【連載】デザビレ紹介!現代アートから生まれた"制服"ブランド「ネバアランド」102号室
2011年07月01日 18:05 JSTファッション関連で活躍する企業や若手クリエイターたちが入居する施設"台東デザイナーズビレッジ(=デザビレ)"。台東区の産業活性化、ひいては日本のファッション産業の成長など崇高な目的のために設けられたデザビレには、厳しい審査(なんと3回も審査がある!)をクリアし高い倍率をくぐり抜けた19組が入居しています。ここでは、施設内の新進クリエイターたちが一体どんな活動を行っているのかを連載でちらっとご紹介。第5回目はデザビレ102号室に入居する「制服」をモチーフとした洋服作りを行っている「ネバアランド」さんです。

「ネバアランド」は2011年春、デザビレに入居したばかりの新入生。ブランドを手がけているのはEily(エイリー)さんとJammy(ジャミー)さんのデザイナーズデュオです。もともとは多摩美術大学で同じ絵画学科で油画を専攻していたことで知り合った2人。
「もともと衣装を製作していたのがEily、空間をディレクションしたり立体製作を得意としていたのが私。それだったら一緒に作品を作ろうということで2人で『Eily K Jammy(エイリー ケー ジャミー)』として活動を始めました。自由な学科ではあったのですが、油画専攻で"デュオ"でパフォーマンス作品を発表することは珍しかったので、なかなか認められない事もありました。」とそれでも懲りずに2人でパフォーマンスや写真、映像作品を精力的に発表。卒業後も日本各地で活動を続けていくなかで、2010年にはニューヨークのアートコンテストChelsea International Fine Arts Competitionで世界数千人の応募者のなかからセレクション賞を受賞するという快挙も成し遂げるなど、アート界でも活発に活動していたようです。
しかし、パフォーマンスとして発表するごとに新しい衣装や空間デザインを用意し、発表後残るものが無形であることに、何か妙な息苦しさを感じてきたという2人。そこで普遍性を持った衣服そのものを作ることはできないかということから、パフォーマンス活動は一時休止して、もともとEilyさんが小さなメゾンとしてひっそりと続けてきた「ネバアランド」を2人で本格的にスタートさせることになったそうです。

「ネバアランド」は女の子が生まれたときから押し付けられる、いわゆる可愛らしさ、女の子らしさといった社会からの"縛り"への反骨精神を持った大人のためのウェアブランド。ブランド名は絶対に行けない場所"ネバアランド"からとったもの。ブランドロゴのシューズを見ると、わずかにホックが外れているのが気になります。これは「現実の社会基盤のなかで感じる縛りから解放されよう!」という意味を込めた絵だそう。

そもそも制服=セーラーをモチーフにした洋服をメインアイテムとしている「ネバアランド」。なぜ制服なのか?気になりますよね。学生時代制服を着るのが嫌いだったEilyさんは、幼い頃に親から押し付けられていた女の子らしい洋服と制服が重なった経験があったとか。「家庭科の先生が『もともと日本が最初に制服を作った時、男は"陸軍将校の詰め襟"なのに、なぜ女性は"海軍下等兵のセーラー襟"にスカートをくっつけたものなのか』と話されたことがすごく印象に残っていて。」という学生時代のエピソードもあり、自由に服を選べる今、改めて"制服"というアイテムが強く心に残っていたそう。「押し付けられた服は当時は嫌だったけど、今だったらそれを可愛く着こなすことができる」という思いも込めていると言います。
星空を航海するというストーリーから作られているデビューコレクションは、ブランドのアイコンとも言える"セーラー"をモチーフにした作品が目立ちます。デビュー間もないブランドながら公式通販サイトでの販売の他、金沢・名古屋・大阪・神戸のセレクトショップで既に取り扱われている「ネバアランド」のアイテム。

強い思いから生まれたセーラーシリーズは定番アイテムとして販売していて、すでに完売しているカラーも多い人気商品だとか。


セーラーシリーズの他にも、丸襟のついた小花柄やドットのワンピースなど、幼い頃に両親が買ってきてくれたようなかわいらしいワンピースが多い「ネバアランド」ですが、小物も豊富に揃えています。今シーズン一押しの「星の誕生タイツ」は、真っ白なタイツに黒の細い線で描かれた絵がキュートな一品。「意外とリボンのついたドレスシャツはメンズ人気が高くて驚いています。」と話すJammyさん。今後メンズアイテムも揃えていけたらと抱負を語ります。
デザビレに入居したのはアトリエスペースを確保したいという理由から。倍率の高さから実は一度審査を通る事ができなかったという苦い思い出もありますが、今年再びチャレンジ。「デザビレには私たちにとって夢のような条件が揃っていました。制服をモチーフにしていることもあって、どうしても学校という場所は惹かれて、どうしても入りたいという思いをぶつけました」と笑顔の2人。

入居して販売のチャンスや合同展を通じて、ブランドを知ってもらえる機会が増えたと言います。「制服は日本にしかない文化ではないかと思います。『ネバアランド』の世界観を制服を世界へと発信できるブランドになれればと思っています」とJammyさん。

まだまだブランドとしては駆け出しですが、デビューコレクションのルックはアート分野で注目され、ドイツの写真展でも発表されたとか。アートセンス溢れる「Eily K Jammy」さん、今後パフォーマンスとあわせたコレクションなども是非開催してほしいですね。
■ネバアランド公式サイト
URL:http://neverneverland.xxxxxxxx.jp/
■Eily K Jammy
URL:http://eilykjammy.com/
