【インタビュー】せーの代表 石川涼「ファッションは終わり、感動するものだけが残る」

石川 涼 Photo by: Fashionsnap.com

 2000年代の"お兄系"ブームを先導した「VANQUISH(ヴァンキッシュ)」が今年、10周年を迎える。ブランドを率いるのは、せーの代表取締役社長の石川涼氏。近年では自ら発案したというマスクブランド「gonoturn(ゴノタン)」が急成長し、またオンライン上でセクシャルな発言が注目されるなど話題を欠かない。アパレル企業の代表でありながら「ファッションは終わる」と警鐘を鳴らす異端児は今、何を考え、どこに向かおうとしているのか。


■"マルキューブランド"の10年

ー主力ブランド「VANQUISH」の10年を振り返って。

 最初から一貫して、お客さんが求めるものを作ってきただけです。これから何年後にこうしていこう、という計画もあまりなくて、他のファッションブランドとは少しやり方が違うのかもしれません。でも10周年を迎えられるブランドはあまりないと思うので、素直に嬉しいですね。


ー渋谷109を出発点に現在では国内外に店舗を広げているが、今も"マルキューブランド"と呼ばれていることに抵抗はあるか。

 何も思いませんね。そういう事は全部、お客さんが決めること。2006年に渋谷109MEN'S館に店を出して、そこからブランドが育ち売上が伸びているのは確かなので、何の違和感もありません。


ー2010年にジャパンファッションウィーク(JFW)に参加して、2011年春夏コレクションをショー形式で発表したことで何か変化はあったか。

 初めて参加してみてわかったのは、業界の評価と売れるかどうかは関係ないということですね。バッシングを受けたけど僕らのブランドが一番売れていたと思うから、意味があったのかどうかわからない。でも、お客さんがたくさん来て喜んでくれたことは嬉しかったし、僕らのような"マルキューブランド"がショーをやることによって、もし何か変わったのであればよかったのかなと思っています。


VANQUISH-2011SS-01.jpg


ーショーでは、藤原ヒロシ氏が手がける「fragment design(フラグメントデザイン)」とのコラボレーションを発表した。

 藤原ヒロシさんとの出会いは2006年頃です。「どうせギャル男なんか終わる」とか言われていた時期で誰も見向きもしなかったのに、声を掛けて頂き、翌年には対談をさせてもらいました。ショーでコラボを発表してからは、もしかしたら他人からのブランドの見方が変わったかもしれません。


VANQUISH-2011SS_02-2-.jpg

モデルとして登場した綾小路翔(コラボデニムDENIM BY VANQUISH & FRAGMENTを着用)


ー今後、コレクションウィークに参加する可能性は。

 東京はもうないでしょうね。出るんだったらいきなりパリコレに行くとか、みんながびっくりすることがやってみたい。「え、バカじゃないの?!」と言われるくらい振り切ってやりたいです。


ー10年間でブランド自体は変化したか。

 関わるスタッフは、昔はすごいギャル男だったのに今ではお父さんになったりとか、やはり変わっていきますよね。ブランドの若さはなるべく変えたくないので、お客さんについては年をとったらブランドを卒業していってもらってもいいと思っています。少子化で多様化している時代なので、若い感性を掴み続けるのは難しいですね。


ー"お兄系"と呼ばれたブームは去ったのか。

 「これが流行ったら全員これ」みたいなブーム自体、今後もう出てこないんじゃないですか。情報が多すぎて、同じようなものもありふれているし、カリスマと呼ばれる人も出てこないでしょう。僕らは2004年からスタートしているんですが、ちょうどまだ雑誌の影響が残っているぎりぎりの世代だったんです。ある程度、雑誌の下にあったコミュニティーをコントロールできる環境だったので、ブランドを認知させることができたんですが、これからのブランドがブームを掴むのは厳しいと思います。


ーこの10年間の業績の推移は。

 会社としては14期目ですが、業績は13期連続で伸びていました。去年は一部のブランドが予算を落として足踏みしたんですが、MDを変えて新体制にしてから持ち直しているので、今期はプラスになるだろうと見ています。


vanquish_kuroyume_live_01-.jpg

2011年に新宿で行った 黒夢×VANQUISH ゲリラライブ


ー今年は何を仕掛けていくか。

 たくさんありますよ。10周年の10ブランドコラボ企画は、昨年の吉田カバンからはじまり、今2ブランド目の「wjk(ダブルジェイケイ)」を発表したところです。僕らと同じ10周年のランジェリーブランド「Ravijour(ラヴィジュール)」とも、面白いコラボを計画中。あとは、まだ言えませんが秋に大きな発表も控えています。


 次のページは>>"自撮り"で世界征服?マスクブランド「ゴノタン」誕生秘話