【連載】若き写真家の肖像 -高木美佑-

 ファッションの世界でも活躍する若き写真家を紹介する連載「若き写真家の肖像」。4人目は「コトハヨコザワ(kotohayokozawa)」などのルックを担当した24歳の写真家・高木美佑。

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しょーもない私の十代が終わりました。

−農業高校出身なんですね

親族が食品関係の職に就いていたということもあって、小さい頃からパティシエになりたいと考えていました。それで農業高校に進学したのですが、すぐに挫折というか、作るより食べるほうが好きだということを悟ってしまい(笑)。

−写真を始めたきっかけは?

科学ムック「大人の科学マガジン」の付録カメラを手に入れたことがきっかけで、高校2年生の時に友達と写真部に入ったんです。部員は少なかったですが、部費で暗室もフィルムも全て使い放題で。今思うと恵まれた環境でしたね。

−その後篠山紀信氏やホンマタカシ氏などを輩出した日本大学芸術学部写真学科に進学

学生時代からコンセプチュアルな写真を撮ることが好きで、大学3年生の時に「しょーもない私の十代が終わりました。」という作品で写真新世紀の佳作(椹木野依選)を受賞することができました。

−セルフポートレート作品「しょーもない私の十代が終わりました。」の内容は?

20歳になるまでの100日間をカウントダウン形式で撮り下ろした作品になります。当時はただただ大人になりたくなくて、特に20歳になるのがとても嫌だったんです。その反動から、自分のイメージする大人を体験してみようと思い、ブラックコーヒーを飲んだりポルノ写真の前に立っている私のポートレートを撮り溜めて1つの作品にしました。

−ポートレイトが多い理由は?

時々風景も撮りますけど、自分の手の届く範囲を撮影するように意識しているので必然的にそうなってしまいます。誕生日や就職など、自分の人生のイベントから派生して作る作品が多いですね。

−自分が好き?

その逆で昔から自分のことが嫌いなんです。嫌いだから化粧や良い洋服を着て取り繕っても仕方ないなというところがあって、生活感丸出しの写真を撮っています。好きだったらもっとお洒落して可愛くなるように撮っていると思いますね(笑)。

−自分のヌードも出せる?

結構どうでもいいと思っているので出そうと思えば出しますね(笑)。

−卒業制作について

集まったら名前が変わるものを作品にして展示しました。例えばピザだったらピーマンとかチーズ、ケチャップなど色々なものが集まりピザという名前になりますよね。そのような感じでものが集合することで別の総称になるということを作品で表現しました。

−作品のオチは?

オチは地球にしました。色々な国が集まって地球ができているということを表現したのですが、そもそもこの作品を作るきっかけになったのがずっと飼っていた犬が死んだことなんです。私が住んでいた市の処理方法だとまとめて色んな動物を処理してから慰霊碑に埋めるんですが、火葬するために運ばれたのが市のゴミ処理場の所だったんです。それが私にとってとてもショッキングなことで。私達家族にとってはすごく大切だったけれど、他の人から見れば処理しづらいゴミと同等の価値になってしまう。その体験をきっかけに、自己と他者の違いを考えるようになり卒業制作で発表しました。

−プリクラ作品について

プリクラをデジタルネガにし、アナログでプリントして印画紙で手焼きすることでインクジェットのような質感にならないよう仕上げました。なぜ作ろうと思ったかというと、単純にプリクラが好きだったといこともあるんですが、写真を撮られることがあまり好きじゃない人でもプリクラだったら楽しくいい表情で写っていると思っていたからです。そこでプリクラをしっかり写真として扱うことができる作品に仕上げました。

−どういった写真を撮っていきたいのですか?

部屋に飾ってもらえるような写真を撮りたいですね。"エロ"や"グロ"といったショッキングな写真は苦手で、嫌な感じがしない作品を撮り続けていきたいと思っています。あと私は中学高校時代は古着ばっかり着てカツラを被るようないわゆる"サブカル女子"で、あまのじゃくな性格の学生だったんですが、この間仕事でゆずさんのライブを観る機会があって。メインカルチャーに対して正直あまり好意的ではなかったんですが、ステージ演出などが素晴らしくて本当に感動したんです。そこで思ったことが、人間の本質的な部分、「良いな」って思う感覚には共通点があるんじゃないかなということで。そういった普遍的な部分を写真で追求したいという想いも持っています。

−現在作品を製作中です

同時進行で色々と進めているんですが、今は人が持つ感情を1つの使い捨てカメラに収める作品を制作しています。使い捨てカメラを約20個使い、"嬉しい"や"悲しい"などそれぞれの感情を表す写真を撮っていて。感情の可視化を試みているんですが、最終的にはネガで一覧して見れるような作品に仕上げる予定です。

−使っているカメラは?

現場監督やペンタックス67Ⅱ、D800とかデジタルも使いますね。

−好きな写真家は?

杉本博司さんが好きです。部屋に飾りたくなるっていうのが絶対条件としてあって、さらに好きな写真を大きく二分割すると、一つは見た目はシンプルだけど、文脈がレイヤー化されている作品。もう一つは圧倒的にインパクトがある作品です。

−仕事を貰うためには肩書や実績が必要

若手は国内外の賞を勝ち取らないとなかなか難しいですよね。ただ今の若い人は自分が特別だと思いすぎているところがあるような気がして。プライドが異様に高くて、批判されることを恐れて作品を人に見せたがらない人が増えているように思います。私も作品を批判されれば傷つきますが、「私には誰にも負けない才能があるんだ」といった変なプライドとかは全然持っていなくて(笑)。今後も国内外の賞には積極的に作品を出していこうと思っています。

−現在はイイノスタジオに勤務

撮影アシスタントとして、広告や雑誌の撮影のライティングを組んだりしています。大学でも一応スタジオのことを勉強したんですが、知識的には不十分で。ライティングやデジタルカメラのことで知らないことがまだまだあると考えていたので、スタジオワークを学びたいなと思い入社しました。

−使う使わないは別にして、撮影のノウハウを知っておくということは大事ですよね

そうですね。普段からストロボやライティングを組んで作品を作るわけじゃないですが、そういうことを知っててやらないのと出来なくてやらないのというのでは、仕上がりが全然違ってくると思います。

−スタジオの仕事は激務?

毎日違うので一概には言えませんが、ちゃんと寝ることはできています。ただ、後一年で辞める予定で、退社後は語学勉強も兼ねて海外に行こうと思っています。この間、外国の方を撮ったんですが、コミュニケーションが全然上手く取れなくて。英語が話せないとモデルさんが孤立してしまい良い雰囲気が作れませんから、英語の必要性をとても感じています。

−今後について

今の職場で学べるだけのことをとりあえず吸収して、海外で英語を学び、帰国した後はフリーランスでやっていく予定です。写真に携っていくため、作品とビジネスの両立を当面の目標に頑張っていきたいですね。

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バチが当たった



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私の50枚のTシャツ



Miyu TAKAKI(高木 美佑)

1991年生まれ、東京都在住
http://www.takakimiyu.com/

2010 都立農業高校卒業
2014 日本大学芸術学部写真学科卒業
現在、イイノスタジオ勤務

= Self-Portrait For FASHIONSNAP =

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VOL.1 若き写真家の肖像 -草野庸子-
VOL.2 若き写真家の肖像 -小見山峻-
VOL.3 若き写真家の肖像 -小林健太-
VOL.4 若き写真家の肖像 -高木美佑-
VOL.5 若き写真家の肖像 -嶌村吉祥丸-
VOL.6 若き写真家の肖像 -松永つぐみ-
VOL.7 若き写真家の肖像 -トヤマタクロウ-
VOL.8 若き写真家の肖像 -Takako Noel-
VOL.9 若き写真家の肖像 -Yusaku Aoki-

(聞き手:芳之内史也)