーのアバターのようにパンチングのポーズをする、というチャーミングなパフォーマンス!

「はじめまして。ふだんはパリでランウェイショーで発表を行なっているのですが、今回東京のコレクションに参加できることになり、ちょっと実験的にこのようなプレゼンテーションにしました」とデザイナーのJ.Simoneさん。

来日は今回で4回目だというSimonueさん。実は、2022年6月に、渋谷の「STREAMER COFFEE COMPANY」でポップアップイベントをしたことをきっかけに、今後日本でも取引先を増やしたいと自らJFWに応募し、採択されての発表となったのだそうだ。

「東京は、カラーファッションと自由の中心地です。既成概念にとらわれていなくて、好きなものをなんでも着て、なんでも試すことができるように思います。シックでありながらエキセントリックな部分は、Maison J.Simoneの衣服とも通じるところがあるように思います」。

今回のプレゼンテーションでは、狭い車庫の中でプレイできる『ストリートファイターⅡ』のようなゲームを作成していた同ブランド。さっそく、ファッションジャーナリストのマスイユウさんと増田海治郎さんのMASUDA対決! ユウさんWINでした! 

・オフィシャルサイト
・Instagram

ATTACHMENT / VEIN(アタッチメント/ヴェイン): 異なる部分と共通点を包括的に見せることにこだわった長いランウェイ

2023年3月15日(水)18:00/ 国立行議場・練習用トラック

“継承”のひとつはブランドの哲学を現代に〜過去から未来に〜移行させること”。

1999年にローンチしたブランドATTACHMENT(アタッチメント)を2022年春夏シーズンより継承したデザイナーの榎本光希さんは、自身のブランドVEIN(ヴェイン)とのジョイントで国立競技場の長いストロークが印象的な練習用トラックを会場に新作を披露した。

ATTACHMENTが掲げたテーマは「NEW NORMAL」。インスピレーションの源となったのは、一昨年、ポーラ美術館で展覧会が開催されていた、アメリカのビジュアルアーティストのRoni Horn(ロニ・ホーン)の『鳥葬』にみられる「人と自然の距離」の視覚化だったという。同ブランドの「服は人の付属品である」という理念から、着るひとに馴染んでいく過程をも意識したというデザインは、グレーから薄いラベンダー、薄いグリーンなど、絶妙なニュアンスカラーがクリーンでエレガントにバージョンアップしていた。

一方、VEINは“illusion of your eyes(幻視)”が今シーズンのテーマ。「黒の画家」とも称されるピエール・スーラージュ(Pierre Soulages)や、光を時には受け止め、時には跳ね返す作風の彫刻家アニッシュ・カプーア(Anish Kapoor)など、服が放つ色と光のイリュージョンを捕まえていきついたのだそうだ。

2つのブランドを手がけることで、実はATTACHMENTを「着る人」との人物像が重なる部分があるのではないか、という気づきもあったと話す。

長い、長い練習用トラックが、緩やかにカーブを描くコーナーを横切って歩くのがランウェイのコース。

「異なる部分と共通点を包括的に見せることで両ブランドの世界観を伝えるためには長いランウエイが必要だったんです」(榎本さん)。お互いに影響し合うことで生まれる世界観の拡張は始まったばかりだ。

・オフィシャルサイト
・Instagram

YOKE:

DEPARTURE TO PARIS!

2023年3月15日(水)21:00/ 東京国際フォーラム3日目ラストは、有楽町の東京国際フォーラムホールHで開催された「YOKE(ヨーク)」。受付で渡されたのは、パスポートとボーディングパスに見立てたブローシュア。ページを捲ると、「今回で東京でのランウェイは最後にします。まだいつになるかは検討もつきませんが、充電と成長をしたのち、次にランウェイはパリでやろうと決意をしました。日本から世界に飛び立つという覚悟で今回は『RUNWAY/滑走路』をテーマにしました」と記されていた。

「縁あって、パリコレに参加していらっしゃる先輩方のバックステージを拝見させてもらって、ああ、自分もいつかチャレンジしたいな、という思いを新たにしました」とデザイナーの寺田典夫さんは囲み取材で話す。

祐天寺と三軒茶屋の中間にある場所にギャラリー兼スタジオを運営し、ヴィンテージウォッチや家具などのポップアップストアや各種展示会なども企画・開催している同ブランド。2018年のブランドデビュー時より、ブランド名YOKEの持つ「 繋ぐ」、「絆」、「洋服の切り替え布」などをコンセプトに、独特のペールトーンのカラーパレットによる上品で丁寧なリアルクローズが若い男性を中心に大人気となっている。前回パリの展示会に参加し、取引先が20店舗(アカウント)に増え、グローバルな展開への手応えを感じたそうだ。

今シーズンは、イギリスの抽象画家であるベン・ニコルソン(Ben Nicholson)からインスパイアされ、代表作である「ホワイト・レリーフ」の四角形や円などの幾何学的な白、淡い色の重なりなどを服に表現していた。

同ブランドのヒット作である「シェアコート」を継承する6通りのコーディネートが可能なダウンジャケットも登場。展示会で拝見した時にワクワクしたたくさんのアイテムが、ショーらしいコーディネートにアップデートされており、まさに、PREMIUM。滑走路のような空間も相まって、まさに“DEPARTTURE”というメッセージが伝わってきた。

・オフィシャルサイト
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