IMAGE by: H&M
これまでに多くのブランドのランウェイショーや、広告モデルに起用されてきた韓国人モデルのシン・ヒョンジ(Shin Hyunji)。「シャネル(CHANEL)」のショーではアジア人で初めてのクロージングモデルを務めるなど、第一線で活躍するトップモデルだ。今回、H&M 2023年秋冬キャンペーン「H&M Fall Capsule Collection」のモデルに起用され、ヴィジュアル撮影のために来日。フォトシューティングは、国際色豊かなクルーとともに、太平洋を望む千葉の海岸をロケーションに行われた。カメラの裏では人懐こい愛くるしい笑顔を振り撒き、スタッフへの気遣いも忘れない27歳だが、いざ撮影が始まるとたちまち力強い視線とポージングで画面を掌握する。撮影合間のインタビューを通して世界を股にかける彼女の素顔に迫る。
テディカラー コーデュロイジャケット 6999円、コーデュロイワイドパンツ 4499円
H&M Fall Capsule Collection
日本、韓国、中国本土・香港・台湾を含む中華圏の市場で限定発売となるウィメンズウェアのコレクション。洗練された東京のファッションシーンへのオマージュとしてデザインされたアイテムの数々は、テーラードジャケット、トレンチコート、ボンバージャケット、シャツドレスなどのクラシックなアイテムから構成され、レイヤリング、プリーツ加工、異素材を組み合わせたディテールによってデイリーに着られるアイテムをラインナップする。日本全国のH&Mストアおよび公式オンラインストアで10月12日に発売する。
世界で活躍するトップモデルになるまで
ー様々なショーやキャンペーンでお見かけします。まず、モデルを始めたきっかけはなんだったのでしょう?
母の勧めでモデルを始めました。母は私に女性としての立ち振舞いを学ばせたく、モデルとしてキャリアを積んでほしかったみたいです。15歳でモデルアカデミーに通い、そこでモデルという職業に対して愛情が芽生えてきました。今27歳で、モデルとしてのキャリアは10年になります。
ーモデルとしてのブレイクスルーはいつ?
アカデミーで学んでから、芸術高校のモデル科に進学しました。高校2年生の時に韓国で放送されていたモデルのオーディション番組「スーパーモデルコリア 4」に出演して優勝したことが大きなきっかけです。それからモデル業を本格的にスタートしました。グローバルで活躍するファッションモデルを目指していたので、シドニーにあるIMGインターナショナルというモデル事務所と契約し、今もIMGに所属しています。
ー今年行われた「シャネル」オートクチュールのショーではクロージングを飾りましたね。シャネルではアジア人で初の大役でした。伝えられた時のリアクションは?
この時はショーの3週間前にフィッティングに来てって言われたんです。いつもだったら本番の3日前とかに行くので、普通じゃないなって。そして彼らから私のために特別なドレスを用意すると伝えられました。でもフィッティング時は私の着用ルックにはベールがかかってなかったんです。なのでそれがクロージングルックだとは思わず、ただ単に彼らが気に入ってるルックなのかと思っていました。そうしたらショー当日に「あなたが主役よ」と言われたんです。平常心を装っていましたが、内心は空を飛ぶほど嬉しかったです。
より自信を持った姿を見せるために
ー素敵な話ですね。ショーでのウォーキング時はどんなことを考えているのですか?
私はショーのリハーサル時に音楽を聞いて、ビートを掴むようにします。モデルの仕事をする上で一番大切なことの一つに、イメージトレーニングがあります。ステージ上で与えられた服をどのように見せるかをイメージする。そうすることで本番でも同じことが体現できると思っているんです。「このステージを圧倒してやる!」と思ったら、実際に想像していたようになると信じています。なので、ショーで使われる音楽を聞きながら、必ずイメージトレーニングをしてから臨むようにしています。
ー着る服によって見せ方を変えたりしますか?
ブランドが何を求めているかによります。シーズンコンセプトによって力強さや、セクシー、エレガントなど、様々なウォーキングが求められるので。私は彼らが何を求めているかを注意深く聞くようにしています。なので、先ほど言ったショーの音楽は実はとてもいいヒントなんです。コレクションの世界観はバックステージで見つけられることもある。だからバックステージを見渡して、ムードや彼らが何をしたいかをより理解するようにしています。
ー自分でヒントを探す作業なんですね。
そうなんです。だって、ショーの前は誰もこれから起こることをわかってないですし、そんなことをレクチャーする時間もないほどカオスなので(笑)。そのため現場では、まず何が起こっているのか、ステージの雰囲気、音楽のテーマ、ルックに気を配らなければいけません。シーズンごとにテーラリングだったり、フリンジやプリーツなどのディテール、カラーなど、私に与えられたルックの中で一番重要な要素を理解し、それらをデザイナーの描くイメージ通りに見せること。私達は観客と話したり、目配せすることはできないからこそ、私の心に秘めてる作り手の思いを届けられるように、より自信を持った姿で見せるようにしています。
ーH&Mの撮影はいかがでしたか?
とてもハッピーな雰囲気でした!笑いが絶えず、最高のチームと一緒だったので、最高の結果が出るに違いないエネルギー溢れる撮影でした。
ー今回のコレクションの中で特にお気に入りのアイテムはありましたか?
プリーツドレスのラインがおすすめです。今回は特に日本、韓国、中国のために作られたラインで、リミテッドエディションなので、自分だけの特別な服を着ていると感じることができると思います。
メンタルを保つために心がけていること
ートップモデルでいるために、何を一番心がけていますか?
私は「ウォラベル」の考えを取り入れるようにしています。これは「Work life balance」の韓国語の略語なんです。新語なんですがこれを常に考えています。
ー初めて聞く言葉です。日本にも広まってほしい言葉ですね。
モデルだけに打ち込んでいたら、そこには私自身の生活が全くなくなっちゃうので。だから私は常に自分が好きなことを探すようにしています。いつもクライアントとの撮影ばかりだとモデルとして見られるばかりで、時々自分自身の魅力が分からなくなることがあるんです。だからこそ常に自分自身の人生を探すために、自分のウォラベルを考えています。
私にはオンとオフのスイッチがあると思います。モデルをしてるときはスイッチをオンに、オフのときはただのヒョンジです。オフでは、クレイジーだったり、7歳児みたいだったり、すごく静かだったり。それが私という本来の人間です。
▲編集部からの日本のお土産にあどけない笑顔を見せるヒョンジ。日本語を勉強したいといい、学生時代はドラマ「花より男子」が好きで、日本語のセリフを覚えるほどだったという。
ーオフの時の「ヒョンジ」は何をすることが好きですか?
私には2匹の息子がいるのですが、その子達の面倒を見てますね。ナングとスングン、2匹の犬です。
あと、常に新しいことを学ぶことに興味があるのでコロナ期間中は、ギターやデザイン、ゴルフ、テニスを習いました。色々なことに挑戦するのが好きなんです。オフの日はいつもピラティスに行ったり、スクリーンゴルフをしたり。それからサウナ。ゴルフにサウナっておじさんみたい(笑)。
ー将来的にチャレンジしたいことはありますか?
私はモデルを10年間やってきましたが、私の人生で考えたらそれは短い期間だと思います。もし失敗したとしても、まだ27歳ですし、何にでも挑戦できると考えています。自分には無限の可能性があると。チャンスがあったら、なんでもやりたい。人生は一度だし、何事にも全力で挑戦したい。今、私は恐れる気持ちが全くないんです。いつも自分を信じているし、私はやりたいって思えば何でもできる、そう思っているんです。
Campaign Movie featuring Hyunji
Photo: Dan Beleiu
Movie: Toshiki Matsumura (OBF TOKYO)
Styling: Rena Semba
Hair&Make: Haruka Tazaki
Interview & text: Yuui Imai(FASHIONSNAP)
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